先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。
信じられない 客を盗撮か 美容師の男逮捕
美容室で髪を切っている最中に、女性客の下着などを盗撮したとして美容師の男が逮捕されました。
県迷惑防止条例違反の疑いで逮捕されたのは、菊陽町光の森の美容師(45)です。
警察によりますと、容疑者は今年4月、客として訪れた女子大学生(18)の髪を切っている最中に、胸元や下着などをスマートフォンで盗撮した疑いがもたれています。髪を切られているとき目を閉じていた女子大学生が、ボタンを操作するような音を不審に思い目を開けたところ、容疑者がスマホを持っていたということです。
警察の調べに対して容疑者は、録画機能が動いていたことは認めたうえで「操作を誤っただけ。盗撮はしていない」と容疑を否認しています。警察は、押収した容疑者のスマホを詳しく調べています。
引用元 : RKK熊本放送 2020年6月15日 18時27分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
美容師が客の女性の下着を盗撮したという事件ですが、操作を誤っただけで盗撮していないと否認しているようです。勤務中に、しかも美容師が現に仕事をしている場面でスマホを手に取ることはあるのだろうかと考えてしまいます。
盗撮したのが胸元や下着とされているのでスカート内も撮ったのかと思いましたが、さすがにそれでは操作を誤っただけという言い訳が成立するとは思えず、おそらく座っている女性客の後ろから見下ろした時に胸元が見えたという事で下着というのはブラジャー等の事なのかもしれません。
手にスマホを持っていただけならまだしも録画している状態だったというのが何ともクロっぽい点で、現に胸元や下着が映っている動画がスマホに記録されているならば否認していても言い逃れは厳しいように感じます。
熊本県の迷惑防止条例では(他の都道府県でも大抵同じですが)下着等の盗撮についてスカート内に限っているわけではなく、「衣服等で覆われている人の下着又は人の身体」という事になっていますのでこれは胸元やブラジャー等の盗撮でも成立し得るでしょう。
熊本県 迷惑行為等防止条例 第3条
- 衣服その他の身に着ける物(以下この条において「衣服等」という。)の上から又は直接人の身体に触れること。
- 衣服等で覆われている人の下着又は人の身体(以下この条において「下着等」という。)をのぞき見し、又は撮影し、若しくは撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下この条において「写真機等」という。)を向け、若しくは設置すること(これらの行為が次号に規定する方法により行われる場合を除く。)。
- 衣服等を透かして見ることができる写真機等を使用して、下着等の映像を見、又は撮影すること。
- 前3号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
何人も、集会場、事務所、教室、貸切バスその他の特定かつ多数の者が利用するような場所又は乗物において、正当な理由がないのに、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、下着等を撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向け、若しくは設置してはならない。
何人も、正当な理由がないのに、住居、浴場、便所、更衣室その他人が通常衣服等の全部又は一部を着けない状態でいるような場所に当該状態でいる人の姿態をのぞき見し、又は撮影し、若しくは撮影する目的で写真機等を向け、若しくは設置してはならない。
美容室ならば公共の場所だと考えられますのでこの事件では第1項第2号に該当していると思われます。ちなみに同号で盗撮目的でカメラ等を向ける盗撮準備行為も禁じられていますので撮っていなくてもアウトではありますが、今のところ盗撮の目的自体を否定していますのでこれが取り沙汰されるにはまず本人が認めないと進まないでしょう。
盗撮データ等の動かぬ証拠が押さえられているかどうかによって変わってきそうなところで、もしそうした証拠が無いならば(本当はやっていたとしても)否認していればおそらく不起訴になる事もあり得るかもしれません。証拠があるなら否認し続けるのは難しいと思われますのでどこかで折れて認めた上で罰金30万円といったところではないでしょうか。
