盗撮などの性犯罪での逮捕やその前後に関する情報を配信してまいります。

盗撮で逮捕される日

ニュース考察

先週の盗撮事件ニュース(2月1日~2月7日)

更新日:

先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。

成人式の記念撮影中に盗撮疑い カメラマンの男逮捕

成人式の記念撮影中に、女性の下着を盗撮しようとしたとして、カメラマンの男が逮捕されました。

鹿児島県の不安防止条例違反の疑いで逮捕されたのは、鹿児島市小松原1丁目のフォトグラファー(39)です。

霧島警察署によりますと容疑者は先月5日、霧島市の公園で、県内の20代女性2人の成人式の記念撮影中に、自分のスマートフォンを女性の足元に置き、下着を盗撮しようとした疑いがもたれています。当時、2人は着物姿で、容疑者の行動を不審に思った目撃者が警察に通報したということです。

警察の調べに対し、容疑者は「盗撮したことは間違いない。下着に興味があった」と容疑を認めているということです。容疑者はこの日、現場で別の女性の記念撮影も行っていたということで、警察は余罪がないかを含め捜査しています。
引用元 : MBC南日本放送 2021年2月2日 19時52分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。

成人式の記念撮影を担当していたカメラマンによる盗撮事件です。振り袖姿の新成人の足元にスマホを置いて盗撮しようとしたとの事で、曲がりなりにもプロのカメラマンならもう少しやりようがあったのではと思わないでもないですが、ライトまで点けていた事が仇になって周囲の人に目撃され通報されたようです。

なお、先月5日の事件ですので後日逮捕という事になります。目撃者が盗撮する様子を撮影していたようでそれも決め手の一つになっていると思われますが、その場で警察を呼んだのではなくそうした証拠から被疑者を特定するのに約1か月かかっていたという事なのでしょうか。

記念撮影をする新成人に対してプロのカメラマンとして動かないように指示するなど盗撮しやすい状況を作っていたのでしょうが、おそらくライト無しだと流石に足元に置いたとしても暗くてうまく盗撮できなかったのか、点けていたライトが周囲の人の目に留まった事で不審に思われたようです。周囲に人がいる状況の中で足元にスマホを置いていた事もどうかとは思いますが…。

なお、逮捕容疑は下着を盗撮しようとした疑いとされており、実際に盗撮した行為ではなく盗撮準備行為を指しているように思われます。これは目撃者が撮影した盗撮の様子などの証拠からだと盗撮しようとしていた事は明らかでも逮捕するまでに現に撮ったかどうかまでは確認できていなかったためかもしれません。

鹿児島県の不安防止条例では盗撮準備行為も処罰の対象になっていますので現に盗撮した事が確認できていなくても盗撮する目的で足元にスマホを置いていた事が疑われるようであればアウトです。

鹿児島県 不安防止条例 第2条の2

何人も,正当な理由がないのに,公共の場所にいる者又は公共の乗物に乗っている者に対し,著しく羞恥させるような又は不安を覚えさせるような次に掲げる行為その他の卑わいな言動をしてはならない。
  1. 衣服その他の身に着ける物(以下この項及び次項において「衣服等」という。)の上から又は直接身体に触れること。
  2. 衣服等で覆われている人の下着又は身体をのぞき見すること。
  3. 写真機その他の撮影する機能を有する機器(次項第2号において「写真機等」という。)を使用して,衣服等で覆われている人の下着又は身体の映像を記録し,又は記録しようとすること。
第2項
何人も,正当な理由がないのに,公衆浴場,公衆便所,公衆が利用することができる更衣室その他の人が通常衣服等の全部又は一部を着けない状態でいるような場所において当該状態でいる者に対し,著しく羞恥させるような又は不安を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。
  1. 人の下着又は身体をのぞき見すること。
  2. 写真機等を使用して,人の下着又は身体の映像を記録し,又は記録しようとすること。
第3項
何人も,正当な理由がないのに,集会場,事務所,教室その他の特定かつ多数の者が利用するような場所にいる者に対し,第1項第3号に掲げる行為をしてはならない。

