先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。
男湯と女湯隔てる壁の上からスマホを…入浴施設に盗撮目的で侵入か 21歳会社員の男逮捕「裸見たかった」
三重県熊野市の入浴施設に女湯を盗撮する目的で侵入したとして、大阪府岸和田市の会社員の21歳の男が逮捕されました。
逮捕されたのは、大阪府岸和田市の会社員(21)です。容疑者は8日午前7時ごろ、熊野市内の入浴施設に女湯を盗撮する目的で侵入した疑いが持たれています。
警察によりますと、容疑者は男湯と女湯を隔てる壁の上からスマートフォンで女湯を盗撮しようとし、盗撮がばれたことに気付くと入浴施設から立ち去りました。しかし、通報を受け施設周辺を捜査していた警察官が、午前10時過ぎに容疑者を見つけ、その後逮捕しました。
調べに対し、容疑者は「女性の裸が見たかった」などと容疑を認める供述をしているということです。
引用元 : 東海テレビ 2020年9月9日 12時30分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
入浴施設での風呂盗撮事件です。壁の上からスマホをかざして向こう側の女湯を盗撮しようとしたとの事ですが、逮捕容疑は盗撮ではなく女湯を盗撮する目的で侵入したとされており建造物侵入に留まっているようです。
男湯と女湯を隔てる壁の上から盗撮しようとしたという事は、男湯と女湯が空間として完全に区切られているのではなく壁の上で繋がっている構造と思われ、しかも壁の向こう側をスマホで狙える程度の高さしか無いという事なのでしょうか。今どきこんな浴場があるのかと思ってしまいましたが、この被疑者はそんな高さからスマホをかざしてバレないわけが無いとは思わなかったのでしょうか。
また、事件を起こしたのが7時頃、その後現場から立ち去ったものの施設周辺を捜査していた警察官に発見されたのが10時頃と若干時間が空いていますが、そのまま離れれば良かったものを何故現場周辺をウロウロしていたのか疑問です。何か身元が分かるような物を現場に置いてきてしまっていたりしたのでしょうか。
逮捕容疑が建造物侵入との事なのでもしかしたら三重県の迷惑防止条例では盗撮の規制が及ぶ範囲に風呂などが含まれていないのかと思いましたが、確認したところこの事件でも迷惑防止条例違反を適用し得る規定はありました。
三重県 迷惑防止条例 第2条
何人も、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、正当な理由がないのに、人を著しくしゆう恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
- 人の身体に、直接又は衣服その他の身に着ける物(以下この条において「衣服等」という。)の上から触れること。
- 衣服等で覆われている人の身体又は下着をのぞき見し、又は撮影すること。
- 前二号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
何人も、みだりに、公衆浴場、公衆便所、公衆が利用することができる更衣室その他公衆が通常衣服等の全部又は一部を着けない状態でいる場所における当該状態にある人の姿態を撮影してはならない。
事件の現場となった入浴施設がどういうものなのかわかりませんが、おそらく銭湯のような施設と思われますのでそうだとしたら公衆浴場という事で第3項に該当すると考えられます。
しかし盗撮目的でカメラ等を向ける盗撮準備行為を禁止する規定がまだ整備されていないようなので、スマホを向けただけで撮れていなかったのか、或いはその場から立ち去って逮捕されるまでにデータを消去するなどした事で盗撮した証拠が無く迷惑防止条例違反が成立しないのかもしれません。
逮捕するまでにデータの有無は確認できないのでまずは明らかな建造物侵入で逮捕し、今後の捜査でスマホを調べてデータが出てきたら迷惑防止条例違反が追加されるといった事も勿論あり得ます。
余罪や前科の有無にもよりますが、被疑者が21歳とまだ若いので前科は無いとすると、公判請求される程の事件ではないと思われますので建造物侵入のみなら最大でも罰金10万円、迷惑防止条例違反が追加されたら30万円程度に上がるといったところで済むのではないでしょうか。
松山市の中学 体育授業で着替え中の女性生徒 スマホで男子生徒が盗撮【愛媛】
松山市の中学校で今年7月、男子生徒が女子生徒の着替えをスマートフォンで盗撮していたことがわかりました。
松山市教育委員会などによりますと今年7月、市立中学校に通う男子生徒がスマートフォンを教室内に設置し、女子生徒が体育の授業のため着替えている様子を盗撮しました。男子生徒は盗撮を認め反省しているということです。
学校側は生徒を指導し、動画が流出しないようその場でスマホのデータを消去しました。また市教委も先月、小中学校の校長研修会で注意喚起したほか、生徒への心のケアや保護者への説明を行うよう学校側に求めたということです。
しかし被害を受けた生徒の保護者はテレビ愛媛の取材に対し、「学校側は被害者側の同意を得ず証拠になる動画を勝手に削除した。保護者への説明もしていない」などと憤っています。
引用元 : テレビ愛媛 2020年9月10日 20時0分配信
中学校で男子生徒が女子生徒の着替えを盗撮したというニュースです。以前の記事で男子中学生による学校内での盗撮とその盗撮データの売買に関するニュースを取り上げていましたが、先の記事は複数の男子生徒によるものだったのに対してこちらは1人のようで、また、売買などには至っていないようです。
男子生徒が教室内にスマホを仕掛け、着替えている女子生徒を盗撮したとの事で、発覚した経緯には触れられていませんが単に仕掛けていたスマホが女子生徒に見つかったなどの事情でしょうか。
