盗撮などの性犯罪での逮捕やその前後に関する情報を配信してまいります。

盗撮で逮捕される日

ニュース考察

先週の盗撮事件ニュース(8月26日~9月1日)

更新日:

先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。

盗撮疑い元巡査に罰金の略式命令

女性のスカートの中を盗撮したなどとして、県の迷惑行為防止条例違反の疑いで書類送検された山口県警察本部の30代の元巡査に対して、山口簡易裁判所は、罰金30万円などの略式命令を言い渡しました。

略式命令を受けたのは、山口県警察本部の30代の男性の元巡査です。

元巡査は、ことし5月、県内の商業施設で女性のスカートの中をスマートフォンで盗撮したほか、去年8月には、他人の住宅の室内を外から撮影したとして、県の迷惑行為防止条例違反と軽犯罪法違反の疑いで、先月、書類送検されました。

警察の調べに対して元巡査は、「下着に興味があり数年前から盗撮をしていた」と容疑を認め、27日までに、山口簡易裁判所から罰金30万円などの略式命令を受けました。

元巡査は、すでに依願退職しています。略式命令を受けたことについて県警察本部の監察官室は、「コメントすることはない」としています。
引用元 : NHK 2019年8月27日 15時43分配信

警察官による盗撮事件で、既に書類送検されていて今回罰金30万円の略式命令が出たとのことです。

軽犯罪法違反については「他人の住宅の室内を外から撮影した」という行為を覗き見と解釈したのでしょうか。罰則があって無いようなものなので、他に盗撮による迷惑防止条例違反があって30万円の罰金となっていることから見ても、軽犯罪法違反の分は量刑への影響がほぼ皆無と見られます。

軽犯罪法 第1条

左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
第23号
正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者

ただ、約1年前にやった他人の住宅室内の盗撮行為が今回出てきている理由はやや気になります。今年5月のスカート内盗撮で捕まって調べたところ、スマホや自宅のPC等からそうした室内の覗き見画像が出てきたので追加したということでしょうか。それならば他のスカート内盗撮の余罪の証拠が出てきても良さそうなものですが、被害者の特定が困難だったのか、あるいは身内ということで最初のスカート内盗撮以外は深く突っ込まなかったのかもしれません。

残念ながら既に依願退職しているようですが、先日も不祥事により依願退職していた元警察官(盗撮行為の疑いで現行犯逮捕、不起訴になったが逮捕時にナイフを所持していたことで銃刀法違反に問われ罰金刑、その後依願退職)がG20会場に煙玉を放って捕まっていましたので、自棄になっておかしなことをすることが無いようにしていただきたいものです。

高校教諭がトイレ盗撮容疑 カメラを設置する様子も映る

飲食店のトイレに小型カメラを設置して盗撮をしたとして、佐賀県警佐賀南署は27日、県立鳥栖高校教諭(40)=福岡県小郡市小郡=を県迷惑行為防止条例違反(盗撮)の疑いで逮捕し、発表した。「間違いありません」と容疑を認めているという。

発表によると、容疑者は今年6月8日と7月5日、12日の3回、佐賀市内の飲食店の男女兼用トイレに小型カメラを設置して客を含む男女10人を盗撮した疑いがある。12日に女性店員が気づいて県警に通報したという。

カメラは2・3センチ四方の小型カメラで、動画が記録媒体に残っていた。洋式トイレの前にある洗面台の下に隠して置かれていたという。容疑者がカメラを設置する様子も映っていたという。

県教委によると、容疑者は数学を担当。県教委は「事実であれば誠に遺憾。被害者と県民に深くおわびします。事実関係を把握し、厳正に対処します」とのコメントを出した。
引用元 : 朝日新聞 2019年8月28日 21時3分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。

高校の教員によるトイレ盗撮事件ですが、勤務先の学校で生徒や教職員を狙った盗撮ではなく、飲食店のトイレにカメラを仕掛けたというものです。しかし、今回捕まったのが飲食店トイレの盗撮だったというだけで余罪として学校での盗撮が発覚する可能性はあります。

飲食店の女性店員がトイレに仕掛けられていたカメラを見つけて発覚、それに記録されていた動画に被疑者本人が映り込んでいたことが被疑者特定のきっかけになったと思われます。

