先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。
女性宅のドアポストにスマートフォン差し込み盗撮 20歳の男を逮捕 静岡・富士市
深夜、マンションの女性の部屋のドアポストにスマートフォンを差し込んで盗撮したとして、静岡県富士市に住む20歳の男が逮捕されました。
県迷惑防止条例違反の盗撮の疑いで逮捕されたのは、富士市の20歳の会社員の男です。
富士警察署によりますと、この男は、15日午後11時頃、富士市内のマンションで30歳代の女性が暮らす部屋のドアポストに自分のスマートフォンを差し込み、女性を盗撮した疑いがもたれています。当時、部屋の中にいた女性が犯行に気づき警察に通報し、駆け付けた警察官が近くにいた男を発見し逮捕しました。
警察は男が容疑を認めているかやスマートフォンに画像データが残っていたかについて、明らかにしていません。男は、被害に遭った女性と同じマンションに住んでいましたが、2人の間に面識はなかったということです。
引用元 : テレビ静岡 2021年8月16日 11時28分配信
マンションのドアポストにスマホを差し込んで盗撮したという事件です。被害を受けた女性は当時在宅だったようで普通に気付かれて通報されているようです。ドアポストにスマホを差し込むというストレートな手口ですが、部屋の中にいる人に気付かれないように無音でやるのはなかなか難しいのではないでしょうか。
手やスマホが当たって物音がすれば、部屋の中でいつも過ごしている日常では発されない音となるでしょうからすぐに違和感には気付きそうなものです。被疑者と被害者は同じマンションの住民だったようで、恐らく前々から目を付けていたのでしょうが、盗撮する余地があったのがこの方法だけだったのかもしれません。
尚、認否と共にスマホに盗撮データが残っていたかどうかも明らかにされていないようですが、もしかすると現場でバレて逃走するに際にデータを消去していて残っていないのかもしれません。更に、ドアポストからスマホを差し入れるという手口からすると被害者は被疑者の顔を見ていないと思われ、データも無く顔も見られていないなら白を切れると思っている可能性はあります。
ドアから指紋が検出されて被疑者と一致したとか、消去された盗撮データが復元できたとか、そういった物的証拠が無い場合、被疑者が否認しているとすると裏付けはなかなか難しいかもしれません。
静岡県の迷惑防止条例でもマンションの部屋のようなプライベートな場所における盗撮行為が処罰されますので、この事件も行為自体はアウトです。
静岡県 迷惑行為防止条例 第3条
- 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から、又は直接人の身体に触れること。
- 公共の場所又は公共の乗物にいる人の下着又は身体(これらのうち衣服等で覆われている部分に限る。以下「下着等」という。)をのぞき見ること。
- 公共の場所又は公共の乗物にいる人の下着等を見る目的又はその映像を記録する目的で、写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置し、又は下着等に向けること。
- 公共の場所又は公共の乗物にいる人の下着等を見る目的又はその映像を記録する目的で、衣服等を透かして見ることができる機器を設置し、又は人の身体に向けること。
- 前各号に掲げるもののほか、公共の場所又は公共の乗物にいる人に対して、卑わいな言動をすること。
何人も、正当な理由がなく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法により、住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服の全部若しくは一部を着けない状態でいるような場所に当該状態でいる人の姿態を見る目的又はその映像を記録する目的で、写真機等を設置し、又は人の身体に向けてはならない。
この事件では現場が住居になると思われますので第2項に該当していると考えられます。因みに盗撮準備行為を処罰する規定もありますので、盗撮できていなくても盗撮目的でドアポストにスマホを差し込んだ事を認めてればアウトになります。
仮に被疑者が否認しているとして、そのまま否認していても起訴できる程の証拠が押さえられているかどうかによりますが、もしそうした証拠が無ければ嫌疑不十分或いは処分保留で釈放という事はあり得るかもしれません。勿論、決定的な証拠が押さえられているのであれば30万円程度の罰金は免れないのではないでしょうか。
玄関のドアスコープから室内を盗撮した疑い 42歳会社員を再逮捕
ドアに設置されたドアスコープ(のぞき穴)から室内を盗撮したなどとして、京都府警亀岡署は17日、亀岡市の会社員(42)を府迷惑行為等防止条例違反(卑わいな行為の禁止)と住居侵入の疑いで再逮捕した。
再逮捕容疑は2020年9月、同市の女性会社員(25)宅の玄関ドアに設置されたドアスコープから、スマートフォンのカメラで着替え中の女性を動画で撮影、同11月には女性宅に侵入したとしている。調べに「他人の家に侵入する背徳感がたまらなかった」などと容疑を認めているという。
同署によると、容疑者は片目でのぞく単眼鏡をドアスコープに当てて撮影したという。スマホからは、女性宅に侵入した際に撮影したとみられる室内の写真約200枚も見つかった。女性とは面識がなかったといい、同署は余罪の可能性もあるとみて調べている。容疑者は、別の住居侵入未遂などの疑いで逮捕されていた。
府警はドアスコープからの盗撮を防ぐため、来客時以外はスコープにカバーをかけたり、テープでふさいだりするよう勧めている。
引用元 : 毎日新聞 2021年8月17日 18時49分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
こちらはドアスコープからの盗撮事件です。ドアポストにスマホを差し込んだりドアスコープから盗撮したりとドアに絡んだ盗撮に縁のある週だったようです。
