先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。
エスカレーターの鉄板の反射で気付く…地下鉄のエスカレーターで盗撮 24歳男逮捕 札幌市
北海道札幌市営地下鉄のエスカレーターで、女子高生のスカートの中を盗撮しようとしたとして、24歳の会社員の男が逮捕されました。
北海道迷惑行為防止条例違反で現行犯逮捕されたのは、札幌市東区の24歳の会社員の男です。男は6月24日午前8時ごろ、札幌市営地下鉄東豊線の大通駅で、上りエスカレーターに乗っていた女子高生のスカートの中にスマートフォンを入れ動画を撮影しました。
被害に遭った女子高生は登校中で、エスカレーターに乗る時に後をつけてくる男の存在を認識し、警戒していたところ、エスカレーターの鉄板の壁がスマホのライトで反射し撮影されていることに気付きました。女子高生がエスカレーターを降りて振り返った時、スカートの中にはまだスマホが入っていて、先に歩かせた男が改札を出た後に駅員に助けを求めました。
駆けつけた警察官が男のスマホを確認すると、盗撮した動画が記録されていたということです。調べに対し男は容疑を認めているということです。
札幌中央警察署によりますと、管内での盗撮事件は6月に入って2件目で、警察はポスターを貼るなどして注意を呼び掛けています。
引用元 : UHB北海道文化放送 2019年6月24日 22時35分配信
エスカレーターでの盗撮中に鉄板の壁に反射したスマホのライトで被害者に気付かれたという盗撮事件です。ありがちと言えばありがちと言えるきっかけなのかもしれませんが、スマホ⁺エスカレーターという雑な手口で定番の逮捕劇です。
エスカレーターの鉄板の壁というと、例えば商業施設などのように照明が強い場所だとスマホのライトが反射していても気付かない場合もありそうですが、この事件の現場は地下鉄の駅とのことなので薄暗いとは言わないまでもスマホのライトの反射は目立ちそうに思えます。
しかし盗撮が気付かれるまでの経緯によるとエスカレーターに乗る時点で、盗撮する前から被害者の女子高生には怪しまれて警戒されていたようなので、もしかするとライトの反射が無くても別のきっかけで気付かれた可能性はあります。盗撮に及ぶ前から後をつけられていると思わせてしまうほど挙動不審だったのだろうと窺え、盗撮で捕まる典型例のようなスマホ君に相応しい末路と言えるでしょう。
エスカレーターの鉄板ではなくとも鏡は勿論、ガラスやアクリル板のようなものなど自分の背後や周囲が映り込むものは街中に溢れていますので、この事件のように元から被害者に怪しまれていたというケース以外でもこれらへの映り込みによって被害者に気付かれたという事件は少なくないと思われます。
被疑者が盗撮行為を認めていて動かぬ証拠も押さえられていますが、被害者との示談が成立すれば不起訴はあり得るところでしょうか。まさかこの体たらくで長い盗撮歴や前科があるとも思えませんのでおそらくは初犯と見られ、30万円程度の罰金は覚悟した方が良いと考えられる一方で謝罪や反省の態度次第では不起訴ということもあるかもしれません。
なお、「盗撮事件は6月に入って2件目」とのことで一見少なく感じられましたが、札幌中央警察署という一所轄署の管轄内で検挙した盗撮事件に限った話だと思いますのでだいたいこんなものなのでしょう。
盗撮か石巻赤十字病院の医師逮捕
石巻市の石巻赤十字病院に勤務する男の医師が、女性のスカートの中を盗撮したとして、警察に逮捕されました。
逮捕されたのは、「石巻赤十字病院」の医師で石巻市に住む容疑者(49)です。
警察によりますと、医師はことし4月18日の午後7時すぎ、石巻市内のスーパーマーケットでバックの中に隠し入れた小型カメラで32歳の女性のスカートの中を盗撮したとして、県の迷惑行為防止条例違反の疑いがもたれています。被害にあった女性が「誰かにつきまとわれて、盗撮されたかもしれない」と警察に相談したことから発覚し、スーパーマーケットに設置された防犯カメラの映像などから医師が盗撮した疑いがあることが分かったということです。
警察に調べに対し、医師は「間違いありません」と述べて、容疑を認めているということです。勤務している石巻赤十字病院によりますと、医師は平成27年4月から整形外科の部長を務めていて、盗撮を行ったとされる日は勤務日だったということです。
石巻赤十字病院は「当院の職員が逮捕されたことは大変残念なことであり、被害にあわれた方に心からおわび申し上げます。今後、事実関係が明らかになり次第、厳正に対処するとともに、このようなことが二度と起こらないよう職員教育の徹底にいっそう努めてまいります」とするコメントを発表しました。
警察は動機などを調べるとともに、押収した小型カメラを分析するなどして余罪も調べることにしています。
引用元 : NHK 2019年6月26日 12時26分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
医師によるスカート内の盗撮事件のようです。開業医や平の医師ではなく赤十字病院の整形外科部長とのことなのでそれなりのポストに就いていた医師だったのではないでしょうか。
この事件は現行犯で捕まったものではなく2か月ちょっと前の盗撮行為について通常逮捕された後日逮捕のケースと思われます。当日の経緯がわからないので推測ですが被害者が盗撮された可能性に気付いていたことは被疑者には伝わっていなかったと見られ、盗撮して無事帰ってきたと思っていたら後日突然逮捕されたというものだったのではないでしょうか。
現場のスーパーマーケット店内の防犯カメラの映像などから被疑者を特定したとのことですが、他の報道によると被疑者のカメラから盗撮データが見つかっていて、そうしたデータをカメラに残したままだったということは捜査されているとは露とも思っていなかっただろうことが窺えます。
警察によりますと、容疑者は今年4月18日午後7時過ぎ、石巻市内のスーパーマーケットで、石巻市内に住む32歳の女性のスカートの中に小型カメラを差し入れ盗撮した疑いが持たれています。警察によりますと、店内の防犯カメラの映像などから、容疑者が浮上。容疑者のカメラから盗撮した動画データが見つかりました。
