盗撮などの性犯罪での逮捕やその前後に関する情報を配信してまいります。

盗撮で逮捕される日

ニュース考察

先週の盗撮事件ニュース(6月17日~6月23日)

更新日:

先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。

女性部下不在時に盗撮カメラ「監視したかった」

奈良県警西和署は18日、会社の部下だった女性宅に盗撮目的で忍び込んだとして、天理市西井戸堂町、無職の男性被告(44)(住居侵入罪で起訴)を住居侵入容疑で再逮捕した。「女性のことが心配で、監視したかった」と容疑を認めているという。

発表によると、男性被告は昨年11月20日~12月26日、当時勤めていた会社の部下だった女性(46)が住む斑鳩町内のアパートに、盗撮目的で3回侵入した疑い。男性被告は今年2月に女性宅へ侵入した容疑でも逮捕されており、家の台所や寝室など3か所から、女性の姿を録画した小型カメラが見つかっていた。

同署によると、このうち寝室に設置されたものから、女性が不在だった昼間を狙って侵入し、カメラの位置などを調整する男性被告の姿が映っていた。
引用元 : 読売新聞 2019年6月20日 8時7分配信

元部下の女性宅へ侵入し小型カメラを仕掛けて盗撮したという事件です。逮捕容疑は迷惑防止条例違反ではなく住居侵入ですが、今回の逮捕より前に同じ女性宅への侵入容疑で既に逮捕起訴されているというのはあまり見ない事例です。

「女性の姿を録画した小型カメラが見つかっていた」「カメラの位置などを調整する男性被告の姿が映っていた」とされていることから盗撮目的でのカメラ設置と実際の盗撮行為の裏付けは取れていると見られますが、迷惑防止条例違反での逮捕や起訴が無いのは奈良県の迷惑防止条例が規定する盗撮に該当していないためということが考えられます。

奈良県 迷惑防止条例 第12条

何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人を著しくしゆう恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法で、みだりに次の各号に掲げる行為をしてはならない。
  1. 他人の胸部、臀部、下腹部、大腿部等(以下「胸部等」という。)の身体に触れる行為(着衣その他の身に着ける物(以下「着衣等」という。)の上から触れる行為を含む。)であつて卑わいなもの
  2. 着衣等の全部若しくは一部を着けないでいる他人の姿態若しくは着衣で覆われている他人の下着若しくは胸部等の身体をのぞき見し、又は写真機等を使用して、その映像を記録する行為であつて卑わいなもの
  3. 前二号に掲げるもののほか、卑わいな言動
第2項
何人も、みだりに卑わいな行為であつて次の各号に掲げるものをしてはならない。
  1. 公共の場所及び公共の乗物以外の場所から、写真機等を使用して、透視する方法により、公共の場所にいる他人若しくは公共の乗物に乗つている他人の下着若しくは胸部等の身体を見、又はその映像を記録すること。
  2. 写真機等を使用して、住居、浴場、更衣室、便所その他の人が着衣等の全部又は一部を着けない状態でいるような場所(公共の場所及び公共の乗物を除く。)に当該状態でいる他人の姿態の映像を記録すること。

まず、第1項は公共の場所における各行為を禁止する規定なので、女性宅内が現場となっているこの事件ではこれには該当しません。次に第2項ですが、この内の第1号は公共の場所ではない場所から公共の場所にいる被害者に対して(加害者の自宅内から屋外にいる被害者を盗撮するなど)の行為に関する規定なのでこれにも該当しません。

残るのは第2項第2号で、これには住居における盗撮行為も含まれているため該当しそうに思えますが、「着衣等の全部又は一部を着けない状態でいる他人の姿態の映像を記録」していなければこれにも該当しないと考えられます。

女性宅内の台所や寝室にカメラを仕掛けていたとのことですが、トイレや風呂などに仕掛けていれば第2号に該当する可能性があったと考えられるところ、カメラを仕掛けていた場所では被害者が常に着衣状態だったのであれば「着衣等の全部又は一部を着けない状態」は撮れないので結局これにも該当せずに迷惑防止条例違反での逮捕起訴はできなかったのかもしれません。

また、既に起訴されているのが住居侵入のみという点と、起訴後に同じ女性宅への侵入容疑で再逮捕している点も気になるところです。住居侵入は罰金の上限額が低いので初犯でこれのみだと不起訴もあり得る罪で、逆に初犯で公判請求するのも厳しくてバランスが悪いものです。

