先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。
パチンコ店で店員女性のスカート内を何度も盗撮 男を逮捕
パチンコ店で女性店員のスカート内にスマートフォンのカメラを向けたとして、兵庫県警三田署は15日、県迷惑防止条例違反の疑いで三田市の派遣社員の男(31)を逮捕した。
逮捕容疑は2日午後3時半ごろ、市内のパチンコ店で店員の女性(28)のスカート内に計3回、スマホのようなものを差し入れた疑い。調べに「盗撮したことに間違いない」と容疑を認めている。
同署によると、男が女性に近づく不審な動きを他の店員が目撃。店の防犯カメラに盗撮する様子が映っていたため同日、被害届を出したという。
引用元 : 神戸新聞 2021年2月15日 15時52分配信
パチンコ店での盗撮事件です。女性店員のスカート内に何度もスマホを差し入れていたようですが、女性店員に近づく不審な動きを他の店員が目撃したとされており盗撮する前段階の物色時から目を付けられていたと見られます。
盗撮する瞬間は見られないようにしていたのかもしれませんが、パチンコ店のような防犯カメラが満載された場所で逃れられるはずも無く盗撮している様子が捉えられていた事で被害届に繋がったようです。
事件が起きてから逮捕されるまで2週間程度経っているようなので後日逮捕と見られますが、被疑者の特定はどのようにしたのかについては触れられていません。被疑者がそれなりの頻度でこのパチンコ店に通っていたのであれば会員登録などしていた可能性もありますし、後日また来店したところを押さえたという事も考えられるでしょうか。
一度やったらうまくいったので欲をかいて2回も3回も繰り返したのかもしれませんが、他の店員が目撃した不審な動きというのが1回目以降の話かもしれないので1回目で止めておけばバレていなかった可能性もあるだけに捕まるべくして捕まった事例なのかもしれません。
被害者の女性店員と示談ができれば不起訴となる事もあり得ますが、もしできなければ罰金30万円程度のお決まりのパターンなのではないでしょうか。
「盗撮の通報」相次ぐ地下通路 スマホで10代女性のスカート内撮影の疑い
北海道・釧路警察署は16日、北海道迷惑行為防止条例違反の疑いで、釧路市に住む男(51)を逮捕しました。
男は1月29日午前8時前、釧路市北大通14丁目のJR釧路駅の地下通路で、10代の女性のスカートの中にスマートフォンを差し向けた疑いがもたれています。女性は当初被害に気が付きませんでしたが、付近を歩いていた人が男の行為を見つけ警察に通報しました。
警察は男の認否を明らかにしていません。
この地下通路では同様の通報が数件寄せられていて、警察は男の余罪の可能性も含めて捜査しています。
引用元 : 札幌テレビ放送 2021年2月17日 9時20分配信
地下通路における盗撮事件ですが被疑者の認否が明らかにされておらず、もしかすると否認しているという可能性があります。事件が起きたのが約1か月程前なので当日に現場で取り押さえられたのではなく後日逮捕という事もあり得ますが、否認しているとすれば現行犯ではなかった事で白を切っているというのも考えられます。
どういった地下通路なのかわかりませんが、駅の地下通路というと一般的には逃げ場も死角もあまり無さそうな場所が想像されるのでスマホで直接盗撮するには向かない場所であるように感じられます。それが影響しているのか実際に盗撮の通報が相次いでいるようなのでやはりバレバレの場所なのではないでしょうか。
勿論通報が寄せられている盗撮がこの被疑者によるものであると決まっている訳ではありませんが、都市部で盗撮が頻発しているスポットのような場所ならともかく釧路駅の地下通路で何人もが盗撮に及んでいるという事も考えづらく、いずれもこの被疑者による盗撮という疑いは強いと思われます。
なお、逮捕容疑は迷惑防止条例違反でも盗撮ではなくスマホを差し向けたという盗撮準備行為に留まっているようで、これは目撃者の証言等から客観的に確認できるのがスカート内にスマホを向けて盗撮しようとしていた行為までであって現に盗撮した事までは確認できていなかったためと考えられます。
北海道の迷惑防止条例でも盗撮する目的でスカート内にスマホを向けるだけでアウトになりますので、実際に盗撮した事が確認できていなくても迷惑防止条例違反として逮捕されます。
北海道 迷惑行為防止条例 第2条の2
公共の場所又は公共の乗物にいる者に対し、著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をすること。
- 衣服等の上から、又は直接身体に触れること。
- 衣服等で覆われている身体若しくは下着をのぞき見し、又は映像面に衣服等を透かして身体若しくは下着の映像を表示する機能を有する機器を使用して当該映像を見ること。
- ア及びイに掲げるもののほか、卑わいな言動をすること(次号に掲げる行為を除く。)。
公共の場所若しくは公共の乗物又は集会場等(集会場、事務所、教室、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所及び乗物をいい、公共の場所及び公共の乗物を除く。第4号において同じ。)にいる者に対し、著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をすること。