在学中トイレや合宿先で盗撮 被害者は女子生徒ら29人
福岡県北部の公立高校に在学中、女子生徒を盗撮したなどとして、福岡県警は県迷惑行為防止条例違反と児童買春・児童ポルノ禁止法違反などの疑いで大学生の少年(19)を逮捕、18~19歳の少年4人を書類送検し、19日発表した。逮捕された少年は「このようなことはしていない」と容疑を否認、他の4人は認めているという。
県警によると、5人は同じ部活動に所属し、3月に卒業した。5人は高校生だった2018年8月~19年12月、高校の女子トイレや合宿先の旅館の浴場、知人宅の風呂場などで女子生徒ら計29人を盗撮した疑いがある。昨年12月、女子生徒がトイレで盗撮されているのに気づき、警察に相談していた。
5人のスマートフォンには、盗撮したとみられる動画計約100本が保存してあった。米アップル社「iPhone」の通信機能「AirDrop(エアドロップ)」で動画を共有していた。外部への流出は確認されていないという。
引用元 : 朝日新聞 2020年6月19日 21時5分配信
高校在学中に学校内や合宿先などで男子生徒ら(当時)が女子生徒を盗撮していたという事件です。盗撮していたとされるのは一昨年から昨年で既に卒業しているようですが、盗撮被害に気付いた女子生徒が警察に相談してから半年程捜査が行われていて今回検挙に至ったという事でしょうか。
中学校で男子生徒が女子生徒を盗撮して仲間内でやり取りしていたという事案を以前の記事で取り上げていましたが、同様のケースがやはりあったようです。多かれ少なかれどこの学校にも蔓延しているという程ポピュラーな事ではさすがに無いでしょうが、スマホや小型カメラなど盗撮に使える機材は学生にも容易に手に入れられる物なのでこうした事を企てる連中はいるだろうなと感じます。
被疑者の少年らは18歳~19歳との事でいずれも同級生でしょうか。何故か1人だけ逮捕されていて他4人は書類送検に留まっていますが、逮捕された1人が多く盗撮していたとか逆に主導的な立場で他のメンバーにやらせていたとか特に悪質と見られる事情があったのかもしれません。
ただ、他の4人は認めている中で逮捕された1人だけが否認しているようなので反省の色が見えないという事で厳しく対応されている可能性もあります。他の共犯者全員が認めていてスマホからも盗撮データが出てきているとの事なので疑いは濃厚で、そこで否認しても冤罪の可能性が出るよりはまだ何か隠しているのではないかと思われて身柄を押さえられてしまうのは不思議ではないと言えます。
なお、盗撮していた場所が学校の女子トイレ、合宿先や知人宅の風呂などとされており、さらに被害者が当時女子高生だったので児童ポルノの盗撮製造という事になります。スカート内の盗撮など児童ポルノに該当しないデータも出てきているのか迷惑防止条例違反も容疑に含まれているようですが、被害者が29人もいますので不処分等で済む事件ではないように思われます。
福岡県の迷惑防止条例では公共の場所ではない住居等におけるトイレや風呂の盗撮も処罰の対象になっていますので、スマホに保存されていたデータによっては児童ポルノに該当しないという物があっても迷惑防止条例違反は免れられないでしょう。
福岡県 迷惑行為防止条例 第6条
- 他人の身体に直接触れ、又は衣服その他の身に着ける物(以下この条において「衣服等」という。)の上から触れること。
- 前号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
何人も、公共の場所、公共の乗物その他の公衆の目に触れるような場所において、正当な理由がないのに、前項に規定する方法で次に掲げる行為をしてはならない。
- 通常衣服で隠されている他人の身体又は他人が着用している下着をのぞき見し、又は写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下この条において「写真機等」という。)を用いて撮影すること。
- 衣服等を透かして見ることができる機能を有する写真機等の当該機能を用いて、衣服等で隠されている他人の身体又は他人が着用している下着の映像を見、又は撮影をすること。
- 前二号に掲げる行為をする目的で写真機等を設置し、又は他人の身体に向けること。
何人も、正当な理由がないのに、第一項に規定する方法で次に掲げる行為をしてはならない。
