盗撮などの性犯罪での逮捕やその前後に関する情報を配信してまいります。

盗撮で逮捕される日

ニュース考察

先週の盗撮事件ニュース(9月4日~9月10日)

更新日:

先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。

女性職員更衣室盗撮の高校用務員停職 着替える前に女性が気づく、カメラを置く姿が…愛知県教委

愛知県教育委員会は6日、県立緑丘商業高校(名古屋市守山区)で女性職員用の更衣室にビデオカメラを設置し、同僚女性を盗撮したとして、同校の男性用務員(64)を、停職6カ月の懲戒処分とした。7日付で依願退職する。

県教委によると、用務員は7月3日午後2時ごろ、更衣室でカメラ2台を座布団などに隠して設置。着替える前に女性が気付き、県警守山署に届け出た。カメラを置く姿が写っており、用務員が特定されたとしている。

用務員はこの女性を狙ったと認め「私生活上の問題が蓄積し、盗撮の形でぶつけてしまった」と県教委に説明したという。

守山署は軽犯罪法違反容疑で用務員を書類送検する方針。
引用元 : 産経新聞 2017年9月6日 12時22分配信

更衣室にカメラを仕掛けるタイプの盗撮でカメラが見つかってしまい、しかも自分が映っていたという凡ミス事件です。

2台設置したということですので2つのアングルからの盗撮を狙っていたと考えるのが自然でしょうか。欲張った結果、カメラを設置する自分の姿も映り込んでしまうという凡ミスを犯してしまったようです。

なお、愛知県の迷惑防止条例では今のところ盗撮目的でのカメラ設置を処罰できる規定にはなっておらず、また、ターゲットにされた同僚女性が着替える前に気づいたとのことなので迷惑防止条例違反にならなかったと見られます。

愛知県 迷惑防止条例 第2条

第2項
何人も、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、故なく、人を著しくしゆう恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
  1. 人の身体に、直接又は衣服その他の身に付ける物(以下「衣服等」という。)の上から触れること。
  2. 衣服等で覆われている人の身体又は下着をのぞき見し、又は撮影すること。
  3. 前二号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
第3項
何人も、公衆が利用することができる浴場、便所、更衣室その他公衆が通常衣服等の全部又は一部を着けない状態でいる場所にいる人に対し、故なく、人を著しくしゆう恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、人の姿態をのぞき見し、又は撮影し、その他卑わいな言動をしてはならない。

用務員という仕事の性質もあって女性職員用の更衣室に立ち入ったとする建造物侵入の適用も困難と考えたのでしょうか、盗撮絡みの罪としては比較的軽い軽犯罪法違反に留まっています。

罰則はほとんどあって無いようなものなので高齢に近い身にとっては不幸中の幸いといったところだったかもしれません。

乳がん検診で触診した女性の裸盗撮 容疑で49歳医師を逮捕 大阪

泥酔状態の女性の胸を触ったり、検診中の女性の裸を盗撮したりしたとして、大阪府警岸和田署は6日、準強制わいせつや軽犯罪法違反の疑いで、大阪府松原市の外科医の男(49)を逮捕、送検したと発表した。「ストレスと性欲を解消するためにやった」と容疑を認めている。

送検容疑は昨年10月~今年6月、3回にわたり、大阪府内で行われた乳がん検診や健康診断で触診などをした際、足元のかばんなどに仕込んだスマートフォンで盗撮。昨年11月には、勤務先だった府内の病院に泥酔状態で搬送された30代女性の服を脱がせ、胸を触るなどしたとしている。

同署によると、大阪府岸和田市で今年6月27日、市職員ら女性約150人が乳がん検診を受けた際、男の不審な行動から盗撮が発覚。男のスマホから30代女性にわいせつ行為をした動画が見つかったほか、勤務先だった病院のパソコンからは、女性計約80人が受けた別の検診や健康診断を盗撮した動画も見つかった。

同署は6月28日、準強制わいせつ容疑で男を逮捕したが、翌日に勾留請求が却下され釈放。その後は任意で捜査を進めていた。
引用元 : 産経新聞 2017年9月6日 17時27分配信

罪名として準強制わいせつのインパクトが強く、事件としてもそちらがメインのようですが事件発覚のきっかけが診断の様子を盗撮していたことにあったようです。AVの企画などで似たようなシチュエーションのものがあるところ、それを自ら実行してしまったことでお縄となりました。

必要な治療と偽って体を触った医師が準強制わいせつで逮捕されている事例はありますが、この事件の場合は乳がん検診や健康診断での触診が実際に必要と考えられる範囲のものだった可能性がありますので、その部分が準強制わいせつにあたっているのかどうかはこの記事からは判断できません。ただ、泥酔状態で搬送された女性の服を脱がせて胸を触った件は準強制わいせつと判断されているでしょう。

刑法 第178条 第1項

人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。
(注 : 第176条)
13歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

足元の鞄などにスマホを仕込んでいたとのことですので、その都度位置やアングルを調整するなどしていて不審な行動と捉えられたのでしょうか。スマホに動画を残していたのはもちろん、勤務先のPCに動画を保存していたというのもお粗末さを感じさせます。

準強制わいせつは親告罪ですので被害者全員との示談が成立すれば起訴されずに済む可能性がありますが、被疑者の医師という立場や盗撮までされていることなどを考えるとなかなか難しい示談交渉になるのではと思います。

ところで、準強制わいせつでの逮捕後に勾留請求が却下されて一度釈放されている点がやや気になります。身柄を押さえたまま処分保留等として一時的に釈放の手続きを行い、別の逮捕状を即執行するケースはたまに見られますがそうではないようです。

