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再犯防止等推進法に実効性を持たせられるか?

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国会で再犯防止等推進法が可決、成立

盗撮など性犯罪だけの話ではありませんが、今日国会で再犯防止等推進法が可決されて成立しました。再犯を防ぐための法律で具体的な施策の策定はこれからのようですが、果たして実効性のある法律にしていくことができるでしょうか。

政府と地方自治体に施策を策定して講じる責任があると明記

犯罪を犯した人が再び罪を犯すのを防ごうと、政府や地方自治体に必要な施策を講じる責任があることを明記した、再犯防止等推進法が7日の参議院本会議で全会一致で可決されて成立しました。

再犯防止等推進法は、刑法犯として検挙された人のうち、過去に検挙されたことがある「再犯者」の割合が増え続けていることなどを受けて、政府と地方自治体に具体的な施策を策定して講じる責任があると明記しています。そのうえで、政府に対して、犯罪を犯した人の就労支援や住居の確保などの必要な施策を盛り込んだ「再犯防止推進計画」を定めるよう義務づけているほか、地方自治体も推進計画の策定に努めなければならないとしています。
引用元 : NHK 2016年12月7日 20時23分配信

一般刑法犯の約半数が再犯者と言われており、筆者もこういった範疇に収まっているので大きなことは言えませんが再犯対策というものは社会として取り組むべき問題であると言えます。

取り組むべきとする根拠については法務省が発表している資料に掲載されていますが、初犯者と再犯者の人員比としては概ね7:3となっているところ、犯歴の件数比では概ね4:6と逆転しており、約3割の再犯者によって全体の約6割の犯罪が行われていることを示しています。極端な話、3割をどうにかできれば犯罪が半減するとも言えます。

この法律には政府と地方自治体が具体的な施策を策定し、それを講じる責任があると明記されています。法案の内容概要はそれぞれ衆議院のウェブサイトに掲載されていますが、これらの施策にどれだけ実効性を持たせることができるかが今後気になるところです。

これまでの問題点

ただ、これまで別に無策だったわけではなく、法務省などが中心となって各刑務所や保護観察所でも再犯防止に関することは行われてきました。そもそも懲役自体に勤労意欲を高める目的があったり、手に職をつけるための作業や職業訓練があったり、釈放前に就労支援があったり、それなりの取り組みは現在でも行われています。

それらを再犯防止へつなげることがあまりできていない原因には様々ありますが、代表的なものとしては以下が挙げられます。

ごく一部の受刑者しか受けられない職業訓練

各種の資格が取得できる職業訓練は全国の刑務所で行われていますが、これの受講は極めて狭き門となっています。職業訓練はその内容によって短いものでは3か月から長いものでは2年などといった期間が設定されていますが、全国で数万人規模の受刑者のうち、1つの期間で同時に受講できるのは10人や20人といった少数の職業訓練がほとんどです。

受講にあたっては行刑状況や出所後の就労意欲、学歴状況などによって厳選されますので必然的に行刑態度が良くて就労意欲もある「見込みのある受刑者」が選ばれやすくなり、それとは真逆でこのまま社会復帰させて大丈夫なのかと思われるような受刑者はほぼ選ばれません。実際にこれまで見てきた中でもこの傾向に沿っています。

後者のような受刑者にこそ就労につなげる施策が必要なのですが、職業訓練をせずに放っておいても大丈夫なんじゃないかと思われる前者のような受刑者にしか受講が許されていないのが実態です。

就職の役に立たない刑務作業

こちらも記事でも少し触れたように、刑務作業として行われているのは誰でもできるような軽作業や単純作業が多くなっており、出所後の就職に役立つような技能が身につかないばかりか、そのことを受刑者側も理解しているので勤労意欲の向上にも寄与していません。

金属加工など技術が活かせる可能性がある作業も一部あり、矯正展に出品されている家具や日用品などを見ると見事に感じることもありますが、紙を折って紙袋を作ったり、布オムツを手で伸ばしてシワを取ったりする作業では出所後に何の役にも立ちませんし、見事なハンドメイド家具を作れても機械化された現在では就職先を見つけるのが困難でしょう。

困難な出所後の住居確保

再犯者ともなると出所後の引受人がいないというケースは珍しくなく、出所後に行くアテがないという人は多数存在しています。出所時に支給されるわずかな作業報奨金ではアパートの契約などもできない場合が多いでしょう。

出所後の元受刑者を一時的に受け入れる更生保護施設という施設もありますが、主に帰住先がない仮釈放者を刑の満期まで保護する施設という性格が強く、人数に制限もあるため単に行くアテがないというだけでは仮釈放者優先ということで断られるケースがほとんどです。

筆者も過去、出所後の住居に困ったことがあって保護観察所や更生保護施設に相談したことがありますが、刑が終了している元受刑者まで面倒を見る義務はないとばかりにすべて断られています。そのときは幸いにも仕事はありましたので、なんとか宿に使える場所を確保できてホームレスになるのは避けることができましたが、出所後の住居の確保が困難なケースは多々あります。

最強のセーフティネット「生活保護」

日本には健康で文化的な最低限度の生活を保障する生活保護という制度があり、出所後で仕事や住居、知人など頼るアテが何もなく、生活が困窮している元受刑者も受給が可能です。受給までのコツを熟知している人であれば出所後は生活保護に頼れば良いわけなので就職の必要もなく、住宅扶助や医療扶助も付いてくるまさに最強のセーフティネットです。

日本全体が高齢化しているように受刑者も高齢化しており、50代や60代の受刑者が社会復帰して就職するというのは非常に困難な現実があります。そのため、今後も出所後は生活保護に頼るという受刑者が減ることはないように思います。

最後に

問題点の最後に挙げましたが、再犯防止等推進法に実効性を持たせることができるかどうかは生活保護との兼ね合いがあるように感じています。生活保護の受給自体は再犯防止の観点とは関係しませんが、再犯防止等推進法によって出所後も何らかの世話を焼いてくれるとしても、それで得られるメリットが生活保護を上回らない限りは従来通り生活保護に流れるだけの方が楽なわけです。

最終的に生活保護に流れるという術がある限りはボトムアップ的な施策は骨抜きになる可能性があるので、今後どういった施策が講じられるのか発表を待っていきたいと思います。

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