盗撮などの性犯罪での逮捕やその前後に関する情報を配信してまいります。

盗撮で逮捕される日

ニュース考察

先週の盗撮事件ニュース(8月14日~8月20日)

更新日:

先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。

学童トイレに盗撮用カメラ 船橋市職員に罰金刑 千葉簡裁

勤務する学童保育施設のトイレに忍び込み盗撮用カメラを仕掛けたとして、児童買春・ポルノ禁止法違反と建造物侵入の罪で略式起訴されていた八千代市八千代台東6、船橋市の非常勤職員(27)に千葉簡裁は14日までに、罰金50万円の略式命令を出した。命令は10日付。

起訴状などによると、5月8日午後2時15分ごろ、盗撮目的で、同市上山町の市立法典西小学校敷地内にある自身の勤務する学童保育施設「法典西放課後ルーム」の女子トイレに侵入。同4時ごろまでの間、2人の児童のトイレを火災報知器型カメラで動画盗撮したなどとしている。
引用元 : 千葉日報 2017年8月15日 10時5分配信
※被告人の氏名部分を修正しております。

逮捕されたときの記事を以前取り上げていましたが、当時の報道では建造物侵入での逮捕に留まっていたところ、同記事でも触れていたように案の定児童ポルノ禁止法違反でも起訴されたようです。逮捕から略式命令まで3か月ほどかかっていますのでこの間に児童ポルノ禁止法違反での再逮捕があったのかもしれません。

トイレ内に仕掛けていたのは火災報知器にカモフラージュしたカメラだったようで、逮捕当時の報道では女性職員が気づいて取り外したとされていますが、火災報知器のような設備が突然設置されていたら不審に感じるのも当たり前でしょう。

先週の記事で取り上げている事件でも同じことが言えますが、子どもたちしか使用しない場所だったとしても見回りや掃除などで大人が入ってくることは容易に想定されるところ、そうしたことを考えずに盗撮用のカメラを設置したのか不思議に感じます。

なお、この事件ではすでに罰金50万円の略式命令が出ており、こちらでも触れているように児童ポルノの製造としては下限に近い、だいぶ寛大な処分となっています。

児童ポルノ禁止法 第7条

自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。自己の性的好奇心を満たす目的で、第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とする。
第2項
児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。
第3項
前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
第4項
前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
第5項
前二項に規定するもののほか、ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。

上記の通り、児童ポルノの製造は3年以下の懲役または300万円以下の罰金となっていますが、被害者の女児(の親御さん)との示談が成立したなどの事情があるのかもしれません。

録画眼鏡で女児盗撮疑い プール更衣室、男逮捕

録画機能付きの眼鏡を使って女児の着替えを盗撮したとして、群馬県警伊勢崎署は16日、児童買春・ポルノ禁止法違反(製造)の疑いで、埼玉県神川町、看護師(33)を逮捕した。

逮捕容疑は14日午後、群馬県伊勢崎市内の屋内プール施設の更衣室で、18歳未満と知りながら、小学1年の女児(6)の着替えを撮影し、児童ポルノを製造した疑い。

署によると、眼鏡はフレームの部分に撮影用のレンズがあった。不審に思った女児の父親が容疑者に声を掛け、施設の職員が通報。県警が眼鏡に内蔵されたマイクロSDカードを解析していた。
引用元 : 共同通信 2017年8月16日 20時19分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。

こちらも児童ポルノ禁止法違反の事件です。メガネ型のカモフラージュカメラを使用して父親と一緒にプールに来ていた小学生女児の着替えを盗撮していたという内容です。

メガネ型のカメラは不自然な形状で見るからに不審なものもありますが、普通のセルフレームのメガネと大差が無くどこにレンズがあるのかわからないようなそれなりに精巧なものもあります。この事件の被疑者がどういった形状のものを使用していたのかはわかりませんが、メガネ型のカメラを使用する上では形状等よりも重要な問題があります。

撮影中の挙動が不自然になりがちな点がそれで、他のスタイルの盗撮と同様に挙動が原因で捕まることになります。メガネ型のカメラを着用した状態で撮影するなら、撮影中は被写体の方に顔を向け続けなければいけないので想像するだけで不審なことがわかるでしょう。

着替えを盗撮するのであれば女の子が服を脱いで着替えているところにじっと顔を向けていなければならず、メガネを一時的に外して手持ちするにしても普通に持っていてはブレますので動かないように固定する必要があるでしょう。いずれにしても怪しさは拭えません。

埼玉県神川町の看護師(33)は14日、伊勢崎市内の屋内プールの男子更衣室で、父親と一緒に着替えていた小学1年生の女の子(6)を録画機能付きの眼鏡で盗撮した疑いが持たれています。

警察によりますと、女の子の父親が自分たちの周りから離れず、プールにも入らない容疑者を不審に思って施設の職員に110番通報を依頼しました。容疑者の眼鏡に内蔵されたメモリーカードには、女の子の動画が残っていたということです。取り調べに対し、容疑者は「性的興奮を感じるから」などと容疑を認めているということです。
引用元 : テレビ朝日 2017年8月17日 11時59分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。

小学1年生の女の子なら女子更衣室で1人で着替えられるんじゃないかなという気がしないでもないですが、着替えられるかどうか以外に事情があったのかもしれないのでその点は置いておきます。

上記の記事を見る限りでは更衣室で盗撮が発覚したのではなく、更衣室から出た後も被疑者が深追いしすぎたことで命取りになったようにも受け取れますが、不審に思い始めたきっかけとしてはやはり更衣室での不審な挙動だったでしょう。

