先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。
「のぞきをしていたらムラムラして」同級生宅に侵入・下着盗む…当時18歳の少年再逮捕
中学校時代の同級生の女性宅に侵入し下着や現金などを盗んだとして、当時18歳の少年だった男が再逮捕されました。
住居侵入と窃盗の疑いで再逮捕されたのは、北海道室蘭市に住む当時18歳の少年だった24歳の会社員の男です。男は2014年7月、胆振地方の中学校で同級生だった女性宅に侵入し、現金8500円と女性用の下着や学生証など計26点(時価合計約2万円相当)を盗んだ疑いが持たれています。
男は同年、苫小牧市内の別の同級生の女性の自宅に侵入し女性用の下着や学生証など計23点を盗んだとして、時効成立直前の2020年12月に逮捕されていました。
その後の家宅捜索で、男の自宅から今回被害に遭った女性を含む同級生の女性10人以上の学生証などが見つかったほか、男のスマートフォンやパソコンからは、同級生の女性が着替える様子などを撮影した画像なども複数確認されたということです。男は事件後女性に匿名でSNSで盗撮画像と盗み出した学生証の写真も送り付けていました。
調べに対し男は、「のぞきをしていたらムラムラしてきて下着が欲しくなり盗んだ」などと容疑を認めています。警察は同級生を狙った複数の余罪があるとみて調べを進めています。
引用元 : UHB北海道文化放送 2021年1月6日 20時45分配信
盗撮行為によって逮捕された訳ではないようですが、元同級生の女性の下着などを盗んだ事件に絡んで別の元同級生の着替え等を盗撮していた事やSNSを通じてその盗撮画像を本人へ送り付けていた事などが発覚しています。被害者は中学時代の元同級生ばかりのようで、当時思いを寄せていたとか可愛かったとかそうした背景があって狙っていたという事なのでしょうか。
盗撮も含めて性犯罪のターゲットとして狙った女性の自宅を調べるというのは、見知らぬ女性だとなかなか難しいと思われますが学生時代に同級生だったりすると比較的ハードルが低くなるでしょう。かつては卒業アルバム等に住所が記載されていましたし、それが無くなったとしても地元ならば何も伝手が無いよりは調べやすいのではと思われます。
盗撮については着替える様子などとされていますが、被疑者が現在24歳とすると中学時代は約10年前ですのでスマホやPCに保存されていたという盗撮データは当時のものではなく卒業後に自宅へ侵入した際にカメラを仕掛けたとか窓からカメラを差し入れて撮ったなどのものと見られます。
そうした盗撮画像と盗んだ学生証を撮った画像をSNSを通じて被害者本人に送り付けていたというのはストーカー的な発想でしょうか。犯罪の証拠となり得る画像を被害者に送っている訳ですので警察に通報される事などは容易に想像できると思いますが、それでもやってしまうのはストーカー行為を本人に知らせたいタイプのストーカーのような執着が感じられます。
しかし、おそらくはそうした余計と思われる行為がきっかけで警察に通報されて捜査が始められており、6年以上も経ってから逮捕されるという事になっています。住居侵入の公訴時効は3年ですが、下着や現金を盗むなどの窃盗もありますので公訴時効は7年となり時効成立前に逮捕されたようです。
なお、記事を見た限りでは逮捕容疑に盗撮行為は含まれていないようですが、北海道の迷惑防止条例では着替えの盗撮が処罰の対象になっていますので迷惑防止条例違反にも該当する可能性があります。
北海道 迷惑行為防止条例 第2条の2
公共の場所又は公共の乗物にいる者に対し、著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をすること。
- 衣服等の上から、又は直接身体に触れること。
- 衣服等で覆われている身体若しくは下着をのぞき見し、又は映像面に衣服等を透かして身体若しくは下着の映像を表示する機能を有する機器を使用して当該映像を見ること。
- ア及びイに掲げるもののほか、卑わいな言動をすること(次号に掲げる行為を除く。)。
公共の場所若しくは公共の乗物又は集会場等(集会場、事務所、教室、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所及び乗物をいい、公共の場所及び公共の乗物を除く。第4号において同じ。)にいる者に対し、著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をすること。