前回の記事で丁度「盗撮のために仕掛けたカメラに本人が映り込んでいてお縄になるケースは意外に少なくない」と述べていましたが、この事件でも正に同様の経緯で逮捕に至っており、こうしたお間抜けな顛末が如何に多いかが示される結果になりました。

カメラを仕掛けた被疑者本人の映り込みがきっかけで逮捕されるケースがこれだけ目立っていると映り込まないように注意を払うだけでリスクをそれなりに小さくできるように思えるのですが、過去の事例を調べるなどして自分は注意しようという風には思わないものなのでしょうか…。

なお、この時点で6月8日と7月5日、7月12日と具体的に過去の複数の日付が挙げられているということは、おそらくこれらの日に盗撮したデータが全てカメラに記録されていたのだろうと見られます。被害者は男女10人とされていますので、もしかすると最終的には1件だけでなく複数の盗撮で立件されることもあるかもしれません。

逆に、迷惑防止条例違反は非親告罪なので逮捕はできても、盗撮された被害者がどこの誰だかわからず被害届が無いままになって盗撮行為での立件が回避されることも考えられます。しかし、記事によると盗撮被害者は「客を含む男女10人」とされており、「客を含む」ということはおそらく客ではない飲食店の店員等も含まれていると見られます。そうだとしたら客がどこの誰かわからなくても店員が被害届を出せば良いので、被害届が無いことで立件が避けられる可能性は無いのではないでしょうか。

また、佐賀県の迷惑防止条例では盗撮目的でカメラを設置する盗撮準備行為も処罰の対象となります。もし盗撮行為での立件が避けられても盗撮準備行為にも該当していますので不起訴というのは難しいでしょう。

佐賀県 迷惑防止条例 第3条

何人も、公共の場所等において、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
  1. 衣服その他身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から又は直接人の身体に触れること。
  2. 衣服等で覆われている人の下着又は人の身体をのぞき見すること。
  3. 前2号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
第2項
何人も、公共の場所等又は特定多数の者が使用する場所等(事業所、学校その他の特定かつ多数の者が使用する場所又は貸切バスその他の特定かつ多数の者が使用する乗物をいう。次項において同じ。)において、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
  1. 衣服等で覆われている人の下着又は人の身体を写真機、ビデオカメラ、携帯電話その他の機器(以下「写真機等」という。)を使用して撮影すること。
  2. 衣服等で覆われている人の下着又は人の身体を撮影する目的で写真機等を向け、又は設置すること。
第3項
何人も、正当な理由がないのに、浴場、便所、更衣室その他人が通常衣服等の全部又は一部を着けない状態でいる場所であって、次に掲げる要件のいずれかに該当するものにおいて、当該状態でいる人の姿態を写真機等を使用して撮影し、又は当該姿態を撮影する目的で写真機等を向け、若しくは設置してはならない。
  1. 公衆が利用することができること。
  2. 特定多数の者が使用する場所等にあること。

おそらく店員等も含めて1件の盗撮で被害者が特定できれば他の被害者の分も全員調べることまではしないのではと思われます。勿論その可能性が無いとは言えませんが、刑事処分としては不起訴は無く、30万円から50万円の程度の罰金といったところではないでしょうか。

「制服にムラムラして…」17歳女子高生の下着盗撮 49歳旅行中のパート従業員逮捕 札幌市

買い物中の17歳の女子高校生のスカートにスマートフォンを差し入れて盗撮したとして、神奈川県の49歳のパート従業員の男が逮捕されました。

北海道迷惑行為防止条例違反の現行犯で逮捕されたのは、神奈川県川崎市の49歳のパート従業員の男です。

男は2019年8月28日午後6時ごろ、札幌市中央区南3条西5丁目の商業施設の中古品販売店で、2人で買い物に来ていた17歳の女子高校生のスカートの中にスマートフォンを入れて撮影しました。

当時店内にいた警備員が、スマートフォンを手に女子高生の後ろをついていく男を発見し様子を見ていたところ、男が女子高生の後ろでかがみ、フラッシュを光らせ撮影するのを目撃しました。男は逃走しましたが、店の入り口で警備員に逮捕されました。

