盗撮などの性犯罪での逮捕やその前後に関する情報を配信してまいります。

盗撮で逮捕される日

ニュース考察

先週の盗撮事件ニュース(8月19日~8月25日)

更新日:

先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。

図書館の女子トイレに“盗撮カメラ”…事務室で保管も警察到着前になくなる 30代司書が設置

名古屋市の緑図書館の女性用トイレに盗撮カメラ。仕掛けたのは図書館を運営する会社の社員の男でした。

名古屋市教育委員会によりますと今年5月、名古屋市緑区の緑図書館の女性用トイレで、女性スタッフがタンクの下にテープで貼りつけてあるカメラを見つけ、警察に通報しました。

カメラは取り外して事務室に保管されていましたが、警察が到着する前になくなったということです。

6月になり、警察の事情聴取に、市教委から図書館の管理業務を請け負う会社の社員で30代の司書の男が、盗撮カメラを設置し、カメラを廃棄したことを認めたということです。

男は会社の聞き取りに対し、「去年11月から複数回盗撮した」と話していて、会社側は男を懲戒解雇するとともに、市教委も警察に被害届を出しています。
引用元 : 東海テレビ 2019年8月20日 15時55分配信

図書館司書による図書館におけるトイレ盗撮事件です。なお、盗撮が成功していたかどうかは確認されておらず、カメラ自体もこの男性司書により廃棄されてしまっているようです。

既に警察に被害届が出されているとのことですが、トイレからカメラが発見され警察へ通報した後、その警察が現場へ到着する前に無くなっていたということは盗撮できていたかどうかは確認できておらず、廃棄されているということはおそらく今後も確認できないでしょう。

しかし、愛知県の迷惑防止条例では盗撮目的でカメラ等を設置するだけでアウトになりますので、この規定により処罰される可能性があるでしょう。現場はトイレですので第3項第2号に該当していると考えられます。

愛知県 迷惑行為防止条例 第2条の2

何人も、公共の場所又は公共の乗物(第三項に定めるものを除く。)において、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
  1. 人の身体に、直接又は衣服その他の身に付ける物(以下「衣服等」という。)の上から触れること。
  2. 衣服等で覆われている人の身体又は下着をのぞき見し、又は撮影すること。
  3. 前号に掲げる行為をする目的で、写真機、ビデオカメラその他の機器(以下「写真機等」という。)を設置し、又は衣服等で覆われている人の身体若しくは下着に向けること。
  4. 前三号に掲げるもののほか、人に対し、卑わいな言動をすること。
第2項
何人も、学校、事務所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用することができる場所又は乗物(公共の場所又は公共の乗物に該当するもの及び次項に定めるものを除く。)において、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
  1. 衣服等で覆われている人の身体又は下着をのぞき見し、又は撮影すること。
  2. 前号に掲げる行為をする目的で、写真機等を設置し、又は衣服等で覆われている人の身体若しくは下着に向けること。
第3項
何人も、住居、浴場、便所、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所において、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
  1. 人の姿態をのぞき見し、又は撮影すること。
  2. 前号に掲げる行為をする目的で、写真機等を設置し、又は人の姿態に向けること。

ただ、当のカメラがこの男性司書により廃棄されていて既にありません。現物の証拠が無いことで立件が難しくなってくることも考えられますが、カメラを発見した別の社員を含む同僚らが目撃者として確認しているはずで、本人もカメラの設置と廃棄を認めているので盗撮目的でトイレにカメラを仕掛けた盗撮準備行為として処罰できるのではないでしょうか。

なお、他人の刑事事件に関する証拠を廃棄するなどの行為は証拠隠滅罪となりますが、このケースも含めて自分の事件に関する証拠の場合は証拠隠滅罪とはなりません。そもそも警察へ通報したのであれば警察官が着くまで現場から動かすべきではなく、動かされないように監視などをしておくべきだったでしょう。

この記事の時点ではまだ事件化していないようですが、今後刑事事件となっても被疑者本人が証拠となるカメラを隠滅したことについては、刑事や検察官、裁判官などからの印象が悪くなることはあってもそれ自体が別の罪になることはありません。大事な証拠を犯人が触れられる場所に移してしまったのはこの同僚らの落ち度だったのではないでしょうか。

