先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。
下着盗撮目的で保健室にカメラ 京都、容疑で高校教諭逮捕
京都府警宮津署は30日、勤務先の高校に侵入して盗撮目的でカメラを設置したとして、建造物侵入の疑いで、宮津市滝馬、宮津高伊根分校教諭の男(25)を逮捕した。男は「女性の下着姿などを盗撮するためにカメラを仕掛けた」と容疑を認めているという。
逮捕容疑は、4月9~24日の間、伊根町日出の分校内に侵入し、盗撮目的でカメラ1台を設置した疑い。
同分校によると、24日午後4時半ごろ、同分校の女性教諭が学校1階の保健室内に置かれている小型カメラを発見。カメラのデータを確認すると男が写っていたという。校長らがカメラについて問いただすと「自分のもの」と認め、25日に同署に申告した。
引用元 : 京都新聞 2018年4月30日 17時47分配信
女性の教職員や女子生徒の下着姿を盗撮する目的で保健室にカメラを仕掛けたとのことで、下着姿ということは着替えなどがそれなりの頻度でされていたから見込みがあって仕掛けたように思われますが、保健室でそれほど着替えなどをするものなのでしょうか。
滅多に保健室で下着姿にならないのにカメラを仕掛けても目的の盗撮がいつできるかわかりませんのである程度の見込みが立っていて仕掛けたのでしょうが、女子更衣室が無くて代わりに保健室を使っていたなど学校側の事情もあるのかもしれません。
なお、この事件では逮捕容疑が建造物侵入のみとなっているところ、京都府では学校内での盗撮に迷惑防止条例の規制が及ばないのではと考えられます。
京都府 迷惑行為防止条例 第3条
- みだりに、他人の身体の一部に触ること(着衣の上から触ることを含む。)。
- みだりに、物を用いて他人の身体に性的な感触を与えようとすること。
- みだりに、他人に、その意に反して人の性的好奇心をそそる姿態をとらせること。
- みだりに、着衣で覆われている他人の下着又は身体の一部(以下「下着等」という。)をのぞき見すること。
- みだりに、前号に掲げる行為をしようとして他人の着衣の中をのぞき込み、又は着衣の中が見える位置に鏡等を差し出し、置く等をすること。
- みだりに、写真機等を使用して透視する方法により、着衣で覆われている他人の下着等の映像を見ること。
- みだりに、他人に、異性の下着を着用した姿等の性的な感情を刺激する姿態又は性的な行為を見せること。
- みだりに、他人に、人の性的好奇心をそそる行為を要求する言葉その他の性的な感情を刺激する言葉を発すること。
何人も、公共の場所、公共の乗物その他の公衆の目に触れるような場所において、前項に規定する方法で、次に掲げる卑わいな行為をしてはならない。
- みだりに、着衣で覆われている他人の下着等を撮影すること。
- みだりに、前号に掲げる行為をしようとして他人の着衣の中をのぞき込み、又は着衣の中が見える位置に写真機その他の撮影する機能を有する機器を差し出し、置く等をすること。
- みだりに、写真機等を使用して透視する方法により、着衣で覆われている他人の下着等の映像を撮影すること。
何人も、みだりに、公衆便所、公衆浴場、公衆が利用することができる更衣室その他の公衆が通常着衣の全部又は一部を着けない状態でいるような場所における当該状態にある他人の姿態を撮影してはならない。
以上のように、京都府の迷惑防止条例では「公共の場所や公共の乗物、その他公衆の目に触れるような場所、または公衆便所、公衆浴場、公衆が利用することができる更衣室、その他の公衆が通常着衣の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」が盗撮に関する規制場所として挙げられています。
仮に更衣室として使われていたとしても学校内の保健室はこれらのいずれにも当てはまらないと思われますので、迷惑防止条例違反が適用できないのではと考えられます。
仕掛けたカメラに自分も映り込んでいたというマヌケな凡ミスが被疑者発覚のきっかけだったようですが、この事件のみであればせいぜい罰金刑、今後の懲戒処分の内容によっては起訴猶予として不起訴ということもあるかもしれません。