最初に逮捕送検して勾留請求した事件も内容としては同じものと思われますが、裁判官が請求を却下しているので証拠関係に何らか不備があったのかもしれません。その時点で動画などの証拠は全て押さえていたでしょうから改めて逮捕されるのは時間の問題だったと見られますがその辺りのドタバタの経緯が少し気になるところです。

盗撮目的、警官が女子トイレ侵入 京都府警、容疑で書類送検

盗撮目的で女子トイレに侵入したとして、京都府警が、建造物侵入の疑いで、伏見署の30代の男性巡査長を書類送検していたことが7日、府警への取材で分かった。

書類送検は8月24日付。巡査長は同日、減給100分の10(3カ月)の懲戒処分を受け、依願退職した。府警は「公表基準に当たらない」とし、処分を公表していなかった。

書類送検容疑は、昨年11月下旬、京都市内の観光地にある女子トイレ内に正当な理由なく侵入した疑い。府警によると、今年6月に「トイレ付近に不審者がいる」と通報があり、駆けつけた警察官が現場で巡査長を確認していた。後日、事情を聴いた際、巡査長は昨年11月の侵入行為を認め、「盗撮目的だった」と供述したという。

府警監察官室は「再発防止に向け、職務倫理の指導を徹底する」としている。
引用元 : 京都新聞 2017年9月7日 15時0分配信

こういった記事を見ると「公表基準に当たらない」という部分に目が留まるわけですが、それならば「その公表基準とやらを公表しろ」と言いたくもなります。取材が無ければ公表しないままだったでしょうし、こうして取材が入っても氏名は発表していないままです。

個人的には、逮捕したなどの被疑者段階での報道では氏名を発表しなくて良いと考えていますが、氏名以外の部分では基準があるならば統一して公表してほしいものです。これではいつものように身内を庇っているだけと見られるでしょう。

なお、この事件自体では被疑者の往生際が悪かったことが窺えます。

府警によると、今年6月に「公衆トイレの周辺に不審者がいる」と通報があり、現場で巡査長から話を聞いていた。このとき違法行為はなかったが、後日の任意聴取で昨年11月に女子トイレに入ったことを認めた。
引用元 : 日刊スポーツ 2017年9月7日 18時29分配信

「このとき違法行為はなかった」ということは、トイレ周辺で目撃されてから通報を受けて駆け付けた警察官が確認するまではトイレに立ち入っておらず、そのときの聴取にも立ち入っていないと答えていたと見られます。

その場ではトイレに立ち入った事実が確認できずにそれで終わったのでしょうが、挙動や受け答えなどを見てクロだという確信があったのかもしれません。後日詰められ、(公表していないトイレ盗撮動画などの証拠が出てきていたのかもしれませんが)そのときから半年も前のトイレ侵入を白状したようです。

盗撮目的でトイレに立ち入った建造物侵入事件ならば普通は公表されてもおかしくないと思いますが一体どんな基準なのでしょうか。

勤務校でも常習的に盗撮… 元中学教頭に有罪判決 沖縄

沖縄県うるま市のコンビニエンスストアなどで女性のスカート内を盗撮したとして、県迷惑行為防止条例違反の罪に問われた宜野湾市の元中学校教頭の被告(50)に、那覇地裁沖縄支部は7日、懲役8月執行猶予3年(求刑懲役8月)の判決を言い渡した。

二宮正一郎裁判官は判決理由で、「被告は2014年頃から盗撮を始め、16年8月か9月ごろからは女性の下着の盗撮を繰り返すようになった」と常習性を認めた。犯行態様についても、穴を開けた靴にデジタルカメラを入れ撮影しており「巧妙かつ手慣れており悪質」と指摘。「この種事犯への規範意識が低い。刑事責任は軽視できない」と批判した。

一方、被告が反省し謝罪の意思を示していること、懲戒免職になるなど社会的制裁を受けていることなどを考慮した。

これまでの公判で検察側は、被告が女子生徒の盗撮画像を多数保存するなど、勤務校でも常習的に盗撮していたと立証していた。弁護人によると、被告は控訴しない方針。

判決によると、被告は5月15日、沖縄市のスーパーマーケットで午後3時半ごろ、同4時半ごろにはうるま市のコンビニエンスストアで盗撮した。
引用元 : 沖縄タイムス 2017年9月8日 8時20分配信

以前の記事で取り上げていた事件の続報ですが、当初は建造物侵入の疑いで逮捕されていたところ迷惑防止条例違反に切り替えられており、さらに罰金では済まされずに公判請求されていたようです。沖縄では場合によって非常に厳しくなる傾向があるのでしょうか。

いわゆる靴カメを用いた盗撮を行っており、教頭という立場にありながら勤務校でも常習的に女子生徒を盗撮していたなど不利な事情は多いですが、判決によると事件化されているのは5月15日の2件だけのようですので、いきなり公判請求というのはとても厳しく感じられます。

しかも執行猶予が付いているとはいえ懲役8月となっていますので常習として起訴されていることがわかります。曲がりなりにも教頭をしており、もし前科があったとしたらその点に触れられているはずと思って初犯だと考えましたが前科があったのでしょうか。

沖縄県 迷惑防止条例

第3条
何人も、他人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、他人を著しくしゅう恥させ、又は他人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をしてはならない。
第10条
次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
  1. 第3条の規定に違反した者
  2. 第7条の規定による公安委員会の命令に違反した者
第2項
常習として前項第1号の違反行為をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

常習性を立証する証拠があり、2件の事件で起訴されているとしても迷惑防止条例違反の判決としてこれは割と重い方です。

これまでの例では2回3回と捕まってやっと達するレベルの判決になっていますので、これで初犯だとしたら沖縄では巧妙な手口による盗撮や常習的な盗撮などの場合は初めて捕まるとしてもこれだけ重い罰が下ることがあると覚悟しなければならないのかもしれません。

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