先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。
盗撮しようとした疑いで消防士を逮捕
和歌山県新宮市のパチンコ店で女性店員のスカートの中を盗撮しようとした疑いで40代の消防士の男が逮捕されました。
和歌山県の迷惑防止条例違反の疑いで逮捕されたのは、串本町消防本部の消防士(41)です。容疑者は、10月17日、新宮市にあるパチンコ店で、女性店員(20代)の下着を撮影しようと、スカートの下にスマートフォンを差し入れた疑いがもたれています。
調べに対し、容疑者は容疑を認めているということです。容疑者はスマートフォンを向けたものの撮影は出来なかったということですが、和歌山県では盗撮する目的でカメラを向けるだけで条例違反となります。
容疑者はことし1月にも同じ容疑で逮捕されていて、警察はスマートフォンを解析するなどして、余罪を調べています。
引用元 : 関西テレビ 2017年10月31日 6時31分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
和歌山県においてはこちらでも取り上げているように迷惑防止条例が改正されており、この事件の記事でも盗撮する目的でカメラを向けるだけで条例違反になるとして改正のポイントが強調されています。
和歌山県 迷惑防止条例 第4条
- 着衣等の上から、又は直接他人の身体に触れること。
- 着衣等で覆われている他人の下着又は身体(以下「下着等」という。)をのぞき見ること。
- 着衣等で覆われている他人の下着等を撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向け、若しくは設置すること。
- 前3号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
先の記事でも触れている点として、盗撮目的でカメラ等を向けたり設置したり(実際に盗撮するまでには至っていない)といった準備行為、前段行為がまだ規制されていない自治体はあります。
しかし、そうした行為がまだ規制されていない場合に迷惑防止条例違反ではなく建造物侵入などで逮捕されるケースは多くあります。まだ規制されていない自治体でも今後条例改正などが行われていくと見られますので、準備行為や前段行為が規制されていないから緩いとは言えません。
ところで、この事件では被疑者は現行犯逮捕ではなく、盗撮しようとした日から2週間ほど経ってから通常逮捕されているように見受けられます。
日付だけ見ると後日逮捕のようにも見えますが、実際には10月17日当日に一度取り押さえられるなどしたものの、盗撮したデータが無かったためかその場では逮捕に至らず、事情聴取や在宅捜査の末に容疑が固まって通常逮捕となった、ということも考えられます。
後日逮捕というと、盗撮がバレていないと思っていたらある日突然逮捕状を持った刑事が家に来る、といったイメージで語られることがありますが、仮に上述したような経緯だとしたらそうしたイメージとはニュアンスが違ってくるでしょう。
事件当日の逮捕であれば現行犯逮捕あるいはそれに近いものと考えられますが、日が経っていてもそうしたイメージの後日逮捕かどうかはわからない場合があります。
女児盗撮の無職男、懲役1年6月求刑 群馬
録画機能付き眼鏡を使って複数の女児の着替えを盗撮したとして、児童買春・児童ポルノ禁止法違反の罪に問われた埼玉県神川町の無職被告(34)の論告求刑公判が30日、前橋地裁(高橋貞幹裁判官)で開かれ、検察側は懲役1年6月を求刑した。
検察側は被告が今年6月ごろ、録画機能付き眼鏡を購入し、定期的に盗撮していたとして「計画的かつ悪質な犯行」と指摘。同種前科の執行猶予期間中に犯行に及んだことについて「性癖は根深く再犯の可能性が高い」と主張した。
引用元 : 産経新聞 2017年10月31日 7時55分配信
※被告人の氏名部分を修正しております。
前々回の記事で取り上げていた、メガネ型カメラを使って盗撮し児童ポルノを製造した事件の続報で今回は論告が行われたようです。
この事件の逮捕当時の記事でも触れているようにメガネ型カメラで核心部分を盗撮しようとすると挙動不審になりがちなので、一見しただけではカメラとわからない自然な形状のものでも盗撮用途では使いどころが難しいと言えるかもしれません。
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起訴事実については前回の初公判から認めていたようですが、一度の公判では結審していなかった模様です。認めていて争う点が無ければ一度で結審しそうな事件と考えていたところ、審理が長引くようなポイントがあったのでしょうか。
