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先週の盗撮事件ニュース(5月18日~5月24日)

更新日:

先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。

女性トイレで盗撮 中学校教諭停職1か月/岩手

岩手県教育委員会は18日、飲食店の女性用トイレに侵入して個室内をビデオカメラで録画したとして、20代の中学校男性教諭を停職1か月の懲戒処分としました。男性教諭は18日付けで辞職しました。

懲戒処分となったのは、盛岡教育事務所管内の中学校で社会科を教えていた20代の男性教諭です。県教委によりますと男性教諭は、今年1月24日の午後6時ごろ、盛岡市内の飲食店に客として入店し女性用トイレに侵入。個室内の手洗い場の下に小型ビデオカメラを設置し、中の様子を録画しました。不審に思った店員が警察に通報し行為が発覚しました。

今年3月、盛岡区検が建造物侵入と軽犯罪法違反の罪で男性教諭を略式起訴し、盛岡簡易裁判所が罰金10万円の略式命令を言い渡しました。男性教諭は去年9月から精神的な理由で病休を取っており、「今回以外にも盛岡市内と一関市内の店で合わせて4回同様の行為をした」と話しているということです。

男性教諭からは今年3月に辞職願が出されていて、県教委は18日付けでこれを認めました。
引用元 : IBC岩手放送 2020年5月18日 19時22分配信

中学校の教員によるトイレ盗撮事件です。実際に女性を盗撮したという事件ではなく内容的には盗撮目的でトイレにカメラを仕掛けた盗撮準備行為に当たるようですが迷惑防止条例違反とはなっておらず、これが何故なのかがちょっと謎です。

略式起訴されたのが建造物侵入と軽犯罪法違反とされているので迷惑防止条例違反には当たらないのだろうかと思い確認したところ、岩手県の迷惑防止条例では処罰の対象となる盗撮行為が公共の場所に限られているようでしたが、飲食店のトイレであれば公共の場所と解釈できると思われますので場所の問題で迷惑防止条例違反にならなかったわけではなさそうです。

被疑者が及んだ行為としては「個室内の手洗い場の下に小型ビデオカメラを設置し、中の様子を録画」とされており、これによって盗撮された被害者がいたという表現が無い事から単に盗撮する前にカメラが店員に見つかって発覚していると思われます。

となると盗撮目的でトイレにカメラを仕掛けた盗撮準備行為という事になりますが、岩手県の迷惑防止条例では盗撮準備行為を処罰の対象とする規定がありますのでこれによって迷惑防止条例違反となってもおかしくは無いところ何故か建造物侵入と軽犯罪法違反のみとされています。

岩手県 迷惑防止条例 第8条

何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人を著しく羞恥させ、又は他人に不安を生じさせ、若しくは嫌悪の情を催させる方法で、卑わいな行為であって次に掲げるものをしてはならない。
  1. みだりに他人の胸部、臀(でん)部、下腹部等(以下「胸部等」という。)の身体の一部に触れること(着衣の上からこれらの身体の一部に触れることを含む。)。
  2. みだりに着衣で覆われている他人の下着等(胸部等の身体の一部を含む。以下同じ。)をのぞき見すること。
  3. みだりに、着衣で覆われている他人の下着等を撮影し、若しくは撮影する目的で当該下着等を撮影することができる位置に写真機等を差し出し、又は写真機等を使用して着衣で覆われている他人の身体を透視する方法により、裸体(その一部を含む。)の映像を見、若しくは撮影すること。

トイレに仕掛けているわけですから第3項の「着衣で覆われている他人の下着等を撮影し、若しくは撮影する目的で当該下着等を撮影することができる位置に写真機等を差し出し」には該当しているのではと考えられますが、これには当たらないという事なのでしょうか。

他県の迷惑防止条例では「浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を写真機等を用いて撮影し、撮影する目的で写真機等を向け、又は撮影する目的で写真機等を設置してはならない。」などといった風にトイレ盗撮に関しては規定が別で設けられていたり、下着等ではなく衣服の全部又は一部を着けない状態を盗撮する行為を想定していたりします。

岩手県の迷惑防止条例ではそうした規定は無いので、風呂やトイレなどで衣服を脱いだ状態の人を盗撮する行為やその目的でカメラを向けたり設置したりする行為を処罰できないという理屈なのかもしれませんが、衣服を脱いだ状態になる前に下着等は盗撮できるはずなのでこの事件においても第3項に該当しているのではと考えてしまいます。

しかし実際に建造物侵入と軽犯罪法違反となっており、これは迷惑防止条例違反に問えなかったためにこれらを適用して処罰したという事だと思いますが、こうした点に穴があるとしたら岩手県においても迷惑防止条例の改正が急がれるところとなるかもしれません。

