先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。
「盗撮しようと」男性脱衣所へ 福岡県職員、侵入容疑
ホテルの浴場の脱衣所に盗撮目的で侵入したとして、長崎県警は21日、福岡市東区香椎浜4丁目、福岡県職員(42)を建造物侵入の疑いで現行犯逮捕し、発表した。「盗撮しようとして入った」と容疑を認めているという。
早岐署によると、容疑者は同日午後5時15分ごろ、長崎県佐世保市ハウステンボス町にあるホテル浴場の男性脱衣所に小型カメラを隠し持って侵入した疑いがある。不審な動きをする容疑者を入浴客が取り押さえ、ホテルを通じて110番通報したという。
福岡県によると、容疑者は私学振興・青少年育成局政策課付で福岡女子大に派遣中。21日から3日間の夏休み中だった。県は、酒気帯び運転容疑で逮捕された県職員ら2人を21日付で懲戒免職処分にしたばかり。徳永吉之・人事課長は「不祥事防止に取り組むさなかで、大変申し訳ない。早急に事実関係を把握し、厳正に対処していく」とのコメントを出した。
引用元 : 朝日新聞 2017年8月22日 11時29分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
脱衣場で男性が男性を盗撮したという事件のようで、さらに被疑者が県職員という公務員であることからも報道に至っているように見られます。
ただ、男性を盗撮する事件はまだ比較的珍しい部類に入るもので、また、被疑者が所属する福岡県では県職員の懲戒免職を行ったばかりという事情もあったようなので、どちらかの要素が欠けていたとしても報道は免れなかったかもしれません。
使用したカメラはスマホなどではなく小型カメラとのことで、どういったタイプのものかには触れられていませんが、まさかむき出しにしていたわけではないでしょうからタオルなどに包んでいたといったところでしょうか。結局レンズを被写体の方に向けなければならないのでそうした動きが他の入浴客に不審と見られたのでしょう。
なお、逮捕容疑は建造物侵入となっていますが、長崎県の迷惑防止条例を確認したところ更衣室等での撮影を禁じる規定に該当していると思われます。
長崎県 迷惑行為等防止条例 第3条
- 衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から、又は直接人の身体に触れること。
- 衣服等で覆われている人の下着又は身体をのぞき見し、又は撮影すること。
- 前2号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
何人も、公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗っている人に対し、みだりに、写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器を使用して、衣服等を透かして見る方法により、衣服等で覆われている人の下着又は身体の映像を見、又は撮影してはならない。
何人も、公衆浴場、公衆便所、公衆が利用することができる更衣室その他の公衆が通常衣服等の全部又は一部を着けない状態でいる場所に当該状態でいる人の姿態を、みだりに、のぞき見し、又は撮影してはならない。
しかし、カメラを差し向ける行為等への規制には踏み込まれていない上記の内容だと、盗撮目的で脱衣場に立ち入ったのは事実としても実際に撮影できていない、または撮影に至っていない場合はどうなのかといった点がやや気になるところです。
その関係で建造物侵入に留まっているのかもしれませんが、押さえたカメラのデータ等から撮影したことも確認できれば今後迷惑防止条例違反でも逮捕、立件される可能性はあると見られます。
中学教諭「盗撮に興味があり5人ぐらい撮影」 靴つま先の小型ビデオでスカート内撮影した疑いで逮捕
東京都の板橋区教育委員会は23日、区立中学校の30代の男性教諭が女性のスカート内を盗撮したとして、都迷惑防止条例違反の疑いで警視庁巣鴨署に逮捕されたと明らかにした。区教委の聴取に「盗撮に興味があり、5人ぐらい撮影した」と認めているといい、都が懲戒処分を検討している。
区教委によると、逮捕容疑は8月3日午後、東京・池袋の商業施設内の店舗で女性に近づき、靴のつま先につけた小型ビデオカメラでスカート内を撮影した疑い。近くにいた男性客が警備員に伝えて発覚。4日に逮捕され、既に釈放されている。
区教委は男性教諭が所属する学校で23日に臨時保護者会を開くタイミングで公表した。「学校や教育活動の信頼を裏切り、深くおわび申し上げる」としている。
引用元 : サンケイスポーツ 2017年8月23日 18時8分配信
区立中の教員とのことなのでこちらも公務員による盗撮事件となります。池袋の商業施設内での盗撮事件を巣鴨警察署が担当していますが、東池袋の一部が巣鴨警察署の管内なので商業施設というのはサンシャインシティを指しているのでしょうか。
「5人ぐらい撮影した」というのがこれまで盗撮した延べ人数という意味なのか、または当日の分だけという意味なのか判然としませんが、すでに釈放されているとはいえ認めているので今後刑事処分以外にも懲戒処分が下されるものと見られます。免職に至らなくても多くのケースで依願退職などになっています。
なお、8月3日の事件に対して逮捕が4日となっており、これは一度帰されて日が変わってから改めて逮捕されたなどではなく、おそらくですが取り調べ後に発付された逮捕状を執行する前に日が変わっただけではないかと思われます。
男性客が気づいて警備員に伝え、その後取り押さえられるなどしていると見られますが、現行犯逮捕ではなく任意同行の形で警察署へ行って取り調べ、容疑が固まってから逮捕状を請求し執行したと思われるところ、事件が起きたのが夕方以降で逮捕状の執行までに日が変わったのではないでしょうか。