記事で同種前科とされているのは約4年前に起こした未成年者誘拐事件で、執行猶予の状況については触れられていなかったので満了しているのではとも見ていましたが、残念ながら執行猶予期間中に今回の事件を起こしているようなのでおそらく実刑判決、そして執行猶予取り消しだろうと思われます。
5年の執行猶予だったと考えられますので前回の判決は懲役2年~3年、それが今回の1年6月に加わることになるでしょうか。単純な盗撮事件ではありませんが、長いと4年半ほどの懲役という厳しい罰が見込まれる事件となってしまいました。
守山北高校の男性教諭 生徒盗撮で懲戒免職処分/滋賀
県教育委員会は、県立守山北高校に勤める28歳の男性教諭がことし6月、授業中に女子生徒のスカートの中を盗撮しようとしたとして31日付で懲戒免職処分にしたことを発表しました。
懲戒処分を受けたのは県立守山北高校の28歳の男性教諭です。県教育委員会によりますと、この教諭は今年6月21日の午後4時半ごろ、学校内の教室で担当教科の数学の補修授業の最中、机に向かって中腰で問題を解いていた女子生徒のスカート内に、背後からスマートフォンを差し入れようとしたということです。
女子生徒から相談を受けた警察の調べに対し、教諭は盗撮目的だったことを認めているということです。教諭はすでに県迷惑行為等防止条例違反で、罰金30万円の略式命令を受けていますが、県教育委員会では「教育者としての社会的信用を著しく失墜させた」として31日付で教諭を懲戒免職処分にしました。
なおこの教諭は野球部の部長も務めていましたが、県教委では、「生徒らに責任がある訳ではない」として部の活動には影響させないとしています。
引用元 : BBCびわ湖放送 2017年10月31日 19時9分配信
補習授業中の教室内が現場とのことですが、そんな状況で背後に回って盗撮しようとしたらそりゃ気付かれるだろうとしか言えません。
教室内に被疑者と被害者の女子生徒以外に誰か他の人はいたのでしょうか。さすがに被害者の女子生徒の後ろや同じ列に他の生徒がいる状況で盗撮しようとは思わないでしょうが、人ごみの中ならいざ知らず、人が少ないと思われる補習授業中の教室では気配が伝わるので無理があるでしょう。
案の定「盗撮しようとした」「背後からスマートフォンを差し入れようとした」とされているので実際に盗撮するには至らなかったと見られます。被害者の女子生徒が気付いて担任教諭、そして警察への相談につながったといったところでしょうか。
現場となった滋賀県でも盗撮目的でスカート内などにカメラ等を差し入れるだけで処罰されますので、盗撮はできていなくとも被疑者が盗撮目的と認めているこの事件では迷惑防止条例違反となります。
滋賀県 迷惑行為等防止条例 第3条
- 直接または衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から人の身体に触れること。
- 人の下着または身体(これらのうち衣服等で覆われている部分に限る。以下「下着等」という。)をのぞき見すること。
- 前2号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
何人も、公共の場所、公共の乗物または集会所、事務所、学校その他の特定多数の者が集まり、もしくは利用する場所にいる人の下着等を見、またはその映像を記録する目的で、みだりに写真機、ビデオカメラその他撮影する機能を有する機器(以下「写真機等」という。)を人に向け、または設置してはならない。
何人も、公衆または特定多数の者が利用することができる浴場、便所、更衣室その他の人が通常衣服の全部または一部を着けない状態でいる場所において、当該状態にある人の姿態を見、またはその映像を記録する目的で、みだりに写真機等を人に向け、または設置してはならない。
なお、「教育者としての社会的信用を著しく失墜させた」という点を重視した気持ちは理解できますが、この事件の内容で懲戒免職処分は厳しいようにも感じていたところ別の記事で以下のように報道されていました。
女子生徒が担任教諭に相談し発覚しましたが、学校側の聞き取りに対し男性教諭は盗撮を否定。その後、警察が任意で話を聞いたところ容疑を認めたため書類送検され、今月、罰金30万円の略式命令が言い渡されています。
引用元 : 毎日放送 2017年11月1日 7時42分配信
つまり、学校側の聞き取りに対しては嘘を言っていたということでしょうか。その後の刑事からの追及には耐えられずに結局白状したと思われますが、学校に対して最初は嘘を言っていたことも加味されての懲戒免職処分なのかもしれません。
実際に盗撮するまでに至らなかったことで学校側の聞き取りにはシラを切ったのかもしれませんが、懲戒処分は司法ではなく学校や県教委が判断することなので最初から正直に話していれば温情があったのかもと考えると残念に感じます。