先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。
鎌倉市職員 盗撮の疑いで逮捕
神奈川県の鎌倉市役所の48歳の課長補佐が、JR横須賀線の車内で女子高校生のスカートの中にスマートフォンを差し入れたとして逮捕されました。
逮捕されたのは横須賀市に住む、鎌倉市役所行政経営部の課長補佐(48)で、警察によりますと17日午前8時すぎ、JR横須賀線の車内で高校2年の女子生徒のスカートの中に、カメラ機能の付いたスマートフォンを差し向けたとして県の迷惑行為防止条例違反の疑いが持たれています。
容疑者は、かばんの中にスマートフォンを入れ、電車から降りる際に女子生徒にかばんごと差し向けていたということです。不審な男が盗撮を繰り返しているという相談を受けて、警察官が警戒のため電車に乗っていて事件を目撃し、その場で逮捕したということです。
警察の調べに対し、「スカートの中を盗撮しようとした。これまでも何度かやった」と供述し、容疑を認めているということです。
鎌倉市の松尾崇市長は「被害者の方には多大なるご迷惑をおかけしましたことを深くおわび申し上げます。職員の処分などについては厳正に対処してまいります」というコメントを出しました。
引用元 : NHK 2018年4月17日 17時13分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
鞄の中にスマホを隠し入れて盗撮するという手口ですが、一応は考えているようでもスカートの下に鞄という状況だけで怪しむ人もいるので繰り返していればいずれは見つかることになります。
もちろん、電車内などで目を皿にして他人の挙動をチェックしている人がそう多いとは思いませんが、この事件が起きたのは通勤通学の時間帯でしょうか、毎朝同じ人と顔を合わせることなど当たり前にありますし誰かが一度違和感を覚えたら翌日以降注視されることもあるでしょう。
警察に寄せられた相談としても「不審な男が盗撮を繰り返している」とのことなので、一度ではなく何度か盗撮している場面を見られて通報されていると見られます。第三者に盗撮がバレていることに気付かず繰り返していた点でも詰んでいるとは言えますが…。
不審な挙動を目にして一度では盗撮の確信が持てなくても、二度三度と目にすれば確信に変わって通報に至る場合もあります。毎朝同じ人ともなれば確認もしやすくなるでしょう。
日課やルーチンのように同じ場所や区間、経路で盗撮を繰り返すのはその盗撮を怪しんでいるかもしれない人たちに現認する機会をより多く与えているということでもあります。
児童の裸盗撮 元教諭に有罪判決
道南の江差町の小学校でのべ30人を超える児童の裸を盗撮したなどの罪に問われている元教諭に対し、函館地方裁判所は「教諭の立場を利用した悪質な犯行だが、反省の態度を示している」として、執行猶予の付いた懲役2年6か月の判決を言い渡しました。
江差町の小学校の元教諭(33歳)は、おととし4月から1年余りの間に、保健室で検診を受けていたのべ30人を超える女子児童の裸をペン型や腕時計型の隠しカメラで盗撮し、SDカードに記録していたなどとして児童ポルノ禁止法違反の罪に問われました。
17日の判決で函館地方裁判所の橋本健裁判官は、「自分の性欲を満たすため教諭の立場を利用した悪質な犯行だ」と指摘した一方で、「反省の態度を示し、社会的制裁を受けている」などとして、懲役2年6か月、執行猶予4年を言い渡しました。
元教諭は先月、道教育委員会から懲戒免職の処分を受けています。
引用元 : NHK 2018年4月17日 17時19分配信
※被告人の氏名部分を修正しております。
起訴されてからこれまで3回にわたって取り上げている盗撮による児童ポルノの製造事件について判決が出ています。
前回の記事では量刑について懲役2年に執行猶予4年程度と見ていたところ、執行猶予の期間はその通りでしたが懲役は2年6月と予想を少し上回ってきました。教員としての立場を利用した悪質性や常習性が重く見られたようです。
既に懲戒免職処分として社会的制裁を受けており、おそらくは初犯と思われることからも執行猶予が付けられていますが、2年6月の懲役というのは盗撮事案(実際は児童ポルノ事案)としては相当厳しいものです。
スカート内の盗撮などの迷惑防止条例違反事件だけなら2回捕まっても刑務所へ行くということはほとんどありませんが、この被告人の場合は少なくともこれから4年間は再犯したら服役が視野に入ってきます。
罰金で済むような程度の軽い事件なら公判請求されずに服役は免れるかもしれませんが、色んな種類のカモフラージュカメラを使用したり盗撮目的で女子児童の家の敷地に入っていたりと女児に対する強い性的嗜好が窺われます。もし再犯で女児に対して同種の盗撮事件やわいせつ事件などを起こそうものなら今回の分と合わせて4,5年は務めることになりかねません。
最初から女児を狙っていたと見られますのでもし迷惑防止条例違反だったら…と仮定する余地はあまり無いですが、同じ盗撮といえど被害者の年齢によってはこれだけ厳しい罰にもなるということは留意しておいた方が良いでしょう。