時系列を日付のみで追うと一見したとき後日逮捕のように思われますが、上述したような経緯があると一般的な目線では現行犯逮捕に近いようなケースでも犯行に及んだ日と逮捕された日が変わることは珍しくないので、日が違っているから後日逮捕とは判断できない場合があります。
男性警察官がスカートの中を盗撮(秋田県)
鹿角警察署の20代の男性警察官が今月、東京都内の地下鉄の車内で女性のスカートの中をスマートフォンで盗撮したとして、警視庁に逮捕されていたことが分かりました。
県警察本部は25日、県議会に報告し、陳謝しました。東京都迷惑防止条例違反の疑いで警視庁に逮捕されていたのは、鹿角警察署の20代の男性警察官です。
県警によりますと、男性警察官は今月3日、都内の東京メトロ・丸ノ内線の車内で、スマートフォンを使って女性のスカートの中を盗撮した疑いが持たれています。男性警察官は車内で女性にとがめられ、逃げ去ろうとしましたが、駅の構外で近くにいた人に取り押さえられました。
警察の調べに対し男性警察官は、「盗撮することにスリルや興奮を感じていた。」などと認めていて、所有していたパソコンからは、ほかにも県の内外で盗撮された100本以上の動画が見つかっています。
(中略)
男性警察官は略式起訴され、罰金30万円を払いすでに釈放されています。県警は25日付けで男性警察官を停職1か月の懲戒処分とし、男性警察官は依願退職しました。
引用元 : 秋田放送 2017年8月25日 19時27分配信
こちらは警察官による盗撮事件の記事ですが、逮捕当時から発表していなかったようなのですでに罰金の納付まで済んでいるとのことです。懲戒処分としては停職1か月ですが、上述しているようにお決まりの依願退職となっています。
盗撮自体は比較的繰り返している方のようで所有していたPCから100本以上の動画が見つかったようですが、内容として県の内外と判別できているということは1つ1つ細かく調べたのでしょうか。そこからの余罪については触れられていないところ、モノによっては盗撮に及んだ日時や場所が特定できる動画もあったかもしれませんが、身内ということもありますしこれ以上の捜査はしないだろうと思われます。
スマホを使って電車内でスカート内盗撮というと露骨すぎてすぐにバレるだろうと思いましたが、別の報道によると紙袋にスマホを隠し入れて盗撮していたようです。
県警によると、3日午前11時ごろ、丸ノ内線の電車内で、紙袋に入ったスマートフォンをスカート内に入れて動画撮影した。巡査は私用で東京を訪問中だったという。
引用元 : 京都新聞 2017年8月25日 19時11分配信
しかし、事件の経緯としては「車内で女性にとがめられ」とされているので、他の乗客などの第三者に見つかったのではなく被害者本人に気づかれたのでしょうか。紙袋が脚に当たるなどして被害者が不審に感じた、などの事情があるのかもしれません。
また、「逃げ去ろうとしましたが、駅の構外で近くにいた人に取り押さえられ」とのことなので、電車内で被害者に気づかれたので慌てて立ち去り、駅に着いてからも逃げ続けて構外まで出たが執拗に追いかけてきた被害者と第三者に取り押さえられた、といったような状況が見えてきます。
こういう場合は多くが電車内で取り押さえられそうなものなのでよく駅の構外まで出られたとも感じられますが、電車は基本的には閉鎖空間で、降りても改札などがありますので電車内で盗撮に及びそれに気づかれたら逃げ切るのは非常に困難でしょう。
盗撮容疑で三重県職員逮捕 スカート内をスマホで
三重県警鈴鹿署は25日、女性のスカート内をスマートフォンで盗撮したとして、県迷惑防止条例違反の疑いで、県津建設事務所の職員(47)=同県鈴鹿市=を現行犯逮捕した。
逮捕容疑は、同日午前7時50分ごろ、鈴鹿市の近鉄名古屋線白子駅のエスカレーターで、同市の女性(40)のスカート内をスマートフォンで動画撮影したとしている。
鈴鹿署によると、被害を受けた女性が「痴漢」と叫び、近くの男性が110番、駆け付けた同署員が逮捕した。
三重県人事課は「県民の信頼を損なうこととなり、深くおわび申し上げます」とコメントを出した。
引用元 : 産経新聞 2017年8月25日 18時44分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
痴漢じゃなくて盗撮だろうと細かいところを突っ込みたくもなりますが、被害を受けて周囲の人たちに助けを求めるにあたっての第一声としては良いもののように感じます。
被害に気づいても声を上げられない人も少なくありませんが、大声で叫んで被害を訴えてもそれを聞いた人たちがすぐに動いて犯人を追ってくれるかどうかはわかりません。
特に「キャー!」などとといった叫び声だけの場合、声がした方を向いたら不審な人物が走り去っている、という状況でも見えればまだ動きようがありますが、そもそも「キャー!」だけでは何が起きたのかわからなかったり、女性がはしゃいで叫んでいるだけかもしれなかったりして状況の把握に時間がかかることが考えられます。
その点「痴漢!」という叫び声ならそれだけで何が起きたのかわかりやすく、公共の場でそんな叫び声が出てくることは普通無いのですぐに追う態勢になれる人も多くなることでしょう。実際は痴漢ではなく盗撮だったわけですが、盗撮と知っていてなおわかりやすい痴漢というワードをチョイスしたのかどうかはともかく、捕まえることができたのであればたいした違いではありません。
もしかするとエスカレーターでスカートをめくりながらスマホで盗撮していて、それを痴漢(触られそうになった)と勘違いした可能性も考えられますが、スマホ+エスカレーターという捕まる王道パターンとしては残念ながら当然の末路と言えます。