- 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所で当該状態にある人の姿態をのぞき見し、又は写真機等を用いて撮影すること。
- 前号に掲げる行為をする目的で写真機等を設置し、又は他人の身体に向けること。
とは言っても少年事件ですので刑事罰まで発展するかどうかは微妙です。逮捕された1人についても単に否認していて往生際が悪いと思われているだけかもしれませんので、その場合は認めてしまえば他の4人と比べて処分が厳しくなるという事は無いと思われます。少年院送致となる程の内容でもないように思えますので、家裁での審判を経て保護観察処分といったところではないでしょうか。
風俗店の女性店員を盗撮の疑いで逮捕 男性教師は不起訴
今年3月 風俗店の店員の女性を盗撮したとして逮捕された、沼津市の小学校の男性教師について 検察庁は18日付けで不起訴処分としました。
不起訴処分となったのは、沼津市の小学校の男性教師です。男性は新型コロナウイルスの影響で臨時休校中だった今年3月に、沼津市のホテルでスマートフォンを使い風俗店の店員の女性を盗撮した疑いで逮捕されていました。
男性は逮捕後 容疑を認めていましたが、警察は釈放し書類送検したうえで検察が在宅で捜査を続け18日付けで不起訴処分としました。地検沼津支部は処分の理由を明らかにしていません。
引用元 : テレビ静岡 2020年6月19日 21時22分配信
以前の記事で取り上げていた小学校の教員による風俗嬢の盗撮事件の続報で、どうやら罰金などの処分は免れたようで不起訴という事になりました。なお、逮捕後に釈放されて在宅事件になっていたとの事で元々勾留する程の事件ではないと判断されていた事が窺えます。
地検は処分の理由を明らかにしていないとの事ですが、おそらく被害者との間で示談が成立したのではと思われます。静岡県の迷惑防止条例では公共の場所ではない住居やトイレ、更衣室等でも服を脱いでいる姿を盗撮すればアウトですので、ホテルで風俗嬢を盗撮したという今回の事件においては迷惑防止条例違反に該当するかどうか微妙という事で不起訴に至ったわけではないのではないでしょうか。
静岡県 迷惑行為防止条例 第3条
- 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から、又は直接人の身体に触れること。
- 公共の場所又は公共の乗物にいる人の下着又は身体(これらのうち衣服等で覆われている部分に限る。以下「下着等」という。)をのぞき見ること。
- 公共の場所又は公共の乗物にいる人の下着等を見る目的又はその映像を記録する目的で、写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置し、又は下着等に向けること。
- 公共の場所又は公共の乗物にいる人の下着等を見る目的又はその映像を記録する目的で、衣服等を透かして見ることができる機器を設置し、又は人の身体に向けること。
- 前各号に掲げるもののほか、公共の場所又は公共の乗物にいる人に対して、卑わいな言動をすること。
何人も、正当な理由がなく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法により、住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服の全部若しくは一部を着けない状態でいるような場所に当該状態でいる人の姿態を見る目的又はその映像を記録する目的で、写真機等を設置し、又は人の身体に向けてはならない。
しかし被害者と示談ができて不起訴になっていたとしても示談金は支払っているはずで、示談ができなければ科されるはずだった罰金と同じか又はそれ以上の額は支払っているでしょう。おそらく50万円から場合によってはそれ以上といったところでしょうか。
示談金としてお金を取るつもりならば検察官から被疑者への処分が決まるまでが一般的には一番多く取れます。仮に70万円80万円といった額を提示されたとして、示談せずに罰金なら50万円で済むと思っていても不起訴になって罰金刑を科されなくなると考えれば、多少無理をしても前者をチョイスしようという人は多いでしょう。
勿論いくら積まれても示談には応じないという被害者もいますので少しばかり高額になっても示談ができる選択肢があるだけある意味ではラッキーと言えます。この男性教員も逮捕歴こそ付いてしまったものの不起訴にしてもらえたのは不幸中の幸いと考えなければなりません。