先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。
お盆休みで警察も動きが鈍っていたのでしょうか、先週は盗撮関連の事件報道があまり多くなかったように感じます。
児童更衣室に隠しカメラ 容疑の教諭「時計置いただけ」
勤務先の小学校の更衣室に盗撮目的で置き時計型カメラを設置したとして、和歌山県警は12日、和歌山県御坊市藤田町吉田、小学校教諭(27)を県迷惑防止条例違反の疑いで逮捕し、発表した。「時計として置いただけで撮影するつもりはなかった」と容疑を否認しているという。
御坊署によると、容疑者は7月1日ごろ、勤務先の印南町内の公立小学校の体育館女子更衣室の棚の上に、盗撮目的で置き時計型カメラ1台を置いた疑いがある。
7月中旬、匿名男性から「小学生が着替える場所にカメラが設置されているらしい」という旨の通報が署にあり、捜査していた。
署によると、容疑者が所持しているハードディスクの中に、別のカメラで撮影したとみられる女子児童が着替えている動画が見つかっていて、関連を調べている。
町教育委員会によると、容疑者はこの学校で勤務して3年目。町教委は「児童や保護者、地域の方々に申し訳ない。児童の心のケアに取り組む。再発防止のため、各校で備品の点検や職員同士の話し合いの場を設けるよう指示した」と話した。
引用元 : 朝日新聞 2019年8月13日 10時32分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
小学校の教員による勤務先の学校の更衣室における着替え盗撮事件です。しかし、実際に盗撮はしていなかったようで逮捕容疑は盗撮目的でカメラを設置した疑い、さらに被疑者は盗撮目的ではなかったと否認しているようです。
ところが被疑者の自宅のHDDからは女子児童の着替えを盗撮した動画が見つかっているようなので、置き時計型のカモフラージュカメラを更衣室に置いておきながら盗撮目的ではないというのはちょっと苦しい言い訳でしょう。
そもそも女子児童が着替えている動画は児童ポルノの可能性がありますので、仮にこの事件では盗撮目的ではなかったと認められたとしても、先月の記事で取り上げていた別の小学校教員による着替え盗撮事件と同様に今後児童ポルノ禁止法違反で再逮捕されるかもしれません。
なお、捜査の端緒としては匿名男性からの通報があったとされており、「小学生が着替える場所にカメラが設置されているらしい」という内容からすると関係者からの通報と思われますが、別のニュースで発覚から通報までの経緯が以下のように報じられています。
同日、大人の腰の背丈ほどのラックに、デジタル表示の置き時計があるのを別の教員が見つけた。置いた者を探したところ、容疑者が自ら名乗り出た。「体育の後で生徒がゆっくり着替えて授業に遅れてくることがあった。『早く着替えろ』と言うと、生徒から『時計を置いてくれ』と言われたので1日に置いた」と説明したため、時計はそのまま置きっ放しにされた。
その後、時計にレンズが付いていることが発覚。学校がただちに回収して調べると、撮影・録画機能があることが分かった。疑念の目にさらされた容疑者だが「カメラ機能は知らなかった」との主張を続けた。
しかし、保護者の間で動揺が広がり、最終的には匿名の通報を受けた警察が捜査することに。時計にはスマホなど端末から遠隔操作できる機能まで搭載していたことが判明したが、映像は入っていなかった。今月12日になって、容疑者の自宅から、更衣室で女子児童が着替えるシーンが収録された外付けハードディスクやマイクロSDカードが押収された。
引用元 : 東京スポーツ 2019年8月14日 16時0分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
被疑者が設置した時計に撮影機能があることがわかって問題になったのだろうと思われますが、被疑者が盗撮目的を否定したことやカメラに動画が記録されていなかったことなどから学校側が内々に処理しようとしていたのかもしれません。それに業を煮やした保護者か他の教員が匿名で警察へ通報したのではないでしょうか。
ただ、カメラに動画が記録されていなかったという点については、スマホ等から遠隔操作できる機能があるカメラとのことなのでこうした機能を使ったか、あるいは回収前に直接操作するかでデータが消去されていた可能性があります。おそらく警察はデータの復元等を試みると思われますが、それにより着替えを盗撮した動画が出てくればさすがに言い逃れはできないでしょう。
なお、和歌山県の迷惑防止条例では盗撮目的でカメラを設置するだけで処罰の対象となる規定がありますので、実際に盗撮していなくても迷惑防止条例違反となり、この事件ではこの規定により逮捕されていると考えられます。