刑法 第130条

正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

これについては被疑者が初犯ではなく盗撮や住居侵入の前科がある可能性が窺えます。

同じ女性宅への複数回の侵入など最初に逮捕した際の捜査で盗撮に使用したカメラ等の証拠を押さえてもいますのでまとめて処理するものですが、最初に逮捕した事件とは別の日の侵入容疑で改めて再逮捕するという流れには、徹底的にやってやるという警察や検察官の姿勢が見えます。

単に盗撮を迷惑防止条例違反として処罰できない分を乗せてきているということも考えられますが、住居侵入のみで公判請求、さらに再逮捕という状況を見る限りでは低い額の罰金で済まされるとは考えにくいので6月までの懲役に2年から3年の執行猶予が付く判決になるのではと思われます。

「興味本位でやった」県職員互助会事務局長が盗撮疑い 半年前からスマホで女性職員らのスカート内 佐賀

佐賀県職員互助会の50代男性事務局長が、職場で女性職員らのスカート内を盗撮していた疑いがあることが19日、関係者への取材で分かった。約半年前から盗撮を繰り返していたとみられ、佐賀南署は県迷惑防止条例違反(盗撮)の疑いで調べている。

互助会は県職員の福利厚生を目的とする一般社団法人で、県庁庁舎内に事務局がある。

互助会によると、事務局長は18日午後5時過ぎ、自身のスリッパの上にスマートフォンを置き、動画撮影モードにした上で、女性職員のスカートの下に足を伸ばして盗撮。目撃した関係者が警察に知らせた。17日に別の関係者が事務局長の不審な動きを見ており、警戒していた。

事務局長は互助会の聞き取りに対し盗撮行為を認め、「昨年の12月から興味本位でやっていた。迷惑をお掛けし、申し訳ない」と話しているという。盗撮の対象は互助会以外も含め4~5人に上るとしている。互助会は事務局長の処分を検討している。

井上次人会長は「被害者の方に心より謝罪いたします。こうした事案が二度とないよう厳正に対応していく」とコメントした。
引用元 : 佐賀新聞 2019年6月20日 9時51分配信

互助会の職員によるスカート内盗撮事件です。既に警察が迷惑防止条例違反の疑いで捜査をしているとのことですが、この記事からは本人への取り調べや逮捕の有無についてハッキリとはわかりません。

スリッパの上にスマホを置いて足を伸ばすという驚愕の手口ですが、遅くとも前日には同じ手口による盗撮を第三者に見られていたようで、またやるのではと見張られていたのにそれに気付かないまま突撃して撃沈したという流れでしょうか。逆に約半年もよく続けられたものだと思えますが…。

県庁舎内に職場である事務局があるとのことなので公共の場所ではない会社や事務所などの中での盗撮行為を処罰するための条例がまだ整っていなくて動きが遅いのだろうかと思いましたが、佐賀県の迷惑防止条例では公共の場所ではない場所における盗撮でも処罰できるように改正されています。

佐賀県 迷惑防止条例 第3条

何人も、公共の場所等において、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
  1. 衣服その他身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から又は直接人の身体に触れること。
  2. 衣服等で覆われている人の下着又は人の身体をのぞき見すること。
  3. 前2号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
第2項
何人も、公共の場所等又は特定多数の者が使用する場所等(事業所、学校その他の特定かつ多数の者が使用する場所又は貸切バスその他の特定かつ多数の者が使用する乗物をいう。次項において同じ。)において、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
  1. 衣服等で覆われている人の下着又は人の身体を写真機、ビデオカメラ、携帯電話その他の機器(以下「写真機等」という。)を使用して撮影すること。
  2. 衣服等で覆われている人の下着又は人の身体を撮影する目的で写真機等を向け、又は設置すること。
第3項
何人も、正当な理由がないのに、浴場、便所、更衣室その他人が通常衣服等の全部又は一部を着けない状態でいる場所であって、次に掲げる要件のいずれかに該当するものにおいて、当該状態でいる人の姿態を写真機等を使用して撮影し、又は当該姿態を撮影する目的で写真機等を向け、若しくは設置してはならない。
  1. 公衆が利用することができること。
  2. 特定多数の者が使用する場所等にあること。

このケースにおいては第2項第1号に該当するでしょうか。また、第2号によって盗撮目的でカメラ等を向けたり設置したりする行為も処罰できるようになっているので、仮に撮れていなかったとしても迷惑防止条例違反が成立します。

盗撮被害者「4~5人に上る」とのことですが、互助会という団体の性質上は互助会以外の被害者は県職員でしょうか、可能性としては内々で処理するということで被害届が出されていない可能性もあります。証拠は揃っていると思われるところ逮捕だ何だという状況に至らないのはそうした事情があるのかもしれません。

