先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。
10代女性のスカートの中を盗撮 津商業高校の駅伝監督を免職処分 三重県
近鉄津駅の構内で女性のスカートの中を盗撮したとして、三重県教育委員会は津商業高校の55歳の男性教諭を28日付けで懲戒免職処分としました。
懲戒免職となったのは、津商業高校の教諭(55)です。
県教育委員会によりますと、元教諭は去年9月と10月に、近鉄津駅西口のエスカレーターで10代の女性のスカートの中をスマートフォンで撮影したとして、12月27日に津簡易裁判所から罰金60万円の略式命令を受けていました。
元教諭は、津商業高校陸上部の顧問を務め、全国高校駅伝に出場するなど三重県を代表する女子駅伝の指導者として知られていました。
(中略)
県教育委員会の廣田教育長は「今年度、教育委員会で不祥事が相次ぎ、児童生徒や保護者をはじめ県民の皆様の信頼を大きく裏切ったことを深くお詫び申し上げます」と話しています。
引用元 : 三重テレビ放送 2019年1月29日 12時50分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
高校教員による盗撮事件として罰金60万円の略式命令が出されたことを先日取り上げましたが、残念ながらその後懲戒免職処分となってしまったようです。
先の記事で触れているように60万円の罰金は三重県における盗撮での迷惑防止条例違反の罰則としては上限を超えているので「去年9月と10月」とされている2件分の罰金と思われますが、懲戒免職が妥当と言えるかどうかは個人的にはやや微妙に感じます。
もちろん被害者や世間の感情としては懲戒免職が当たり前ということもあるでしょうし、高校の教員ながら被害者に女子高生が含まれていた(ただし女子高生への盗撮については起訴猶予)ということを重く見たとも言えます。
また、当初捕まった分の1件のみというわけでもなく盗撮をそれなりに繰り返していた形跡もあるので、当事者間で納得ずくなら懲戒免職は厳しいのではだのと外野が言うべきではないのかもしれません。
しかし、個人的には処分無効の訴えでひっくり返す余地があるようにも思える内容なので、後々揉めて税金が無駄になるようなことが無ければ良いなと感じます。
女性の脚盗撮の川崎市職員を懲戒処分 過去に痴漢で逮捕も
川崎市は29日、盗撮行為をしたとして、建設緑政局の男性技術職員(42)を停職3カ月の懲戒処分とした。男性職員は同日付で依願退職した。
市人事課によると、男性職員は昨年12月21日夕、藤沢市のディスカウントストアで、スマートフォンを使って無断で女性の脚などを動画撮影した、とされる。店員に見つかった後、藤沢署の取り調べを受け、盗撮行為を認めたという。
男性職員は2017年7月、電車内で女性の下半身を触ったとして県迷惑防止条例違反(痴漢)の疑いで現行犯逮捕された。不起訴処分となったが、市は停職1カ月の懲戒処分にしていた。
引用元 : 神奈川新聞 2019年1月29日 18時8分配信
こちらも盗撮事案を起こした公務員に対する懲戒処分を報じたニュースです。最終的には依願退職したようですが、それに至るまでの懲戒処分の内容が本記事1件目とは大きく異なっています。
昨年12月に起こした盗撮事案への懲戒処分としては停職3か月、しかも一昨年に痴漢の疑いで現行犯逮捕された前科があってそのときにも停職1か月の懲戒処分を受けていたようですので少なくとも2回目ということになります。
それでも免職に至らないのは、もちろん個別の事情にもよるところですが、川崎市は大きな自治体ですので前例(懲戒処分された者が起こした処分無効の訴訟等も含めて)が多く懲戒処分の相場感覚があるのかもしれません。
厳罰傾向の世間感情としては甘く見えるかもしれませんが、事件の内容と照らすと個人的にはこちらの方が妥当と感じられるところです。公務員の懲戒処分に関してはやたらめったら厳しくしても、後日処分無効等で揉めて余計な出費を強いられ結局損をするのは納税者です。
なお、この(元)公務員の盗撮事案については撮ったのはスカート内などではなく女性の脚、さらに盗撮行為を認めたという表現に留まっているので刑事事件にはなっていない可能性があります。
一昨年の痴漢の前科があるので今回も刑事事件として逮捕されていたとすれば2回目ということでさすがに免職もあり得たと思いますが、今回も停職に留まっているのは刑事事件になっていない事情などが影響しているのかもしれません。
性犯罪の厳罰化においても同様ですが、個人的にはこうしたバランス感覚が重要だと思っています。
コンビニで女性を盗撮 後をつけスカートの中も 北九州市27歳職員を停職処分 「ほかにも20件やった」
北九州市の男性職員が勤務時間中にコンビニエンスストアなどで女性を盗撮したとして停職の懲戒処分を受けました。
停職5カ月の懲戒処分を受けたのは、北九州市小倉南区役所の保護課に勤務する27歳の男性職員です。
市によりますとこの男性職員は2018年10月、勤務時間中に小倉南区のコンビニでスマートフォンのカメラを使って女性を盗撮し、さらに後をつけてスカートの中を盗撮した疑いで警察に摘発されました。
2018年12月、市に匿名の通報が寄せられ発覚しました。
男性職員は盗撮を認め、「ほかにも20件ほどやった」と話しているということです。
引用元 : テレビ西日本 2019年1月30日 12時15分配信
同様のネタが続きますが、こちらも市役所職員の公務員による盗撮事件を受けて懲戒処分を行ったというニュースです。このケースでも懲戒処分は免職ではなく停職に留まっています。
記事を読む限りではまずコンビニで撮ったのは被害女性の顔や体、脚などでしょうか。さらに後をつけてスカート内を盗撮したとのこと、しかも初めてではなく何度も繰り返していることを認めてもいるので本記事で取り上げてきたケースと比較するとそれなりに悪質と思われます。
また、警察に摘発されたというだけで事件化したのか定かではありませんが、匿名の通報により発覚したということは少なくとも勤務先の市は知らされていなかったと見られます。逮捕されて事件化していてもすぐに釈放されて在宅事件になっていれば職場に知られていなくても不思議ではありません。
それでも免職されずに済んでいるというより、この程度の内容であれば元々停職までが妥当というところなのではないでしょうか。
手口が悪質だったり、常習性が顕著だったり、あるいは教員が勤務先の学校で教え子を狙ったりなどといったことであれば厳しい姿勢で臨むのも致し方無いと感じるところですが、特に教員に対しては盗撮について特段悪質と見られる事情が無くても免職されることが多いような気がしています。
ただでさえブラックな労働環境で議論になる教員なので、もちろん不祥事は本人の責任ではありますが厳しすぎても成り手が減って質が悪くなり、逆に良からぬ目的で教員を目指す輩でも入りやすくなってしまうのではないでしょうか。