先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。
勤務先の病院の更衣室に小型カメラ…盗撮の疑いで元職員の29歳男を逮捕 香川県警
勤務先の病院の更衣室にカメラを設置し、同僚の女性を盗撮したとして、元職員の男が逮捕されました。
香川県迷惑行為等防止条例違反の疑いで逮捕されたのは、さぬき市寒川町の容疑者(29)です。
警察によると、容疑者は1月29日、当時勤務していた香川県内の病院の女性更衣室に小型カメラを設置し、同じ病院で働いていた20代の女性を盗撮した疑いです。カメラの存在に気付いた女性から警察に相談があり発覚しました。
容疑者は「カメラを設置したことに間違いありません」と容疑を認めています。警察は今後、動機や余罪の有無について調べを進める方針です。
引用元 : KSB瀬戸内海放送 2021年2月8日 17時1分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
病院の更衣室における盗撮事件です。何を盗撮したのか触れられていませんが更衣室なので着替えの様子を撮ったという事でしょう。なお、1月29日の事件なのでほんの2週間程前の事ですが被疑者は当時勤務していた元職員とされており、今回逮捕されるまでに依願退職、或いは解雇されている事が窺えます。
更衣室に仕掛けていたカメラを被害者が見つけたという事で発覚の経緯はシンプルです。どのように被疑者を特定したのかは不明ですが、こちらもシンプルに被疑者本人がカメラに映り込んでいたとかそういう事でしょうか。
被害者に発見された事で回収すべきカメラが無くなっているとか病院内で騒ぎになったとか、盗撮がバレた事自体は逮捕されるまでに被疑者が知るところになっていると思われますので観念して名乗り出たという事もあるかもしれません。その後自ら職場を辞めたのか辞めさせられたのかわかりませんが、職を辞してなお今回逮捕される事になってしまいました。
今回の事件では被害者が撮られる前に気付いたのではなく既に撮られた後にカメラに気付いたと思われますが、香川県の迷惑防止条例では更衣室における盗撮行為は勿論、盗撮目的でカメラ等を仕掛ける盗撮準備行為も処罰の対象になっていますのでもし撮られる前に気付いていたとしてもアウトになります。
香川県 迷惑行為等防止条例 第3条
- 公共の場所又は公共の乗物において、人の性的羞恥心を著しく害し、又は人に不安を覚えさせるような方法で、衣服の上から又は直接、人の身体に触れること。
- 人の性的羞恥心を著しく害し、又は人に不安を覚えさせるような方法で、公共の場所又は公共の乗物にいる人の衣服で覆われている下着又は身体を見、又は撮影すること(次号に規定する方法により行われる場合を除く。)。
- 正当な理由がないのに、写真機等を使用して衣服を透かして見る方法により、公共の場所又は公共の乗物にいる人の衣服で覆われている下着又は身体を見、又は撮影すること。
- 前3号に掲げるもののほか、公共の場所若しくは公共の乗物にいる人又は公衆に対し、人の性的羞恥心を著しく害し、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をすること。
何人も、人の性的羞恥心を著しく害し、又は人に不安を覚えさせるような方法で、教室、事務所、タクシーその他の不特定又は多数の者が出入りし、又は利用する場所又は乗物(公共の場所又は公共の乗物を除く。)にいる人の衣服で覆われている下着又は身体を撮影してはならない。
何人も、正当な理由がないのに、浴場、便所、更衣室その他の人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所における当該状態にある人の姿態を撮影してはならない。
何人も、第1項第2号若しくは第3号又は前2項の規定により禁止される撮影のために、写真機等を向け、又は設置してはならない。
この事件では盗撮もされていると思われますので第3項に該当していると考えられますが、盗撮される前だったとしても第4項に該当するという事になります。
勿論余罪は疑われるでしょうが裏付けられて立件されるかどうかとなると別の話です。何となくですが今回の盗撮だけで終わるのではという印象がありますので、罰金としてはせいぜい30万円から厳しくても50万円で収まるのではないでしょうか。
電車でスカート内を盗撮疑い 容疑で京都府職員逮捕
京都府警鉄道警察隊と下京署は9日、府迷惑行為等防止条例違反(盗撮)の疑いで、宇治市、京都府非常勤職員の容疑者の男(61)を逮捕した。
逮捕容疑は9日午前7時半ごろ、京都市営地下鉄竹田-京都間を走行中の電車内で、府内の高校1年の女子生徒(16)のスカート内をスマートフォンで撮影した疑い。「間違いない」と容疑を認めているという。
下京署によると、車内で真向かいの席に座っていた女子生徒にスマホを向ける容疑者を、警戒中の鉄警隊員が発見。京都駅で職務質問するとスマホに動画1点が残っていたという。府人事課は「事実確認の上、厳正に対処する」としている。
引用元 : 京都新聞 2021年2月9日 18時46分配信
公務員の府職員による盗撮事件ですが、電車で対面に座っていた女子高生のスカート内をスマホで狙うという何ともお粗末な内容でした。スマホを持った先に誰かいるというよりお互いに座った状態でスカート内を狙おうとすると明らかに不自然になると思いますが、案の定それが見つかって捕まったようです。