ただし、女子生徒の下着姿が盗撮できていた場合は児童ポルノの製造ということになりかねませんので、一気に刑事罰が厳しくなっていた可能性もあります。
「この人、痴漢です」女子高生のひざにスマホ当たって盗撮ばれる 19歳少年逮捕
駅構内のエスカレーターで女子高校生のスカート内を盗撮しようとしたとして、兵庫県警宝塚署は2日、県迷惑防止条例違反の疑いで、宝塚市の専門学校生の少年(19)を現行犯逮捕した。
同署によると、少年がスカート内に差し入れたスマートフォンが女子高生のひざ付近に接触。気付いた女子高生は少年の腕をつかみ、駅員に「この人、痴漢です」と申し出た。
少年の逮捕容疑は同日午前7時40分ごろ、宝塚市の阪急電鉄中山観音駅の上りエスカレーターで、伊丹市の高校1年の女子生徒(15)のスカート内に後ろからスマートフォンを差し入れた疑い。同署によると、容疑を認めているという。
引用元 : 神戸新聞 2018年5月2日 13時19分配信
スマホ+エスカレーターという稚拙な手口も含めて以前の記事で取り上げていたこちらの事件と似ています。
ただ、この事件では盗撮に使用したスマホが被害者の脚に接触したとされていますので、触られたと思って痴漢というワードが出てきたのかもしれません。
盗撮する際に得物が被害者の脚などに触れるといった可能性は、例えば鞄にカメラを隠し入れる手口だとしても同様に考えられることではありますが、スマホの場合は盗撮の疑いを持たれやすい点で大きな違いがあるでしょう。
もちろん最初から疑いの目で見ていれば巧妙な手口だったとしても同じことですが常に盗撮を警戒して出歩いている人などそうそうおらず、普通は自分が被害に遭うとは思わないものです。
そうしたニュートラルな状態でエスカレーターや電車に乗っていたら脚に何かが触れ、振り向いたら男性がいたという状況、男性が手にしているのが鞄だったときとスマホだったときを考えてみるとどうでしょうか。後者の場合にイコール盗撮と直結するのは不思議ではありません。
こちらの記事やこちらの記事でも触れているように、スマホが盗撮の定番ツールとなって久しい今でもスマホを使って盗撮し、そして捕まる人が絶えないのは残念ですが、短絡的で稚拙な手口なだけにこうした末路を辿るのは当然とも言えます。
どんたくパレード中に“盗撮” 55歳男を逮捕 小学生姉妹が被害 小型カメラをスカート下に 福岡市
3日、福岡市天神で、博多どんたくのパレードを見に来ていた小学生のスカートの中を盗撮した疑いで55歳の男が逮捕されました。
逮捕されたのは福岡県嘉麻市の自称・自営業の男性(55)です。
警察によりますと、容疑者は3日午後3時40分ごろ、福岡市天神で11歳と9歳の小学生の姉妹のスカートの中に小型カメラを差し入れ盗撮した疑いです。容疑者はカメラを仕込んだ靴をスカートの下に差し入れて盗撮したとみられていて、犯行を目撃した通行人から通報を受けた警察官が、その場で逮捕したということです。
現場の近くでは、博多どんたく港まつりのパレードが行われていて、被害に遭った姉妹は家族と見に来ていたということです。容疑者は警察の調べに対し「何のことか分かりません」と容疑を否認しているということです。
引用元 : テレビ西日本 2018年5月4日 11時15分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
被疑者が否認しているとのことで、しかも行為の一部を否認するものではなく「何のことか分かりません」という供述で完全に否認しているように見られます。
しかし、いわゆる靴カメによる盗撮を警察官が現場で逮捕したものですのでデータを削除したり、靴に仕込んだカメラをどうにかしたりする余裕は無かったのではと思われますのでそうした証拠は押さえられていると考えられます。
そうした中で完全に否認するのは精神的な負荷が大きいだけで無駄なように思えますが…。
なお、この事件では靴カメによる盗撮に気付いた人が通報して逮捕に至っています。