この事件では現場が公園なので公共の場所という事で第1項第3号に該当していると考えられます。

因みに他の報道によると既に任意捜査に切り替えられているとの事なので、最初に逮捕しただけで既に釈放されていると思われます。被害者との示談ができれば不起訴という事もあり得そうですが厳しくても罰金30万円、余罪が追加されるようだと50万円程度までといったところではないでしょうか。

盗撮疑い 大学病院准教授を逮捕

順天堂大学の付属病院に勤める50代の准教授が、東京・文京区の路上で女子高校生のスカートの中を盗撮したとして警視庁に逮捕されました。調べに対し、「10年以上前から盗撮を続けていた」と供述しているということです。

逮捕されたのは、順天堂大学医学部付属順天堂医院の先任准教授(51)です。

警視庁によりますと、去年10月、東京・文京区の路上で信号待ちをしていた女子高校生のスカートの中を盗撮したとして、都の迷惑防止条例違反の疑いが持たれています。被害者の足元に靴を差し入れている様子を見た通行人から「盗撮しているとみられる人物がいる」と通報があり、駆けつけた警察官が現場近くにいた准教授に事情を聴いたところ、靴に取り付けた小型カメラで盗撮したことを認めたということです。

押収されたスマートフォンなどには盗撮したとみられる複数の画像が保存されていて、調べに対し「10年以上前から盗撮を続けていた」と供述しているということで、警視庁が詳しいいきさつを調べています。
引用元 : NHK 2021年2月4日 15時39分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。

大学病院の准教授による盗撮事件です。靴に取り付けた小型カメラで盗撮したといういわゆる靴カメによるもので、10年以上前から盗撮を続けていたと供述している事からもそれなりの盗撮歴があって手口が巧妙化していったベテランという印象を受けます。

大学病院の准教授というと必ずしも臨床の現場に立っている人とは限りませんが、多くの医療従事者がコロナ禍において戦っている一方でこんな人もいたのでは堪らないのではないでしょうか。本人にとってはコロナ以前のずっと前からやっていたライフワークなのかもしれませんが…。

いわゆる靴カメによる盗撮ですが、被害者の足元に靴を差し入れているのを見た目撃者からの通報という事で、一見しただけでは分かりにくい盗撮方法でもこんな不審な挙動ではバレるという事でしょう。靴にカメラが仕込まれている以上、接近する事が前提でもありますので路上の信号待ちで撮れるくらいに接近するのはこのご時世それだけで不自然でもあります。

靴カメを使用していたという事は一旦内蔵メディアやSDカードなどに記録されるのでしょうからそこからデータを取り出すにも見るにもPCが必要と思われ、スマホ以外にも押収品は多そうです。裏付けができるかどうかは別としても10年前から続けていたというからには結構な数の余罪の証拠が出てくる可能性があります。

今回の事件のみとしても手口を考えると罰金が30万円を下る事は無いのではと思われ、他の余罪の行方によっては50万円という罰金になる事もあるかもしれません。

改造バッグで女性2人盗撮 男に懲役2年求刑

おととしから去年にかけカメラを仕込んだ「改造バッグ」で女性2人を盗撮した疑いで逮捕・起訴されていた男の裁判が結審し、検察官は懲役2年を求刑しました。弁護人は「寛大な判決を求める」と主張しています。

起訴内容によりますと、土佐市新居の被告(38)は、おととし12月に高知市帯屋町の路上で、去年10月に高知市のショッピングモールで、女性のスカートの中などを盗撮したとして高知県迷惑防止条例違反の罪に問われています。被告は、小型カメラを仕込んだトートバッグを犯行に使用していて、バッグの持ち手部分のスイッチを押すとカメラの横のライトが点灯するなど、巧妙に改造されていました。