しかし記事を読んだ感じでは警察沙汰や裁判沙汰にはなっていないようで学校側が男子生徒を指導しただけに留まっているように見受けられ、それは被害を受けた生徒の保護者の憤りのコメントからも事情が窺えます。女子中学生の着替えを盗撮したとなれば児童ポルノの製造ですので、その犯罪の証拠を消去した上に指導に留めたというのは納得できない親御さんがいても不思議ではないでしょう。
仮に盗撮した着替えのデータが児童ポルノに該当しなくても愛媛県の迷惑防止条例では教室での盗撮行為や盗撮準備行為を処罰できる規定がありますので迷惑防止条例違反は免れません。
愛媛県 迷惑行為防止条例 第4条
- 衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から、又は直接身体に触れること。
- 衣服等で覆われている下着又は身体(以下「下着等」という。)を見ること。
- 前号に掲げる行為をしようとして下着等をのぞき込み、又は下着等が見える位置に鏡等を差し出し、若しくは置くこと。
- 衣服等で覆われている下着等の映像を記録する目的で、写真機その他の撮影する機能を有する機器(以下「写真機等」という。)を置き、又は向けること。
- 前各号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
何人も、正当な理由がないのに、公衆浴場、公衆便所、公衆が利用することができる更衣室その他の公衆が通常衣服等の全部又は一部を着けない状態でいるような場所において当該状態でいる者の姿態をのぞき見し、又はその者の姿態の映像を記録する目的で写真機等を置き、若しくはその者に向けてはならない。
何人も、集会場、事務所、教室その他の特定かつ多数の者が利用するような場所にいる者に対し、第1項に規定する方法で、同項第4号に掲げる行為をしてはならない。
現場が教室であって第1項第4号に掲げられている行為を行っていますので第3項に該当すると考えられます。
まだ中学生だし反省していて外部への流出等が無いならいいじゃないかという寛大な人もいるかもしれませんが、現に盗撮被害を受けた女子生徒やその親御さんなら特に、警察へ通報して処罰を受けさせろと考えるのは不自然な事ではありません。むしろ最近では後者のような傾向の方が強いかもしれません。
本来であれば盗撮データという証拠を保全しつつ警察へ通報して然るべき状況ですが、被害者の同意を得ないまま証拠を消去して保護者への説明も無く、当の男子生徒は指導だけというのでは被害を受けた女子生徒はやられ損でしかなく納得できないのも無理はありません。
なお、警察沙汰になったとしても少年事件になりますので罰金などの刑事処分はありません(男子生徒が14歳未満ならば逮捕される事も無く刑事責任も問われない)。この程度の内容なら少年院送致という事も無いでしょうから最終的にはせいぜい保護観察処分といったところではないでしょうか。
小学校教諭が男の子を盗撮した疑いで再逮捕 海水浴場での着替えを撮影
神戸市立小学校の教諭の男が、海水浴場で男の子の裸を盗撮したとして、再逮捕されました。
児童ポルノ製造の疑いで再逮捕されたのは、神戸市の小学校教諭(33)です。
警察によると、容疑者は先月23日、海水浴場で小学生ぐらいの男の子3人が裸で着替えている様子をビデオカメラで盗撮した疑いがもたれています。容疑者は、同じ日に明石市のスーパー銭湯の男性用脱衣場で盗撮した疑いで現行犯逮捕されていますが、その際使用したビデオカメラのデータを解析したところ、今回の事件が発覚したということです。
調べに対し、容疑者は「男の子の裸を撮ったことに間違いありません」と容疑を認めています。
警察は、押収したビデオカメラやパソコンのデータから児童数十人の裸などが映った映像が見つかったことから、余罪があるとみて調べを進めています。
引用元 : 関西テレビ 2020年9月11日 19時41分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
小学校の教員による着替え盗撮事件ですが今回は再逮捕となっており、確認したところ先月の記事で取り上げていた銭湯の脱衣場での盗撮事件の被疑者の続報のようです。なお、今回の再逮捕容疑は男児の着替え盗撮との事なので児童ポルノの製造となっています。
先に逮捕されていた事件で被疑者が使っていたビデオカメラを調べたところ今回の事件が発覚したとの事で、おそらく海水浴場で男児の着替えを盗撮した動画が残っていたのか、或いは消去していたものの復元されたのか、余罪の証拠として押さえられた上で前回逮捕の迷惑防止条例違反より悪質な児童ポルノの盗撮製造だったという事で再逮捕に至ったのでしょう。
また、ビデオカメラやPCからは他にも児童の裸を盗撮したと思われるデータが出てきているようなので余罪多数と見られ、さらに膨れ上がる可能性があります。被疑者は小学校の教員ですので学校内で教え子を狙っていた疑いも出るでしょうしそれがやりたくて小学校の教員になったのではという目で見られる事もあるのではないでしょうか。
前回逮捕の盗撮と今回再逮捕の盗撮は同じ日に行った事とのことですが銭湯と海水浴場で現場が違っていて近距離だとしても移動はしているでしょうから、最初のデータは別の記録媒体に移すなどした上で復元されないような対応を行えばとも一瞬思いましたが、押収されたPCからもデータが出てきているので再逮捕は時間の問題だったのでしょう。
先の記事では罰金としても30万円を下ることは無いのではと見ていましたが、児童ポルノの盗撮製造で再逮捕されてさらに余罪多数となるとこんなものでは済まされなくなってくると思われます。もし教え子の盗撮もしていたとなれば被害者の特定が容易と思われますので被害届や告訴が続いてさらに再逮捕が続く可能性もあります。
迷惑防止条例違反に加えて児童ポルノの製造が入ってくると仮に罰金で済むとしても50万円程度に上がってくるでしょうし、余罪の件数によっては公判請求される事もあり得るのではないでしょうか。