被疑者は今回の事件が再逮捕となっており、既に別の住居侵入未遂等の事件で逮捕されていたとの事です。今回の事件について発覚の経緯などに触れられていないので、恐らく先に逮捕されていた別の事件の捜査で押収したスマホから今回の事件の証拠が出てきて発覚したのではと思われます。「女性宅に侵入した際に撮影したとみられる室内の写真約200枚」というのが発覚のきっかけでしょうか。
別の住居侵入未遂というのも盗撮絡みの事件なのかもしれません。外から盗撮するところまでは分からなくも無いですが、部屋の中に侵入までしているとなると確かに余罪も疑われますので他にも侵入した証として写真を撮るなどしていたとしたら更に余罪が追加されてくる可能性があります。
京都府の迷惑防止条例でも住居の盗撮行為や盗撮準備行為は処罰の対象となっています。
京都府 迷惑行為防止条例 第3条
- 他人の身体の一部に触ること(着衣その他の身に着ける物(以下「着衣等」という。)の上から触ることを含む。)。
- 物を用いて他人の身体に性的な感触を与えようとすること。
- その意に反して人の性的好奇心をそそる姿態をとらせること。
- 着衣等で覆われている他人の下着又は身体の一部(以下「下着等」という。)をのぞき見すること。
- 前号に掲げる行為をしようとして他人の着衣等の中をのぞき込み、又は着衣等の中が見える位置に鏡等を差し出し、置く等をすること。
- 着衣等を透かして見ることができる機器を使用して、着衣等で覆われている他人の下着等の映像を見ること。
- 異性の下着を着用した姿等の性的な感情を刺激する姿態又は性的な行為を見せること。
- 人の性的好奇心をそそる行為を要求する言葉その他の性的な感情を刺激する言葉を発すること。
- 前各号に掲げるもののほか、卑わいな言動(次項から第4項までに規定する行為を除く。)をすること。
何人も、公共の場所、公共の乗物、事務所、教室、タクシーその他不特定又は多数の者が出入りし、又は利用する場所又は乗物にいる他人に対し、前項に規定する方法で、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
- 通常着衣等で覆われている他人の下着等を撮影すること。
- 前号に掲げる行為をしようとして他人の着衣等の中をのぞき込み、又は撮影する機能を有する機器(以下「撮影機器」という。)を通常着衣等で覆われている他人の下着等に向けること。
- 前項第6号に規定する機器を使用して、通常着衣等で覆われている他人の下着等の映像を撮影すること。
何人も、住居、宿泊の用に供する施設の客室、更衣室、便所、浴場その他人が通常着衣の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる他人に対し、第1項に規定する方法で、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
- 当該状態にある他人の姿態を撮影すること。
- 前号に掲げる行為をしようとして、他人の姿態に撮影機器を向けること。
何人も、第1項に規定する方法で第2項に規定する場所若しくは乗物にいる他人の着衣等で覆われている下着等又は前項に規定する場所にいる着衣の全部若しくは一部を着けない状態にある他人の姿態を撮影しようとして、みだりに撮影機器を設置してはならない。
この事件では被害者の女性の住居で着替え中の姿を盗撮したという事で第3項第1号に該当していると考えられます。因みに盗撮できなくてもスマホやカメラなどを向けるだけで第2号に該当する事になります。
複数の住居侵入と迷惑防止条例違反という事になので初犯だとしても示談ができないと厳しい処罰が待っているかもしれません。示談ができれば50万円程度の罰金で済むかもしれませんが、それができなければ公判請求される可能性もあるのではないでしょうか。
東京メトロ駅員が盗撮 勤務先の成増駅女子トイレ
東京メトロは20日、有楽町線・副都心線の地下鉄成増駅(東京都板橋区)で、20代の男性駅員が女子トイレにカメラを仕掛けて盗撮していたと発表した。問題の発覚を受けて全駅のトイレを点検したが、他に異常は見つからなかった。「乗客の信頼を損ね、深くおわびする。社員教育を徹底し、再発防止に取り組む」としている。
東京メトロによると、3月12日、個室のドアの内側にある掲示物の裏にカメラが取り付けられていることが、利用客の申告で判明。駅員が110番した。同社が8月に男性駅員から聞き取りをした結果、関与を認めた。男性駅員はその翌日、都内で遺体で見つかった。自殺とみられる。
引用元 : 共同通信 2021年8月20日 17時0分配信
東京メトロの駅員が勤務先の駅の女子トイレにカメラを仕掛けて盗撮したという事件です。警察への通報後、今月になってから駅員へ聴取したところ認めたとの事ですが、翌日遺体で発見されたとして自殺した模様です。そのため事件化されても被疑者死亡という事で終結するのではと思われます。
トイレに仕掛けられたカメラが見つかったのが3月で、それから5か月も経ってから会社の聴取が行われているのはやや気になるところです。会社からの聴取で認めるくらいなら警察の捜査が先に検挙するのではとも思えますが、その間警察は何をしていたのでしょうか。
会社からの聴取は取り調べではないので無理には行えなかったと見られ、恐らく5か月かけて疑わしい人物を炙り出していたのかもしれません。外堀を埋められて逃げ切れないと考えたのか、聴取に対して関与を認めたようですが、捕まるのを恐れて自殺してしまったようです。
捕まるのが自殺する程嫌なら何故やったのかと思ってしまうところですが、やはりバレる事を想定せずにやっていたのかもしれません。しかし手口が巧妙なので今回初めて仕掛けてすぐにバレたとも思えず、これまでにも盗撮を繰り返していた可能性はあります。尤も、被疑者が死亡しているので過去の余罪までは掘らないのではないでしょうか。
自殺せずに捕まって然るべき手続きを踏んでいたとしたら30万円から50万円程度の罰金だったのではないかと思われます。被疑者がそうした罰を受ける事はありませんが、経緯が経緯だけに残された家族が不憫でなりません。