- 衣服等で覆われている身体又は下着を撮影すること(次号に規定する状態の他人に対して行う場合を除く。)。
- アに掲げる行為をするため、写真機、ビデオカメラその他の撮影する機能を有する機器(次号及び第4号において「写真機等」という。)を向けること。
住居、浴場、便所、更衣室その他の人が衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所(以下この号及び次号において「住居等」という。)における当該状態の他人の姿態を撮影し、又はこれを撮影するため写真機等を住居等における当該状態の他人に向けること。
公共の場所若しくは公共の乗物若しくは集会場等にいる者の衣服等で覆われている身体若しくは下着又は住居等における前号に規定する状態の他人の姿態を撮影するため、写真機等を設置すること。
この事件では現場が駅の地下通路という事で公共の場所と判断されると思われますので第2項(イ)に該当していると考えられます。
今回逮捕された分だけだと盗撮準備行為に留まってしまいますので警察としては余罪も含め実際に盗撮した行為を裏付けて立件したいのではないでしょうか。被害者との示談ができないとしても盗撮準備行為のみとなってしまえば10万円や20万円といった罰金に留まってしまうかもしれませんが、盗撮行為が裏付けられれば30万円は下らない罰金になるのではと思われます。
トイレ個室奥の清掃用ブラシに盗撮カメラ設置 容疑で会社員の男逮捕/徳島県警
徳島県警少年女性安全対策課と徳島中央署は19日、阿波市の会社員の男(39)を県迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕した。
逮捕容疑は、18日午後6時10分ごろ、盗撮をしようと徳島駅周辺のビルにある女子トイレの個室に小型カメラを設置したとしている。
カメラはペン型で個室奥の清掃用ブラシの中に隠されていた。利用者がカメラに気付いた。男は容疑を認めている。
引用元 : 徳島新聞 2021年2月20日 5時1分配信
この事件はトイレ盗撮ですが、こちらも逮捕容疑は盗撮の目的でトイレに小型カメラを設置したという盗撮準備行為に留まっているようです。ペン型のカモフラージュカメラを仕掛けていたようで、トイレ利用者の女性が撮られる前に見つけたのでしょう。
記事があっさりしていて詳細が不明ですが、トイレなどに仕掛けるタイプの盗撮では被疑者が現場から離れている事が多く後日逮捕になるケースが少なくないところ、この事件は18日の18時頃に発生して逮捕が19日なので後日逮捕ではないように思われます。事件発生時に現場付近にいたところを任意同行で警察署へ行き、取り調べを経て容疑が固まったので逮捕という事なのかもしれません。
或いは仕掛けていたカメラに被疑者が映り込んでいてすぐに特定される程近しい人間だったとかそういう事かと思われますが、いずれにしても事件発生から逮捕までに時間がかかっていないので丹念に調べて被疑者を特定したというようなトイレ盗撮事件では無さそうです。
徳島県の迷惑防止条例でもトイレにおける盗撮行為や、盗撮目的でカメラ等を仕掛ける盗撮準備行為は処罰の対象になっていますので、何も撮れていなくても仕掛けただけでアウトです。
徳島県 迷惑行為防止条例 第4条
- 衣服等の上から、又は直接身体に触れること。
- 通常衣服等で覆われている下着又は身体(以下「下着等」という。)をのぞき見し、又は撮影すること。ただし、第三項に該当するものを除く。
- 衣服等を透かして下着等の映像を表示する機能を有する機器の当該機能を使用して、下着等の映像を見、又は下着等を撮影すること。
- 前三号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
何人も、集会場、事務所、教室、貸切バス、タクシーその他の不特定又は多数の人が利用するような場所(公共の場所を除く。)にいる人又は乗物(公共の乗物を除く。)に乗つている人に対し、その性的羞恥心を著しく害し、又はその人に不安を覚えさせるような方法で、前項第二号に規定する行為をしてはならない。
何人も、住居、浴場、便所、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所における当該状態にある人に対し、正当な理由がないのに、第一項第二号本文に規定する行為をしてはならない。
何人も、正当な理由がないのに、第一項及び第二項に規定する場所にいる人若しくは乗物に乗つている人又は前項に規定する場所における同項に規定する状態にある人の下着等を撮影(第一項第二号本文に規定する行為に限る。)する目的で、写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器を向け、又は設置してはならない。
現場がトイレですので実際に盗撮にまで至っていれば第3項に該当する事になりますが、盗撮に至らず盗撮目的で設置したところまでという事になりますので第4項に該当していると考えられます。
実際に盗撮までしている余罪等もありそうですがその辺りは明らかにされておらず、今回の盗撮準備行為のみという事もあり得るのではと思われます。示談するなどして不起訴に持っていくのが被疑者にとっては良いでしょうが、それができず処罰されるとしても厳しくて罰金30万円といったところではないでしょうか。