これから盗撮目的でのカメラ設置の疑いで事件化すれば余罪の捜査なども行われるでしょうが、既にカメラの廃棄という証拠隠滅行為を行っていますので、仮に自宅のPCやHDD等に過去の盗撮データなどがあったとしてもそれらも既に隠滅されている可能性が高いと言えます。

事件化できたとしても盗撮目的でのカメラ設置のみで罰金10万円から20万円程度、あるいは現物のカメラが無くなっていることで立件を断念するということもあるかもしれません。

校内で女子児童のスカート内を盗撮 元教諭に罰金100万円 佐賀簡裁が略式命令

校舎内で女子児童のスカート内を盗撮したとして、佐賀区検は21日までに、佐賀県迷惑防止条例違反(盗撮)の罪で、元佐賀市立小学校教諭の50代男性を略式起訴し、佐賀簡裁が罰金100万円の略式命令を出した。略式起訴は7月31日付、同命令は今月9日付。

起訴状などによると、男性は常習として、教諭だった3月4日午前11時10分ごろ、佐賀市内の小学校の一室で、女子児童の背後からスカート下方にデジタルカメラを差し入れて下着を撮影。また同11時15分ごろ、別の児童のスカート内にカメラを差し向けたとしている。

県教委は3月下旬、2018年5月ごろから複数回盗撮を繰り返していたとして男性を懲戒免職処分にした。佐賀北署は今年4月、県迷惑防止条例違反の疑いで男性を書類送検していた。
引用元 : 佐賀新聞 2019年8月22日 10時57分配信

以前の記事で取り上げていた小学校の教員による女子児童のスカート内盗撮事件の続報です。当時はまだ逮捕も書類送検もされていなかったようでしたが今回略式命令が出て、なんと100万円という盗撮事件ではなかなかお目にかかれない高額の罰金となったようです。

前回の記事で明らかになっていた経緯では、教員による学校内での盗撮事件から発展するケースが目立つ児童ポルノ絡みがこの事件では無いと見られましたので、教え子のスカート内盗撮のみで逮捕もされていないということから罰金でも30万円程度と見ていました。

ところが、結局4月に書類送検でやはり逮捕勾留はされていないと思われる中、100万円という高額の罰金が科せられたことにはやや驚きがあります。ここまでに跳ね上がった要因としては常習として起訴されたことが挙げられるでしょうか。常習盗撮として起訴されると法定刑が倍になります。

佐賀県 迷惑行為防止条例 第11条

第3条又は前条の規定に違反した者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
第2項
常習として第3条又は前条の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

佐賀県においては盗撮行為の罰則が「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」となりますので、常習盗撮ではその倍で「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」となります。なお、東京都などの盗撮行為への罰則が厳しい自治体においては、通常の盗撮で「1年以下の懲役」のところ常習では「2年以下の懲役」と規定されたりしています。

最近は常習性が顕著なら一発目でも常習として起訴されるケースが出てきていますが、従来は常習累犯窃盗などと同様に何度も盗撮で検挙されることを繰り返した後に適用されるものでした。この教員に前科があったかどうか定かではありませんがおそらくは初犯であり、それでも常習として起訴されたのは自宅のHDDなどに保存されていた盗撮データが多く著しい常習性があったと判断されたためかもしれません。

しかも100万円というのは罰金額の上限、これ以上は公判請求されることになりますので正にギリギリのところでした。盗撮事件で罰金となるケースではあまり見られない額ですので、初犯だったから公判請求は免れたと考えてもやはり余程の常習性が見られたのでしょう。

既に懲戒免職処分を受けており退職金も支給されず、文字通り失ったものは大きいわけですが、今後再犯に及べばまた常習として起訴されて今度は公判請求、さらにその後は実刑と続きかねません。自棄にならずここで踏み止まれれば良いですが…。