そうなると記事で触れられている通り内部的な懲戒処分は今後下されると思われますが、刑事的には逮捕されず書類送検されたとしても不起訴で終わるということもあり得るでしょう。もちろん被害届が出て立件されるということなれば30万円までの罰金は覚悟しておかなければならないのではと考えられます。

コンビニトイレなどの盗撮映像5.5万件...逮捕の会社員「アダルトサイト見て自分もできると」 福岡市

5月、コンビニエンスストアのトイレに盗撮目的で小型カメラを設置した疑いで逮捕された男。

男のパソコンなどからは、5万件以上の盗撮映像が見つかっていたことが分かりました。

福岡市西区の会社員の容疑者(28)は2018年10月、福岡市西区のコンビニのトイレに盗撮目的で小型カメラを設置した疑いで5月逮捕されていて、すでに起訴されています。

その後の警察の捜査で、容疑者のパソコンなどからトイレでの女性の様子などを盗撮した動画や静止画合わせて約5万5000件が見つかり、警察はこのうち一部を盗撮などの疑いで送致し、捜査を終結しました。

容疑者は約1年半前から福岡市内など7カ所のコンビニのトイレのほか、エスカレーターや電車の中などでも盗撮をくり返していました。

調べに対し「アダルトサイトを見て自分もできると思った」と容疑を認めているということです。
引用元 : TNCテレビ西日本 2019年6月21日 19時20分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。

こちらは先週報じられたニュースですが事件が発覚したのは昨年10月、それを先月逮捕したという後日逮捕のケースです。逮捕時は下記のように報じられており、内容としてはその事件について起訴したという続報となっています。

なお、いずれのニュースにおいても逮捕容疑としてはコンビニのトイレに盗撮目的でカメラを設置したというまでに留まっていますが、上記の続報では被疑者のPC等から見つかった盗撮データをもとに捜査を進めて「このうち一部を盗撮などの疑いで送致」としていることから実際に盗撮に及んだ行為についても日時や被害者などを特定し裏付けを取って立件したものと思われます。

「スパイカメラ」と呼ばれる小型カメラをコンビニのトイレに設置したとして、福岡西署は14日、県迷惑防止条例違反(卑わいな行為)の疑いで、福岡市西区周船寺2丁目、清掃会社社員の容疑者(28)を逮捕した。

逮捕容疑は昨年10月24日ごろ、同区石丸のコンビニの男女共用トイレにスパイカメラ1台を置いた疑い。「女性の下半身が見たかった」と容疑を認めている。

スパイカメラは小型の隠しカメラで、インターネットなどで流通している。署によると容疑者が設置したカメラは直径約1ミリのレンズがコードでバッテリーとつながり、無線LANで映像をスマートフォンに転送する仕組み。荷物入れの籠の下にあり、店員が気付いて届け出た。

容疑者の自宅からはスパイカメラ9台を押収。同市の別のコンビニでも数台見つかっており、署は関連を調べる。
引用元 : 西日本新聞 2019年5月15日 6時0分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。

既に起訴されているとされていて略式命令、罰金といったことには触れられていないのでこの事件では公判請求されていると見られます。罰金では済まされなかった理由として考えられるのは被疑者に同種前科がある可能性と、巧妙な手口による悪質性や常習性といったところでしょうか。

約5万5000件とされる盗撮データが全てこの被疑者によるものとは言い切れませんが、約1年半前という期間を考えると仮にこの半分としても結構な数に上ります。さらにトイレ盗撮の「狩り場」としていたコンビニが7か所、それ以外にもエスカレーターや電車で(おそらく)逆さ撮りしていたと思われ、これだけやっていると常習盗撮と判断される可能性は大いにあると言えます。

また、トイレ盗撮というだけで印象は悪くなりますが、仕掛けたカメラが小型のスパイカメラで、しかも撮影した映像を無線LANでスマホに飛ばす機能まで利用していたというのは明らかに手馴れていて悪質な手口と言えるでしょう。

これだけの材料があると初犯でも公判請求されておかしくないと思えますが、逆に初犯なら上限額の罰金で終わることも十分考えられる微妙なところなので、手口の巧妙さを考えると少なくとも1件以上の前科があって今回は罰金では済まされなかったと考えるのが自然かもしれません。

この事件について公判請求したものが常習として起訴されているのかどうか気になるところですが、公判請求されているからには判決で罰金刑が科されるということは考えにくく、おそらくは6月前後の懲役と2,3年程度の執行猶予ということになるのではないでしょうか。

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