- 衣服等で覆われている身体又は下着を撮影すること(次号に規定する状態の他人に対して行う場合を除く。)。
- アに掲げる行為をするため、写真機、ビデオカメラその他の撮影する機能を有する機器(次号及び第4号において「写真機等」という。)を向けること。
住居、浴場、便所、更衣室その他の人が衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所(以下この号及び次号において「住居等」という。)における当該状態の他人の姿態を撮影し、又はこれを撮影するため写真機等を住居等における当該状態の他人に向けること。
公共の場所若しくは公共の乗物若しくは集会場等にいる者の衣服等で覆われている身体若しくは下着又は住居等における前号に規定する状態の他人の姿態を撮影するため、写真機等を設置すること。
被害者が自宅で着替えているところを盗撮したという事であれば第3号に該当すると考えられます。しかし、最近盗撮したのでなければこちらは時効が成立している可能性もありますので盗撮行為については不問となるのかもしれません。
住居侵入と窃盗という事件で、しかも同様の行為で既に逮捕されているところを今回は再逮捕という事なので罰としても厳しくなってくると思われます。複数の侵入盗で起訴される可能性がありますので罰金で済まされる見込みはあまり無く、初犯なら一発で実刑という事は無いでしょうが懲役1年から2年に執行猶予3年から4年程度にはなるのではないでしょうか。
須藤元気議員が盗撮被害、下半身映像販売される 必要な議論とは
格闘家で、2019年から参議院議員(現在は無所属)の須藤元気氏が盗撮の被害に遭っていたという。
2021年1月7日発売の「週刊文春」(文藝春秋)によれば、銭湯と思われる場所で須藤元気氏が下半身をさらけだした1分ほどの映像が動画投稿サイトにて9500円で売られていたという。須藤氏の事務所が海外に拠点のある動画サイトに削除依頼を出し、現在はサイトから消えているそうだ。
須藤氏本人は「週刊文春」の取材に<僕は裸で試合をしていた人間なので、別に自分のイチモツを見られて何とも思いませんが><僕のそんな裸の動画が9500円で売れたら、逆に『それでいいのか』って、申し訳ない気持ちです>とコメントしている。
(中略)
盗撮による被害は単に「撮影されたこと」にとどまらない。不当に撮られた写真や動画はSNSや動画投稿サイトに投稿されて、拡散していくおそれもある。
また、投稿されたサイトのサーバーが海外にある場合は追跡が難航し、摘発にまで至らないケースも多い。たとえ一度削除されたとしても、投稿された素材をダウンロードした別の人物などが再び投稿する可能性もある。しかし、いまの日本の法律には「盗撮罪」のような盗撮を罰する専門的な法律はなく、このことが問題を深刻にしている。
盗撮行為は主に、各都道府県で制定されている迷惑防止条例によって取り締まられるが、規制場所の範囲は自治体によって異なるという盲点がある。最近の社会情勢を受けて条例改正は相次いでおり、規制範囲を拡大している自治体も多い。しかし現在でも、公園・駅のような公共の場所に範囲を限定していて、学校・塾のように不特定多数の人が出入りするわけではない場所での盗撮には条例を適用ができない自治体もある。
(以下略)
引用元 : wezzy 2021年1月8日 7時30分配信
格闘家で国会議員の須藤元気氏が盗撮被害に遭った上にその動画がネット上で販売されていたとの事です。男性が被害者になる盗撮であって浴場や脱衣場、トイレ等で隠し撮りした画像や映像も根強い需要があるようですが、こうした著名人が被害に遭うケースは珍しいかもしれません。
須藤氏が訪れる施設として最初から須藤氏を狙っていたものなのか、或いは盗撮した人も須藤氏も偶々訪れていたものなのかわかりませんが、少なくとも盗撮した側は最初から販売目的で盗撮を企てて機材を持ち込んでいたのではないのでしょうか。
本人は上記のコメントのように軽口を叩いていますが、動画サイト側が削除依頼に応じたから良かったものの須藤氏のような著名人だから事が大きくなるリスクを避けて削除依頼に応じたとも思えますので、これが一般人だったら海外に拠点のある動画サイトという事を考えると無視される事もあり得ます。