引用元 : 仙台放送 2019年6月26日 10時25分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
ただ、被疑者が盗撮行為を認めていて証拠も押さえられていると思われるので良かったものの、逮捕しに行って証拠が出てきていなかったら割と厳しい状況に陥っていたかもしれません。カメラから見つかったとされる盗撮データも4月18日の事件当日のものなのか明言されておらず、逮捕までに2か月以上経っていることを考えると当日のデータは既に消去されていて別の盗撮データだった可能性もあります。
得物はバッグに仕込んだ小型カメラだったようですが、特定のきっかけになった防犯カメラでは仕込まれたカメラやレンズまで捉えることができていたとは思えず、客観的に見ると被害者の背後などで不審な動きをしているというまでに留まっていたと思われます。
宮城県の迷惑防止条例にも盗撮目的でスカート内にカメラを入れるだけで処罰の対象となる規定がありますが、スマホやカメラを直接差し入れるのではなく鞄や靴などに隠し入れる場合は防犯カメラの映像だけでもってこれを立証するのは困難ではないでしょうか。
宮城県 迷惑防止条例 第3条の2
- 衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から又は直接人の身体に触れること。
- 人の下着又は身体(これらのうち衣服等で覆われている部分に限る。以下「下着等」という。)をのぞき見すること。
- 人の下着等を撮影し、又は撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を向け、若しくは設置すること。
- 前三号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
何人も、正当な理由がないのに、人の衣服等を透かして見ることのできる写真機等を用いて、公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗つている人の下着等を見、又は撮影してはならない。
何人も、正当な理由がないのに、住居、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所で当該状態にある人を撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向け、若しくは設置してはならない。
何人も、正当な理由がないのに、集会場、事務所、教室その他の特定かつ多数の者が利用するような場所において、人の下着等を撮影してはならない。
この事件では盗撮データが押さえられているようなのでまだ良かったですが、逮捕までの2か月ちょっとの間にデータが隠蔽または消去されていたり、得物として使っていたバッグやカメラが処分されていたりしたら、盗撮行為どころかスカート内にカメラを差し入れた行為すら裏付けできなかったかもしれません。
どことなく結果オーライ感があり、実際はもう少し慎重に裏付けを進めていたのかもしれませんが、被疑者が用心深く生活していたら内偵し続けて現行犯で押さえるくらいしかできなかったかもしれない事例ではないでしょうか。ただし、この事件においては被疑者が認めていて証拠もあるようなので30万円から50万円程度の罰金といったところではと思われます。
電車で見かけ…“盗撮しわいせつ”男を逮捕
20代の女性にわいせつな行為をして、PTSD(=心的外傷後ストレス障害)を負わせたとして無職の男が逮捕された。
強制わいせつ致傷の疑いで逮捕されたのは、無職の容疑者。警視庁によると、容疑者は今年3月、東京・世田谷区の路上で20代の女性の下半身を触るなどのわいせつな行為をしてPTSD(=心的外傷後ストレス障害)を負わせた疑いが持たれている。女性は現在も通院中。
容疑者は電車で見かけた女性の後をつけてコンビニに入り、スカートの中を盗撮した後、再び女性を尾行して犯行に及んだとみられている。
調べに対し、容疑者は容疑を認め「女性がかわいかったので盗撮をしたくなり、その最中に触りたくなった」などと話しているという。
引用元 : 日本テレビ 2019年6月28日 15時24分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
見出しに盗撮と書かれてはいますが、強制わいせつ致傷が大きすぎるので事件全体に占める盗撮の割合は小さく見えます。ただ、「盗撮をしたくなり、その最中に触りたくなった」との供述もあるので盗撮が無ければその後の強制わいせつにも発展しなかった可能性はあります。
おそらく盗撮したスカート内の下着等の「成果」を見て興奮したのか、あるいは盗撮行為そのものによって興奮したのか、そうしたことで抑えがきかなくなって路上でわいせつ行為に及んだとすると盗撮の罰は比較的軽いとしても悪影響は大と言えるでしょう。
路上でのわいせつ行為については抱き付いたとかお尻を触ったといった程度のものではなく「下半身を触るなど」と表現されているので下着の中に手を入れて陰部に触れるなどはしていると思われます。これでは痴漢(迷惑防止条例違反)では済まないところですが、仮に盗撮と痴漢で迷惑防止条例違反のみだったとして比較すると強制わいせつ致傷は相当な重罪です。
刑法 第176条
刑法 第181条 第1項
迷惑防止条例違反のみなら罰金、強制わいせつなら6月以上の懲役だったところ、PTSDを負わせたとのことで強制わいせつ致傷になっているので短くても3年の懲役は科されるわけです。初犯なら強制わいせつでも執行猶予は付いていたでしょうが、短期が3年の強制わいせつ致傷では一発で実刑となることも見込まれます。
盗撮しかしていなかった人が興奮しすぎてわいせつ行為にまで及んでしまったのかどうかはわからない(盗撮は取っ掛かりでしかなく痴漢やわいせつ行為の常習犯なのかもしれない)ので盗撮から他の性犯罪への発展というには疑問がありますが、盗撮の罰則を基準に考えるとこれだけ重くなる可能性もあるということにはなるでしょう。