<卑わいな言動容疑>「5年前から盗撮やのぞきを300回」
女子高校生のスカートの中をのぞいたとして、大阪府警東署は20日、東大阪市立小学校教諭(39)=同府富田林市寺池台3=を府迷惑防止条例違反(卑わいな言動)の疑いで現行犯逮捕した。「5年くらい前から、盗撮やのぞきを300回くらいやった」と容疑を認めているという。
逮捕容疑は20日午前7時25分ごろ、大阪市中央区の大阪メトロ長堀鶴見緑地線玉造駅で、階段を上っていた女子高生の後ろで身をかがめ、スカートの中をのぞき見したとしている。
東署によると、容疑者は通勤中だった。スマートフォンには複数の女性を盗撮したとみられる画像が保存されており、同署が関連を調べている。東大阪市教委は「厳正に対処する」としている。
引用元 : 毎日新聞 2018年4月20日 23時13分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
「5年くらい前から盗撮やのぞきを300回」と見出しでも強調されていたり、スマホに盗撮画像が保存されていたりといった点で第一印象から盗撮常習者のように思われますが、事件の内容としては駅構内の階段で女子高生のスカート内をのぞき見したというだけのものです。
階段で前方にいる女性のスカートの中を見ただけで逮捕されるのかというとこれは否定できません。階段で顔を上げたら偶然見えたというような状況においてはもちろん違いますが、この事件の場合は女子高生の後ろで身を屈めて覗き込んでいたことがポイントになるでしょう。
境界線が曖昧なようにも思えるところ、階段での覗き込みに限った話ではなく偶然見えた、たまたま写り込んだというものと、意図的に覗き込んだ、狙って撮影したというものとでは結果に違いが出るものです。
ところで、ニュースの見出しでも本文でも逮捕容疑を迷惑防止条例違反の「卑わいな言動」としている点がやや気になります。
大阪府 迷惑防止条例 第6条
- 人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、公共の場所又は公共の乗物において、衣服等の上から、又は直接人の身体に触れること。
- 人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、公共の場所又は公共の乗物における衣服等で覆われている内側の人の身体又は下着を見、又は撮影すること。
- みだりに、写真機等を使用して透かして見る方法により、公共の場所又は公共の乗物における衣服等で覆われている人の身体又は下着の映像を見、又は撮影すること。
- 前三号に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をすること。
何人も、みだりに、公衆浴場、公衆便所、公衆が利用することができる更衣室その他公衆が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所における当該状態にある人の姿態を撮影してはならない。
何人も、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、教室、事務所、タクシーその他の不特定又は多数の者が出入りし、又は利用するような場所又は乗物(公共の場所又は公共の乗物を除く。)における衣服等で覆われている内側の人の身体又は下着を見、又は撮影してはならない。
何人も、第一項第二号若しくは第三号又は前二項の規定による撮影の目的で、人に写真機等を向け、又は設置してはならない。
わざわざ括弧書きして卑わいな言動とするからには第1項第4号に違反した疑いだと窺えますが、この事件の内容なら第2号でもいいように思えます。違いは「衣服等で覆われている内側の人の身体又は下着を見た」か「卑わいな言動をした」かです。
ちなみに「言動」には「発言」以外に「行動」も含みます。
ニュースの表現の問題で第4号の違反に見えるだけかもしれませんが、スカートの中を覗き込んで見えたものが下着ではなかった、あるいはそもそも見えなかったということで第4号が適用されている可能性もあるかもしれません。
この場合、盗撮において実際に撮影の行為を行ったかどうかが関係ない場合があるように、実際にスカート内の下着を見たかどうかに関係なく、身を屈めてスカート内を覗き込んだことが迷惑防止条例違反になると考えられます。
なお、常習性と余罪の可能性が窺えるのでそれら次第ではありますが、今回の事件だけ取り上げると階段でスカート内を覗き込んだという、盗撮や痴漢と比べると程度の軽い行為なので既に釈放されていて最終的な刑事処分としても軽微なものになる可能性もあるでしょう。
5年くらい前から盗撮やのぞきを300回くらいやったという供述についてスマホに保存されていた盗撮画像などから裏付けして立件できれば別ですが、それができなければこの事件だけでは比較的少額の罰金、または示談交渉や情状等によっては不起訴(起訴猶予)もあり得るかもしれません。