一般人だったらという点で言えば、須藤氏だから本人が動画サイトで直接知るところにならずともそれを発見した誰かが教えてくれるという事も起きますが一般人だったらそうした事も起きにくいのでそもそも売られている事に気付けないままにもなります。男性であっても他人事ではありませんので銭湯などを利用する場合は頭の隅にでも置いておきたいものです。
なお、この記事で迷惑防止条例の都道府県による違いについて、公共の場所に限定した規定や不特定多数が出入りするわけではない場所では適用できないケースに触れていますが、須藤氏への盗撮は現場が浴場などの「人が衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」と見られ、これは多くの都道府県で規制対象に含まれています。
須藤氏が盗撮された場所が具体的にどこなのかわかりませんが迷惑防止条例違反に該当する可能性は高いと言えます。また、盗撮されているのが須藤氏だと分かるような動画であればリベンジポルノ防止法違反になる可能性もあります。
私事性的画像記録の定義
- 性交又は性交類似行為に係る人の姿態
- 他人が人の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下この号及び次号において同じ。)を触る行為又は人が他人の性器等を触る行為に係る人の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
- 衣服の全部又は一部を着けない人の姿態であって、殊更に人の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの
銭湯と思われる場所で盗撮した裸となると第3号に該当するでしょうか。
削除依頼を出して現在はサイトから消えているとされていますが、実は動画サイトへ販売していた人の情報開示を請求していて刑事事件にしているという事もあり得ます。海外に拠点があるとは言っても日本人が関与しているサイトであれば犯人蔵匿として帰国した際に逮捕される可能性もありますので販売していた人の情報開示にも応じているかもしれません。
著名人であっても盗撮されて動画を売られるという被害に遭う事があるという事ではありますが、著名人だからこそ気付けた事であって一般人だったら気付く事すら無かったかもしれないという点は注意が必要です。
校内で着替える男子生徒を教諭が隠し撮り…銭湯の脱衣場でも男性客盗撮
高知県内の中学校で昨年6月、教諭の男が男子生徒の着替えの様子を盗撮し、動画データを保存していたことが、捜査関係者への取材でわかった。高知地検は男を昨年12月28日に児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)などで起訴した。
男は奈良県香芝市、中学教諭の被告(26)。起訴状などによると被告は昨年6月、校内で着替えていた男子生徒2人をスマートフォンで隠し撮りし、動画をパソコンの外付けハードディスクに保存したとされる。
被告は昨年10月、高知市内のスーパー銭湯の脱衣場で男性客らを盗撮したとして逮捕された。県警の捜査で、中学校での盗撮容疑が浮上した。
引用元 : 読売新聞 2021年1月9日 19時7分配信
スーパー銭湯で男性客を盗撮して捕まっていた中学校の教員が勤務先と見られる中学校でも男子生徒の着替え盗撮をしていた事も発覚したようです。18歳未満である男子中学生の着替えを撮れば児童ポルノとなり、既にその製造について起訴されているとの事です。
以前当サイトで取り上げていた中学校教員による脱衣所盗撮の続報という事になるでしょうか。高知市内の銭湯の脱衣場で男性客を盗撮したという内容や中学校の教員という職業、年齢等を見る限りではおそらく同じ人物ではないかと思われます。記事の最後にあるように先の事件での逮捕後の捜査で中学生の男子生徒への盗撮も発覚したのでしょう。
迷惑防止条例違反までであれば罰金で済んでいたかもしれませんが、中学生の着替え盗撮という児童ポルノの製造が追加されたためか公判請求されていると見られます。男子中学生への盗撮だけならバレなかったかもしれませんが、銭湯まで行って余計な事をした事でより重い罪が発覚してしまった形です。
おそらくは今回の児童ポルノの製造の他に最初の迷惑防止条例違反でも起訴されていると思われますが、既に公判請求されているとなると罰金という見込みはあまり無く、懲役1年から1年6月程度に執行猶予3年といった判決になるのではないでしょうか。