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何度も繰り返せば盗撮も軽い罰則では済まない

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比較的軽く見られる盗撮の罰則

盗撮事件における罰則、特に迷惑防止条例違反の罰則は6月以下の懲役又は50万円以下の罰金と定められている自治体が多く、一般的に見て比較的軽い罰則になっています。罰金刑や不起訴で済んでいるケースが多くを占めていることから印象としても軽いイメージがあります。

こちらの記事で取り上げている再犯率が高いか低いかといった議論はありますが(個人的には高いと思っています)、いずれにしても大半は再犯者となっておらず懲役にまで踏み込んでいるケースが少ないことも罰則が軽い印象を支えているように感じます。

しかし懲役刑も規定されているのでどんなときでも軽いとは言えません。これまでの記事でも一部で盗撮の罰則が軽いとか知れているといった表現をしておいて何ですが、罰則が厳しくなる場合もあります。

服役経験があるとぐっと厳しくなる

少し具体的に申しますと、過去に服役した経験があると途端に罰則が厳しくなります。一般論として盗撮に限った話ではありませんが、迷惑防止条例違反だけで捕まっていても3回4回と繰り返してやっと公判請求されるケースが多いところ、服役経験があると迷惑防止条例違反では1回2回でも実刑判決を受けることは珍しくありません。

初犯でも執行猶予付きの懲役刑が視野に入るような他の犯罪と比較すると、迷惑防止条例違反ではこの辺りにギャップがあるので途端に厳しくなるように感じられます。

例えば他の性犯罪で服役経験のある人が盗撮に手を出したといった形を想定すると、迷惑防止条例違反だけを繰り返している人よりも少ない回数で懲役に行くことになりますので、盗撮は服役した経験があると罰則がぐっと厳しくなると言えます。

罰則が厳しくなる具体的な要件

服役経験があるという事情以外にも法令の規定として罰則が厳しくなる要件がいくつかあります。

罰則が厳しくなる要件

  1. 東京都または神奈川県の迷惑防止条例違反で起訴される
  2. 常習盗撮として起訴される
  3. 複数の事件で起訴される
  4. 再犯として刑が過重される

これらには各都道府県の迷惑防止条例特有の規定によるものもありますが、盗撮以外にも適用される刑法の規定によるものもありますので1つずつ見てまいります。

東京都または神奈川県の迷惑防止条例違反で起訴される

これまでにも何度か触れていますが、東京都と神奈川県の迷惑防止条例は盗撮の罰則が他の道府県より厳しく規定されています。

東京都 迷惑防止条例

第5条 第1項 第2号
公衆便所、公衆浴場、公衆が使用することができる更衣室その他公衆が通常衣服の全部若しくは一部を着けない状態でいる場所又は公共の場所若しくは公共の乗物において、人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
第8条 第2項
第五条第一項(第二号に係る部分に限る。)の規定に違反して撮影した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

神奈川県 迷惑行為防止条例

第3条
何人も、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
  1. 衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から、又は直接に人の身体に触れること。
  2. 人の下着又は身体(これらのうち衣服等で覆われている部分に限る。以下この条において同じ。)を見ること。
  3. 写真機その他これに類する機器(以下「写真機等」という。)を使用して、人の下着又は身体の映像を記録すること。
  4. 前各号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
第15条
第3条の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

懲役刑、罰金刑ともに上限が他の道府県の倍に規定されています。同じ迷惑防止条例違反でも痴漢の場合は他の道府県と同じ罰則なので盗撮を特に厳しく処罰していると言えます。被害件数が多い都市部なのでピンポイントで厳しくなっているのも仕方ないでしょう。

捕まるのが1回目や2回目など罰金刑で済んでいるうちは違いがあまり出てきませんが、懲役刑が見込まれるようになってくるとこの上限が厳しくのしかかってくることになります。

常習盗撮として起訴される

同じく各都道府県の迷惑防止条例には常習として盗撮行為に及んだ場合に罰則が厳しくなるように規定されています。

東京都 迷惑防止条例 第8条 第7項

常習として第二項の違反行為をした者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

常習という点では他に代表的なものとして常習累犯窃盗罪がありますが、これは通常の窃盗罪とは別の罪で、過去10年間に3回以上窃盗罪や窃盗未遂罪で懲役刑を受けている人が対象になり、通常の窃盗罪より罰則が厳しくなっています。

過去10年間に3回以上と法律で定められているのでこれに該当しなければどれだけ常習性が顕著であっても常習累犯窃盗にはなりませんが、迷惑防止条例の常習規定は基準が定められておらず、実態を踏まえて検察官が判断することになります。

そのため、盗撮で捕まるのが1回目2回目でも明らかに常習性があると判断できる程度の証拠があれば常習として起訴されることになり、通常の盗撮より罰則が厳しくなります。

複数の事件で起訴される

これは盗撮に限った話ではありませんが、複数の事件で起訴されて併合罪として処理されると当たり前ですが1件限りの場合よりは刑が重くなります。

盗撮で考えられるケースとしては、例えば現行犯逮捕されたとき所持していたカメラなどにそれ以前のデータが残されており、その分でも捜査されて証拠が揃い、現行犯逮捕された分とともに起訴されるといった形などでしょうか。よく聞くというほどの事例ではありませんが、犯情や前科状況などから現に事件化している1件では不十分と判断すれば余罪を立件することはあり得ます。

事件の内容や起訴された事件の件数などにもよりますが、1件限りの場合と比較すると概ね2割から5割増し程度は厳しい刑になります。

再犯として刑が過重される

これも他の犯罪と同様ですが、刑法に再犯加重という規定があってこれに該当すると刑が重くなる場合があります。

刑法

第56条
  1. 懲役に処せられた者がその執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に更に罪を犯した場合において、その者を有期懲役に処するときは、再犯とする。
  2. 懲役に当たる罪と同質の罪により死刑に処せられた者がその執行の免除を得た日又は減刑により懲役に減軽されてその執行を終わった日若しくはその執行の免除を得た日から五年以内に更に罪を犯した場合において、その者を有期懲役に処するときも、前項と同様とする。
  3. 併合罪について処断された者が、その併合罪のうちに懲役に処すべき罪があったのに、その罪が最も重い罪でなかったため懲役に処せられなかったものであるときは、再犯に関する規定の適用については、懲役に処せられたものとみなす。
第57条
再犯の刑は、その罪について定めた懲役の長期の二倍以下とする。

ざっくり申し上げますと懲役へ行って刑が満了した後、5年以内に何らかの罪で再び懲役になる場合は刑期が最大で法定刑の倍になるというものです。ここで言う「長期」とは「N年以下」と定められている部分で、逆に「短期」は「N年以上」と定められている部分に掛かります。

例えば東京都において盗撮で捕まると一年以下の懲役又は百万円以下の罰金と定められているところ、この規定で再犯となる場合は最大で二年以下の懲役という判決になります。

あくまで「最大で」なので懲役を終えて5年以内に罪を犯したら必ず倍になるわけではありませんが、盗撮のようにもともとの罰則が軽い罪の場合は再犯加重によって上乗せされる分が特に厳しく感じられることでしょう。

まとめ

ここまでに挙げた要件が複数組み合わされることで、盗撮でも理屈上は検察官の論告で3年や4年といった求刑をされることも考えられます。あくまで理屈上の話なので盗撮でそこまで重い刑は見聞きしたことがありませんが、そこまで行くともはや軽い罪は言えません。

盗撮ではもともとの罰則がそれほど重くないだけに、こうした規定で刑が厳しくなるほど割に合わないものになってくるでしょう。

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