和歌山県 迷惑防止条例 第4条
- 着衣等の上から、又は直接他人の身体に触れること。
- 着衣等で覆われている他人の下着又は身体(以下「下着等」という。)をのぞき見ること。
- 着衣等で覆われている他人の下着等を撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向け、若しくは設置すること。
- 前3号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
何人も、公共の場所又は公共の乗物において、写真機等を使用して着衣等を透かして見る方法により、みだりに着衣等で覆われている他人の下着等の映像を見、又は撮影してはならない。
何人も、次に掲げる場所又は乗物において、他人を著しく羞恥させ、又は他人に不安を覚えさせるような方法で、着衣等で覆われている他人の下着等を撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向け、若しくは設置してはならない。
- 集会場、事務所、教室その他の特定かつ多数の者が利用するような場所
- バスその他の特定かつ多数の者が利用するような乗物
- タクシーその他の不特定の者が利用するような乗物(公共の乗物を除く。)
何人も、浴場、更衣室、便所その他の人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所にいる人に対し、みだりに、次の各号に掲げる行為をしてはならない。
- 姿態をのぞき見ること。
- 姿態を撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向け、若しくは設置すること。
- 前2号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
この事件では現場が学校の更衣室ですので第4項第2号に該当しているでしょうか。
自宅から女子児童の着替えを盗撮した動画が出てきている以上、盗撮目的ではなかったという弁解は通らないのではないでしょうか。児童ポルノの所持や製造の可能性もありますので今後再逮捕されれば心が折れて盗撮目的だったことを認めるということもあるかもしれません。
盗撮目的でのカメラ設置だけならば10万円から20万円の罰金といったところでしょうが、児童ポルノの所持や盗撮製造が追加されれば罰金が50万円程度に膨れ上がるのではと思われます。
広島県警警部補を書類送検 スカートにスマホ差し入れた疑い
広島県警は16日、商業施設で女性のスカートにスマートフォンを差し入れたとして、県迷惑防止条例違反の疑いで県警本部に所属する男性警部補(36)を書類送検し、同日付で停職6カ月の懲戒処分とした。警部補は「欲望を抑えられなかった」と容疑を認めている。
書類送検容疑は、5月24日午後8時ごろ、広島市内の商業施設にある店舗で、30代女性のスカートの下にスマホを差し入れた疑い。
県警によると、女性が何かが当たったと感じ振り返ったところ、警部補は逃走。直後に複数の警備員が取り押さえた。
岩上譲治首席監察官は「職員に対する指導をより一層徹底する」とコメントしている。
引用元 : 共同通信 2019年8月16日 17時17分配信
警察官によるスカート内盗撮事件です。約3か月前の事件でやっと書類送検したようですが、懲戒処分は既に出ているようで停職6か月とそれなりに厳しいものになっています。
36歳で県警本部所属の警部補というとまずまず順調に出世していたのではないかと思われますが「欲望を抑えられなかった」というシンプルな動機による盗撮事件を起こし、これで依願退職しなかったとしても今後の出世は難しくなったかもしれません。もし捕まったらどうなるのか熟知していて然るべき職業だと思いますが、事件の捜査等をする部署ではなかったなどで自身に置き換えてみる想像が至らなかったのでしょうか。
盗撮行為に及んで現場で取り押さえられた事件自体は約3か月前のことで書類送検まで時間がかかっているように見えますが、おそらく逮捕勾留していなかったでしょうからのんびり捜査してやっと送検したというところでしょうか。
盗撮の手口としてはスマホをスカートの下に差し入れたという典型的なスマホ君ですが、「女性が何かが当たったと感じ」というのはおそらくスマホを被害者の足にでも当ててしまったのでしょうか、凡ミスにより被害者に気付かれて捕まるというなかなか間抜けな展開になっています。
身内ですので余罪等の捜査も大して行っていないと思われこの事件だけで終結するでしょうが、被疑者が現職の警部補という点以外は盗撮事件としては特筆すべき内容も無いので厳しくても罰金30万円、被害者と示談できれば不起訴になるのではないでしょうか。