しかもよりによって鉄道警察隊員に見つかるというのがとことんツイてない感じを漂わせています。尤も、怪し過ぎて警察官でなくとも乗客に気付かれて捕まっていた可能性もありますし、元々通報があってマークされていたという事もあり得ますが、偶々だとしたら捕まる運命だったのではないかと思ってしまいます。
電車内での盗撮行為であってスマホに記録されていた動画という動かぬ証拠も押さえられているようですので迷惑防止条例違反となる事に疑いの余地は無さそうです。被害者との示談ができれば不起訴という可能性もありそうですが、示談ができなければ罰金30万円といったところではないかと思われます。
男子児童の裸を動画撮影…29歳男逮捕 勤め先のスポーツクラブで 岐阜
男の子の裸を盗撮した疑いで男を逮捕です。
岐阜県各務原市の会社員の容疑者(29)は、去年10月下旬、勤め先のスポーツクラブの更衣室で着替えていた、男子児童の裸の動画を撮影し、スマートフォンに保存した疑いがもたれています。
警察は、容疑者の認否を明らかにしていません。容疑者のスマートフォンからは同じような動画が複数見つかっていて、警察が余罪を調べています。
引用元 : CBCテレビ 2021年2月10日 19時2分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
スポーツクラブの更衣室で児童の裸を盗撮したという事件です。勤め先とされているのでおそらくそのスポーツクラブのインストラクターか事務方かという事なのでしょうが、着替えていた男児の裸を盗撮したとして捕まっています。
具体的な罪名に触れられていませんが、「児童の裸の動画を撮影し、スマートフォンに保存した」という表現からするとおそらく迷惑防止条例違反ではなく児童ポルノ禁止法違反ではないかと思われます。被害者が18歳未満の児童ですので着替えているところの裸を撮影すれば児童ポルノの製造という事になります。
どういった経緯で盗撮が発覚して逮捕に繋がったのかという詳細が不明で、さらに認否を明らかにしていないとの事なのでもしかすると否認しているのかもしれません。盗撮による製造については否認できてもスマホに保存して所持していた事についてはスマホという動かぬ証拠があり、論理的に否認する事が困難と思われますので一部否認という可能性もあります。
スマホには同じような動画が複数保存されていたようで、同じようなというのが盗撮を指しているのか児童に対する盗撮を指しているのかによっても変わってきますが、後者だとしたら児童ポルノ製造の余罪となって事件が大きくなってくる事もあり得るでしょう。
製造及び所持していた動画が児童ポルノと判断されず迷惑防止条例違反となる可能性も勿論あり、岐阜県の迷惑防止条例でも更衣室における盗撮は処罰の対象になっています。
岐阜県 迷惑行為防止条例 第3条
- 衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から、又は直接人の身体に触れること。
- 通常衣服等で覆われている人の下着又は身体(以下「下着等」という。)を見ること。
- 通常衣服等で覆われている人の下着等の映像を見、又は記録する目的で、写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置し、又は通常衣服等で覆われている人の下着等に向けること。
- 前三号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
何人も、正当な理由がないのに、学校、事務所その他の不特定若しくは多数の者が利用し、若しくは出入りする場所にいる者又はタクシーその他の不特定若しくは多数の者が利用する乗物に乗つている者(前項に規定する者を除く。)に対し、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次の各号のいずれかに掲げる行為をしてはならない。
- 拒まれたにもかかわらず、衣服等の上から、又は直接人の身体に触れること。
- 通常衣服等で覆われている人の下着等を見ること。
- 通常衣服等で覆われている人の下着等の映像を見、又は記録する目的で、写真機等を設置し、又は通常衣服等で覆われている人の下着等に向けること。
何人も、正当な理由がないのに、前二項に規定する場所にいる者又は乗物に乗つている者に対し、衣服等を透かして見る方法により衣服等で覆われている人の下着等の映像を見、又は記録する目的で、衣服等を透かして見ることができる写真機等を設置し、又は人に向けてはならない。
何人も、正当な理由がないのに、住居、浴場、便所、更衣室その他人が通常衣服等の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる者に対し、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次の各号のいずれかに掲げる行為をしてはならない。
- 当該状態でいる人の姿態を見ること。
- 当該状態でいる人の姿態の映像を見、又は記録する目的で、写真機等を設置し、又は当該状態でいる人に向けること。
この事件では現場が更衣室ですので第4項第2号に該当すると考えられます。児童ポルノ禁止法違反を免れたとしても迷惑防止条例違反にはなると思われますのでお咎め無しという事にはならないでしょう。
児童ポルノ禁止法違反か迷惑防止条例違反かで大きな違いがあるのでどちらになるかにもよりますがいずれにしても罰金では30万円は下らないと思われ、もし児童ポルノ禁止法違反であってさらに余罪まで追加されてくるようだと罰金では済まされず公判請求される可能性もあるのではないでしょうか。