先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。
イベント会場で女性を盗撮、容疑で男逮捕 京都・舞鶴
人気ゲーム「艦隊これくしょん(艦これ)」のファンが集まるイベント会場で女性のスカート内を盗撮しようとしたとして、京都府警舞鶴署は6日、府迷惑防止条例(卑わいな行為の禁止)違反容疑で埼玉県伊奈町の会社員の男(25)を現行犯逮捕した。「間違いない」と容疑を認めている。
逮捕容疑は6日午後1時半ごろ、京都府舞鶴市北吸の赤れんがパークで行われていたイベント会場で、女性(26)の後ろからスカートの下にスマートフォンを入れて盗撮しようとしたとしている。
同署によると、女性がコスプレーヤーを撮影するために並んでいたところ、男が背後から盗撮した。近くにいた女性の交際相手が気付き、男を確保。駆け付けた署員に引き渡した。
「艦これ」は軍艦を擬人化した人気ゲーム。この日は、愛好家による同人誌の販売やコスプレーヤーの撮影会が行われていた。
引用元 : 産経新聞 2020年12月7日 11時7分配信
イベント会場でのスカート内盗撮事件です。同人誌の販売やコスプレーヤーの撮影会が行われていたイベントとの事で、一昔前はこうしたイベントに参加するのはいわゆるオタク男性が多かったものですが、今では比較的若い女性も珍しくなくなっておりそれを狙うケースもあるようです。
このコロナ禍の中どれくらいの人出があったのかわかりませんが、コスプレーヤーを撮影するために並ぶ程度には賑わっていたと見られ、そんな中で鞄や靴などにカメラを仕込んで盗撮するならまだしもスカート内にスマホを入れるというのにはやや驚きがあります。近くにいた被害者の交際相手が気付いたとの事ですが、そりゃ気付かれるだろうというものです。
最初から盗撮するつもりで行っていたのか、或いはそんなつもりは無かったものの現場で撮れそうだと思ってやってしまったのかわかりませんが、わざわざ埼玉から京都へ行って盗撮で逮捕されてしまうというのは残念な話です。
公共の場所での盗撮ですので条例の規定がどうなっているかなどの検討の余地も無く迷惑防止条例違反でしょう。被害者との示談ができれば不起訴もあり得ますが30万円程度の罰金を科せられるのは覚悟しておいた方が良いのではないでしょうか。
「盗撮」目的... 小学校講師が高校に侵入 逮捕・送検 市教委が陳謝「子どもを育てる立場の教員が…」
上田市内の高校に盗撮目的で侵入したとして市内の小学校講師が逮捕された事件で、市教委は7日会見を開き陳謝しました。
「誠に申し訳ございませんでした」上田市教委は会見を開き陳謝しました。
7日、送検された上田市の小学校講師(23)。5日午後2時過ぎ、市内の高校に盗撮目的で侵入した疑いがもたれています。
上田市教委・峯村秀則教育長:「子どもを育てる立場の教員の非違行為、誠に残念で言葉にならない」
市教委によりますと、容疑者は大学卒業後、今年4月から市内の小学校に講師として勤務し、クラス担任もしていました。欠勤や遅刻はなく勤務態度はまじめだったとうことです。市教委は勤務していた学校の児童の心のケアに努めスクールカウンセラーに相談できる体制を整えるとしています。
また今後、不祥事根絶のため全学校で研修を行う方針です。
引用元 : NBS長野放送 2020年12月7日 19時0分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
小学校の講師による盗撮目的での学校侵入事件です。逮捕容疑は建造物侵入のみのようですのでおそらく盗撮する前に捕まってしまったのではないでしょうか。
盗撮目的での侵入とは言っても場所が高校だと部外者ではそこにいる事自体が通常はあり得ませんのでスマホで直接撮る事は勿論、靴や鞄などにカメラを仕込んで撮る事もできないでしょう。そうなるとトイレ等に仕掛けるつもりで侵入したのか、又は他の目的があった事を誤魔化すために盗撮目的と言ったのかといった事も考えられます。
スカート内を盗撮するいわゆる逆さ撮りのようなタイプとトイレ等に仕掛けて盗撮するタイプとでは使用するカメラが違ってくるでしょうから、後者の目的に合ったカメラを所持していなかったとしたら本当に盗撮目的だったのかという尋問はされるでしょう。
建造物侵入は懲役の場合だと3年以下とそれなりに重くなりますが被疑者が23歳で初犯だとすると公判請求されて懲役刑を受けるという事はあまり考えにくく、おそらく罰金ではないかと思われます。しかし罰金の場合だと上限でも10万円と比較的軽微な罰則なのでいつ見てもバランスがイマイチ良くないように感じてしまいます。
刑法 第130条
過去に何度か捕まっていたり常習的だったりする盗撮で懲役刑が見込まれる事件の場合は建造物侵入が加わるとぐっと重くなる可能性が出てきますが、初犯で建造物侵入のみだと目一杯厳しくしても罰金10万円となり、謝罪や反省の態度次第では不起訴という事も十分あり得るでしょう。
小学校の教員ですので懲戒処分では免職は避けられないように思われますが、刑事処分としては不起訴になる可能性もあるのではないでしょうか。
盗撮の罰則厳格化を提案、県議会に自民埼玉県議団と県民会議が 懲役1年以下または罰金100万円以下に
自民党埼玉県議団(小島信昭団長)と県民会議(岡重夫代表)は10日、盗撮の罰則を厳格化することなどを盛り込んだ県迷惑行為防止条例改正案を開会中の12月定例県議会に、それぞれ提案した。14日の警察危機管理防災委員会に付託され、最終日の18日に採決される見通し。
両会派の改正案では、現行の条例で「公共の場所または公共の乗り物」に限定されていた盗撮の場所を、住居やトイレなど衣服を身に着けないでいるような場所と事務所、タクシーなど不特定多数が出入りする場所や乗り物にも拡大する。
また、盗撮目的でカメラを向けたり設置したりする準備行為を含め、盗撮行為の罰則は現行の「6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金」から「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」に厳罰化される。そのほか自民案では下着や体を「のぞき見」する行為を新たに規制対象として明記し、県民会議は現行の条例で「県民生活の平穏を保持」とされている条例の目的を「県民及び滞在者の生活の平穏を保持」と変更することなどを提案した。
引用元 : 埼玉新聞 2020年12月11日 14時44分配信
埼玉県の迷惑防止条例について盗撮に関しての規制を強化する改正を行うようです。他の都道府県の例に倣って、公共の場所以外での盗撮行為や盗撮目的でカメラ等を向けたり設置したりする盗撮準備行為を新たに処罰の対象に加え、さらに罰則も強化するとの事です。
盗撮事件の件数が一番多いと思われる首都東京都に隣接する県でありながら、埼玉県では迷惑防止条例の改正が行われておらず盗撮を十分に取り締まる事ができていなかった背景があると思われます。東京都は勿論、神奈川県も比較的厳しい規定になっており、千葉県でも改正条例が今年から施行されていましたので一都三県の中では埼玉県だけが出遅れていた状況にあります。
埼玉県 迷惑行為防止条例 第2条 第4項
埼玉県の条例では盗撮に関してこれだけの規定しかありませんでしたので迷惑防止条例違反に該当しないという事で適切に処罰できていなかったケースが割と多かったのではないでしょうか。今回の改正条例が施行されればそうしたケースでも網にかけられるようになると思われます。