盗撮中に挙動が不審になるのではどんなにわかりにくいカメラを使っていても無意味です。しかし、挙動不審かどうかの自覚や意識が本人に無いことが多々ありますので、手を変えても品を変えてもこうして捕まる人は今後も出てくるでしょう。

有休取って盗撮か…岐阜県職員の男 山口の入浴施設で4歳女児の裸撮影し逮捕

逮捕されたのは有給休暇を取っていた岐阜県職員の男。山口県の入浴施設で女の子の裸を盗撮したとして逮捕です。

逮捕されたのは、岐阜県食肉衛生検査所の主任技師(38)です。容疑者は16日午後7時ごろ、山口県周防大島町の入浴施設の脱衣場で、4歳の女の子の裸をスマートフォンで盗撮した疑いが持たれています。

一緒にいた女の子の父親が盗撮に気付き声をかけたところ、容疑者が逃げようとしたため、その場で現行犯逮捕しました。スマートフォンには女の子の裸が映った動画が残っていて、容疑者は「偶然女の子が写ってしまった」などと容疑を否認しているということです。

岐阜県によりますと、容疑者は16日は有給休暇をとっていました。
引用元 : 東海テレビ 2017年8月17日 19時12分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。

またまた児童ポルノの製造事件となります。入浴施設の脱衣場で裸になっていた女の子を盗撮したとのことで、状況としては上記の2つめの事件と似ています。

こちらは被害者が4歳なので父親と一緒に男性用の脱衣場に来るのはそれほど変ではない年齢でしょうか。それでも女の子の親であれば少なからず意識はするでしょうし、裸の娘に向けられていなかったとしても脱衣場でスマホを操作している人がいたら警戒するのは当たり前と言えます。

そもそも脱衣場や更衣室などの裸になる場所でスマホを操作するのは明らかに不自然だと感じるのですが、それが不自然にならない状況などあるのでしょうか。もし緊急の用事などがあってスマホを使わざるを得なくても誤解を受けないような振る舞いをするのが普通だと思いますが、盗撮していたということは女の子の方にスマホを向けていたということなので、怪しまれて捕まる結果しか想像できません。

もっとも、被疑者は偶然だとして否認しているようですが、動画に女の子が映ったのが偶然なら本当は何を撮ろうとしていたのか、声をかけられてなぜ逃げたのか、言い訳としては突っ込みどころが多くて苦しいのではないでしょうか。

実際の動画を確認できないので断言できませんが、これまでにも何度か触れているように事件性が無いと判断される偶然の産物とそれ以外のものには違いが出てくるものです。

女子トイレの隙間にスマホ 盗撮男を書類送検、和歌山県警 迷惑防止条例改正後初の摘発

盗撮目的でスマートフォンを差し向けたとして、和歌山県警和歌山北署は18日、県迷惑防止条例(卑わいな行為の禁止)で和歌山市内の販売員の男(32)を書類送検した。

送検容疑は、7月21日午後1時55分ごろ、同市加太の公衆便所の女子トイレに侵入し、盗撮目的で、個室トイレの壁の隙間に動画撮影機能のついたスマホを差し向けたとしている。

撮影だけでなく、撮影目的でスマホなどを「向ける行為」「設置する行為」を明文化した条例改正後、初の摘発という。
引用元 : 産経新聞 2017年8月19日 8時9分配信

和歌山県の迷惑防止条例の改正についてはこちらの記事で触れていますが、条例改正後に盗撮目的でカメラを差し向けた行為を摘発した初めてのケースとなったようです。

先の記事で掲載している条文には盗撮目的でカメラを設置したり差し向けたりする行為を罰する規定が無かったところ、現在は以下のように厳しく改正されています。

和歌山県 迷惑防止条例 第4条

何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人を著しく羞恥させ、又は他人に不安を覚えさせるような方法で、次の各号に掲げる行為をしてはならない。
  1. 着衣等の上から、又は直接他人の身体に触れること。
  2. 着衣等で覆われている他人の下着又は身体(以下「下着等」という。)をのぞき見ること。
  3. 着衣等で覆われている他人の下着等を撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向け、若しくは設置すること。
  4. 前3号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
第2項
何人も、公共の場所又は公共の乗物において、写真機等を使用して着衣等を透かして見る方法により、みだりに着衣等で覆われている他人の下着等の映像を見、又は撮影してはならない。
第3項
何人も、次に掲げる場所又は乗物において、他人を著しく羞恥させ、又は他人に不安を覚えさせるような方法で、着衣等で覆われている他人の下着等を撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向け、若しくは設置してはならない。
  1. 集会場、事務所、教室その他の特定かつ多数の者が利用するような場所
  2. バスその他の特定かつ多数の者が利用するような乗物
  3. タクシーその他の不特定の者が利用するような乗物(公共の乗物を除く。)
第4項
何人も、浴場、更衣室、便所その他の人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所にいる人に対し、みだりに、次の各号に掲げる行為をしてはならない。
  1. 姿態をのぞき見ること。
  2. 姿態を撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向け、若しくは設置すること。
  3. 前2号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。

改正前と比較してみると場所や行為の内容などで漏れが無くなるよう網羅されていることがわかります。この事件では現場が公衆便所とのことで改正前であれば建造物侵入に留まっていたかもしれませんが、改正によって迷惑防止条例違反で摘発できるようになりました。

公衆便所ということなので施設を看守しているのは市でしょうか。建造物侵入でしか摘発できなかったときに、(被害者としての市に示談交渉の余地があるとは通常思われませんが)看守しているのが民間人や民間企業だったりすると場合によっては建造物侵入での示談が成立して不起訴、盗撮された人は蚊帳の外ということがあり得ました。

条例改正によって迷惑防止条例違反で摘発できるようになれば盗撮された人が事件の被害者になりますのでこういったことは起きなくなるでしょう。

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