男は神奈川県から北海道に1人で旅行に来ていて、旭川を観光したあと札幌に来ていました。

調べによりますと男は「制服を着た女の子にムラムラして、下着を見たい欲求を止められずやってしまった」と容疑を認めているということです。
引用元 : UHB北海道文化放送 2019年8月29日 20時15分配信

スマホを使った女子高生のスカート内盗撮事件です。被疑者の職業や年齢、盗撮の手口等について珍しい点は特に無く、場合によっては報道されることもなかったのではと感じますが、神奈川から北海道旅行へ来ている最中に盗撮して捕まったというポイントで取り上げられたのでしょうか。

スマホをスカートの中に直接差し入れるという典型的なスマホ君です。盗撮に及ぶ前から警備員に目を付けられていたようなのでその時点から挙動や目つきが不審だったのでしょう。警戒されていることにも気付かないほど没頭していたのでしょうか、警備員が見ている前でまんまと女子高生のスカート内にスマホを入れてフラッシュまで焚き盗撮、そして警備員に追われて現行犯逮捕となったようです。

歩きスマホが迷惑と言われていてもスマホを見ながら歩く人は全く珍しくなく、そんな中で警備員に怪しいと睨まれたこの被疑者は余程異様な様子に見えたのではないでしょうか。素人目に考えても、商業施設の店舗内で盗撮するなら実行に移す前に誰かに見られる可能性は無いか周囲を確認しても良さそうなものですが…。

一方、フラッシュまで使っていてより鮮明に撮りたいという盗撮への執着は強かったと窺われますが、今までは運良く見つかっていなかったのか、あるいは旅行の解放感と下着を見たいという性的な欲求に目が眩んで周囲への注意が散漫になっていたのか、いずれにしても自宅から離れた遠い地で身柄を拘束され、せっかくの北海道旅行も台無しになってしまいました。

なお、この事件は公共の場所における盗撮行為の現行犯ですので、盗撮準備行為への規制の有無などに関係無く普通に迷惑防止条例違反です。北海道の迷惑防止条例では第2項第1号に該当すると考えられます。

北海道 迷惑行為防止条例 第2条の2

何人も、正当な理由がないのに、次に掲げる行為をしてはならない。
第1号
公共の場所又は公共の乗物にいる者に対し、著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をすること。
  1. 衣服等の上から、又は直接身体に触れること。
  2. 衣服等で覆われている身体若しくは下着をのぞき見し、又は映像面に衣服等を透かして身体若しくは下着の映像を表示する機能を有する機器を使用して当該映像を見ること。
  3. ア及びイに掲げるもののほか、卑わいな言動をすること(次号に掲げる行為を除く。)。
第2号
公共の場所若しくは公共の乗物又は集会場等(集会場、事務所、教室、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所及び乗物をいい、公共の場所及び公共の乗物を除く。第4号において同じ。)にいる者に対し、著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をすること。
  1. 衣服等で覆われている身体又は下着を撮影すること(次号に規定する状態の他人に対して行う場合を除く。)。
  2. アに掲げる行為をするため、写真機、ビデオカメラその他の撮影する機能を有する機器(次号及び第4号において「写真機等」という。)を向けること。
第3号
住居、浴場、便所、更衣室その他の人が衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所(以下この号及び次号において「住居等」という。)における当該状態の他人の姿態を撮影し、又はこれを撮影するため写真機等を住居等における当該状態の他人に向けること。
第4号
公共の場所若しくは公共の乗物若しくは集会場等にいる者の衣服等で覆われている身体若しくは下着又は住居等における前号に規定する状態の他人の姿態を撮影するため、写真機等を設置すること。

ただ、盗撮行為自体は他の事件と比較して特別に悪質と見られる点が無く、被疑者が初犯ならば態度次第では被害者との示談ができなくても不起訴になる可能性はあるかもしれません。逆に、49歳のパート従業員というと被疑者本人や親族が50万円程度の示談金を一括で用意する資力があるのかどうかと感じてしまうので、示談という選択肢が最初から無い可能性もあります。

しっかりと反省などの態度を示して今回ばかりはと不起訴を狙うか、それが叶わなければ30万円程度の罰金ということで覚悟するということになるのではないでしょうか。

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