被告は過去に5回盗撮で摘発されていますが、きょうの裁判で検察官は、被告が前回、靴にカメラを仕込んで盗撮していたことに触れ、「今回はバッグにライトを取り付けるなど手口が巧妙化・悪質化している」と指摘。その上で、「犯行は常習性があり『依存症』とも言える。再犯の恐れが大きく更生への道は遠く険しい」として、被告に懲役2年を求刑しました。

一方、弁護人は「被告は犯行を真摯に反省し今後カウンセリングを受ける意思を示すなど更生への意欲を持っている」「再犯の恐れは小さく、社会的制裁も受けているため寛大な判決を求める」と主張しました。

判決は今月22日(月)に言い渡されます。
引用元 : テレビ高知 2021年2月4日 19時13分配信
※被告人の氏名部分を修正しております。

先月取り上げていた盗撮事件の公判の続報で、常習と見られる被告人に対する論告があったようです。求刑の時点で予想を超えてきましたが、これは単独の事件ではなく複数で起訴されていると見られる点とこれまでに服役した事があると思われ、それからある程度の期間を経ずに再犯に及んだ可能性がある点が影響しているのかもしれません。

前回の記事で触れているように高知県の迷惑防止条例では常習盗撮でも懲役の上限は1年ですが今回の求刑はそれを超えています。これはまず、記事で示されているように一昨年12月と昨年10月の複数の事件で起訴されていて刑罰の上限が重くなっているためと思われます。

刑法 第45条

確定裁判を経ていない二個以上の罪を併合罪とする。ある罪について禁錮以上の刑に処する確定裁判があったときは、その罪とその裁判が確定する前に犯した罪とに限り、併合罪とする。

刑法 第47条

併合罪のうちの二個以上の罪について有期の懲役又は禁錮に処するときは、その最も重い罪について定めた刑の長期にその二分の一を加えたものを長期とする。ただし、それぞれの罪について定めた刑の長期の合計を超えることはできない。

元が1年なのでこれだけでは1.5倍でも1年6月になるだけでまだ足りません。次に考えられるのは、被告人に服役経験があって前回の刑が満了してからそれ程経たずに再犯に及んでいて刑罰が重くなっている可能性です。

弁護人が「寛大な判決を求める」としていて執行猶予は求めていませんが、これは執行猶予が付けられる要件を満たしていなくてその可能性が無いため寛大な判決とするに留まっているのかもしれません。さらに執行猶予が付けられる要件を満たしていないとなると前回の刑から時間が経っていない可能性もあり、こうなると今回のように再犯に及んだ場合に刑罰の上限が重くなるケースがあります。

刑法 第56条

  1. 懲役に処せられた者がその執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に更に罪を犯した場合において、その者を有期懲役に処するときは、再犯とする。
  2. 懲役に当たる罪と同質の罪により死刑に処せられた者がその執行の免除を得た日又は減刑により懲役に減軽されてその執行を終わった日若しくはその執行の免除を得た日から五年以内に更に罪を犯した場合において、その者を有期懲役に処するときも、前項と同様とする。
  3. 併合罪について処断された者が、その併合罪のうちに懲役に処すべき罪があったのに、その罪が最も重い罪でなかったため懲役に処せられなかったものであるときは、再犯に関する規定の適用については、懲役に処せられたものとみなす。

刑法 第57条

再犯の刑は、その罪について定めた懲役の長期の二倍以下とする。

要するに前回の刑が終わってから5年以内に再び罪を犯して有期懲役となる場合は再犯として最大で2倍になるというものです。

これらを足し合わせると最大で懲役3年という事になる訳ですが、こうでもないと検察官が2年もの懲役を求めている理由に説明がつかないのでおそらく合っているのではないかと思われます。前回の記事では常習盗撮でも判決は1年弱程度の懲役と見ていましたが甘かったようで、おそらく執行猶予も付かず実刑で懲役1年6月程になるのではないでしょうか。

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