女子児童の着替え盗撮しようと…机にカメラ設置 「のぞきに興味あった」男性教諭、県教育局が懲戒免職

埼玉県教育局は22日、県東部の公立小学校で女子児童の着替えを盗撮しようとした臨時的任用教員の男性教諭(24)を懲戒免職処分にしたと発表した。

同局小中学校人事課によると、男性教諭は6月26日午後9時半ごろ、勤務する小学校で女子児童の着替えに使われている学習室の教員用の机に小型カメラを設置。27日午前11時20分ごろに児童の忘れ物を確認していた水泳指導の女性教諭が黒板の下の床に落ちていたカメラを発見。校長がカメラの映像を確認したところ、男性教諭の姿が映っていた。女子児童の映像は確認されなかったという。

学校は7月10日に被害届を県警に出した。男性教諭は「小さな子どもやのぞきに興味があった。以前も同様のことをやった」と話しているという。

小松弥生教育長は「深くおわびし、信頼回復のため、市町村教育委員会、学校と一体となって教職員の不祥事防止に全力を尽くす」とコメントを発表した。
引用元 : 埼玉新聞 2019年8月23日 6時9分配信

こちらも小学校の教員による学校内での盗撮事件です。ただし、女子児童の着替えを盗撮しようとしていたようですが、別の教員にカメラを発見されており、そのカメラに女子児童の映像が無かったようなので盗撮自体は未遂に終わっているようです。

発覚のきっかけは設置後に外れて落ちていたカメラを別の教員が発見したこととされており、そのカメラに記録されていた映像にこの男性教員が映っていたことで特定されているようです。何とも間抜けな話ですが、盗撮のために仕掛けたカメラに本人が映り込んでいてお縄になるケースは意外に少なくもありません。

学校側は既に被害届を出しているようですが、この事件では何の罪に当たるでしょうか。女子児童の着替えを狙っていたことを踏まえて児童ポルノ禁止法違反や迷惑防止条例違反を検討すると、おそらくどちらでもありません。まず、この件においては女子児童の映像が確認されておらず撮られていないと見られますので児童ポルノの製造には当たらないでしょう。

また、埼玉県の迷惑防止条例では盗撮行為の規制が及ぶ場所を「公共の場所又は公共の乗物」に限定しており、盗撮目的でのカメラ設置などの盗撮準備行為を禁止する規定もありません。「小学校で女子児童の着替えに使われている学習室」は公共の場所には該当しないと考えられ、実際は盗撮に至っておらずカメラを設置しただけなので、これが処罰対象にならない以上は迷惑防止条例違反の疑いでもないと思われます。

埼玉県 迷惑行為防止条例 第2条 第4項

何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人に対し、身体に直接若しくは衣服の上から触れ、衣服で隠されている下着等を無断で撮影する等人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をしてはならない。

そうなると他に考えられるのは建造物侵入の疑いでしょうか。教員が勤務先の学校で盗撮事件を起こし建造物侵入で逮捕されている例はありますので、被害届や捜査のきっかけとしてはおそらく建造物侵入なのではと思われます。

「小さな子どもやのぞきに興味があった。以前も同様のことをやった」という供述から同様の手口による女子児童の着替え盗撮を含めた余罪があると見られますので先月の記事で取り上げている小学校教員による着替え盗撮事件のように児童ポルノ禁止法違反事件に発展する可能性はあるかもしれません。

しかし、少なくともこの記事の時点ではこの男性教員は逮捕されていないと見られ、さらに言えばカメラの設置が発覚したのが6月27日で被害届を出したのが7月10日、この間に余罪の証拠を隠滅することは可能でしょう。

警察が捜査に入れば家宅捜索を行って自宅のPCやHDD等に保存されている(かもしれない)余罪の証拠を押さえようとするでしょうが、早ければ仕掛けたカメラが発見された6月27日にもそうしたデータ等の証拠を処分している可能性はあります。もしそうであれば建造物侵入以外の罪に問うことは難しくなってくるかもしれません。

過去の盗撮データ等の証拠を押さえることができれば、又は、カメラ等から盗撮データが復元できれば迷惑防止条例違反や児童ポルノ禁止法違反などで30万円から50万円の罰金ということになるかもしれませんが、何の証拠も押さえることができなければ建造物侵入のみで最大でも10万円の罰金で終わってしまうことも考えられるのではないでしょうか。

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