博多どんたくへ来ていた小学生の姉妹が被害者なので、おそらくはあまりじっとしていなかった姉妹の背後に執拗に張り付いていたとか、脚の間へ露骨に靴カメを入れていたとか、そうした不自然な挙動に気付かれて盗撮を疑われたのではないでしょうか。
露出の多い服や短いスカートを子どもに着用させることもそれほど珍しくなくなってきていますが、一方でスカートの下に黒パンやスパッツなどを穿かせて盗撮などには注意する親御さんは多いという話も聞きます。
たまたま被疑者の目に留まった被害者が小学生だっただけなのか、あるいは被疑者の性的嗜好により小学生が狙われたのかわかりませんが、そうした事情もあるので前者の場合は一見無防備なようでも下着を盗撮するという目的には遠いのかもしれません。
女子トイレで小型カメラ相次ぎ発見 大学生女子ソフトボール大会の会場 盗撮目的か 愛知
愛知県豊田市の公園の女子トイレで盗撮用とみられる小型カメラが設置されているのが相次いで見つかりました。
4日午後2時半ごろ、豊田市運動公園ソフトボール場の女子トイレで、清掃中の作業員が汚物入れの中に小型カメラが設置されているのを見つけました。また、その翌日の5日午後1時ごろ、同じトイレの別の個室でも、汚物入れの中に小型カメラが設置されているのが見つかりました。
カメラは2センチ角の立方体のものと名刺ほどの大きさのいずれも小型のもので、持ち歩き用のバッテリーが接続され長時間の録画が可能となっていたということです。公園では4日の朝から大学生の女子ソフトボールの大会が開かれていて、豊田市は何者かが盗撮目的でカメラを設置したとみて警察に被害届を提出しています。
引用元 : 東海テレビ 2018年5月6日 1時55分配信
こちらは女子トイレから盗撮用と思しき小型カメラが見つかったというニュースで、設置した人の検挙にはまだ至っていないようです。公園内の女子トイレで5月4日にまず1つが発見され、翌日の5月5日にもう1つが別の個室から発見されています。
最初から2つ仕掛けられていたものを4日の時点では1つ見落としていたのか、4日に発見されて以降に別の個室に追加したのか、ニュースからは読み取れませんが設置した人の心理を想像するに後者は考えにくいので前者であろうかと思われます。
トイレ内に仕掛けたカメラを回収しに来ることは想定できますので、後者の場合は逆に張り込みなどもせず取り逃がした上にさらに別のカメラまで仕掛けられているのかという話になりかねません。
もっとも、前者の場合でもトイレで盗撮用のカメラを発見したら普通は他の個室も含めてトイレ内をチェックするだろうと言われるでしょうから、どうにも対応が雑な印象を拭えません。
なお、愛知県の迷惑防止条例では盗撮目的でカメラ設置する行為はまだ規制されていないので、この事件においてカメラを設置して回していただけで盗撮に至っていない場合は迷惑防止条例違反が適用できないと見られます。
愛知県 迷惑防止条例 第3条
何人も、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、故なく、人を著しくしゆう恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
- 人の身体に、直接又は衣服その他の身に付ける物(以下「衣服等」という。)の上から触れること。
- 衣服等で覆われている人の身体又は下着をのぞき見し、又は撮影すること。
- 前二号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
何人も、公衆が利用することができる浴場、便所、更衣室その他公衆が通常衣服等の全部又は一部を着けない状態でいる場所にいる人に対し、故なく、人を著しくしゆう恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、人の姿態をのぞき見し、又は撮影し、その他卑わいな言動をしてはならない。
おそらく捜査中の事件という事情のためか、設置した人が映り込んでいたなど被疑者の特定につながる情報も含めてこの辺りを公表していないのかもしれません。
ただ、盗撮に至っていてもいなくても建造物侵入は成立すると思われますので、いずれにしてもまずはその方向で捜査を進めるのではないでしょうか。