なお、軽犯罪法違反については元々罰則があって無いようなもので、初犯であれば建造物侵入で公判請求される事も無いと思われますので10万円という罰金は建造物侵入での上限という事になり、処分としては妥当なところではないでしょうか。

「5年ぐらい前からやっていた」巡査部長が盗撮容疑 福岡県警が書類送検公表せず

女性のスカートの中を盗撮したとして、福岡県警が県迷惑防止条例違反(盗撮)の疑いで、小倉北署の40代の男性巡査部長を福岡地検に書類送検したことが複数の捜査関係者への取材で分かった。県警は減給10分の1(3カ月)の懲戒処分とし、巡査部長は14日に辞職した。

捜査関係者によると、書類送検容疑は同署地域課所属だった3月、JR西小倉駅(北九州市小倉北区)のホームで女性のスカートの中をスマートフォンで盗撮するなどした疑い。

偶然、現場近くにいた県警関係者が盗撮の様子を目撃し発覚。押収したスマートフォンには盗撮したとみられる100枚以上の写真が残っており、県警は裏付けが取れた数件を立件した。巡査部長は関係者に「5年ぐらい前からやっていた」と容疑を認めたという。

県警監察官室は「公表の基準に該当せず、コメントは控える」としている。
引用元 : 西日本新聞 2020年5月19日 9時23分配信

警察官によるスカート内盗撮事件ですが、書類送検されていた事を公表していなかったとのことでこれは取材により明らかになったようです。被疑者が既に辞職しているとはいえ身内を庇ったようにも見えますが、公表基準に該当していなかったとのことで警察官以外でも盗撮で書類送検という程度の事件なら発表されない事も珍しくないので身内を庇う意識があったのかどうかは何とも言えません。

発覚のきっかけは、被疑者が盗撮している様子をたまたま県警関係者が目撃した事のようです。県警関係者という表現からすると同僚などではないのでしょうか。知り合いや友人レベルの関係性で県警関係者とは言わないでしょうから同僚やその家族等で被疑者と面識のある人だったのかもしれません。

そうした経緯を踏まえると被疑者が盗撮したその場で取り押さえるなどしたのではない可能性もあります。しかしスマホに保存されていた盗撮データを消去する機会は無かったようで、押収されたスマホからはその時以外の盗撮の証拠も出てきて1件だけではなく複数の盗撮行為について立件される事になりました。

懲戒処分としては減給、そして既に依願退職しているとはいえ1件ではないとなると不起訴となるのは難しいかもしれません。複数の盗撮を束ねられても50万円という事は無いと思いますので定番の罰金30万円といったところではないでしょうか。

兵庫・太子町職員の男を逮捕 役場の女子トイレで盗撮した疑い

兵庫県太子町の職員の男が町役場の女子トイレに侵入し、盗撮をした疑いで逮捕されました。

迷惑防止条例違反などの疑いで逮捕されたのは、兵庫県太子町の上下水道事業所に勤務する容疑者(28)です。

容疑者は今月3日、太子町役場の女子トイレに侵入し、個室の中にいた役場の職員の女性を、スマートフォンで盗撮した疑いが持たれいています。女性が「トイレで気配を感じた」と上司に相談したことで発覚し、警察に通報したということです。

警察が押収した容疑者のスマートフォンには、犯行時に撮影したとみられる画像が残っていて、容疑者は「間違いありません」と容疑を認めています。

警察は余罪も含めて調べる方針です。太子町は「事実関係を確認して厳正に処分する」としています。
引用元 : 関西テレビ 2020年5月21日 0時41分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。

町役場に勤める公務員によるトイレ盗撮事件です。こちらは盗撮された被害者がいるのかどうか、盗撮準備行為に留まるのかどうかなどの議論の余地無く実際に盗撮行為にまで及んでいて逮捕されている事件のようです。「迷惑防止条例違反などの疑い」とされていますのでもしかすると迷惑防止条例違反以外に建造物侵入なども加えられているのかもしれません。

スマホでトイレ盗撮に及んだとのことですが、被害者の女性が「トイレで気配を感じた」として盗撮された事に気付いていたと見られますのでおそらく隣の個室から仕切りの上か下かにスマホを差し入れて盗撮したのだろうと思われます。しかし、その場で大声を出すなどせずに気付いていない素振りをしたのか、又は確信が持てていなかったのかもしれません。

警察が押収した被疑者のスマホにその時の盗撮データが残っていたようで、これはその場で取り押さえられてデータを消去する余裕も無かったのか、被疑者本人はバレずにうまくやったと思ってスマホに保存したままになっていたかのいずれかと考えられます。

盗撮に及んだのが今月3日とされているので今回逮捕されるまでに少し日が空いており、事件当日に現場で取り押さえられたケースではなくいわゆる後日逮捕と見られますのでおそらくは後者ではないでしょうか。気配を感じたという表現からもやはり盗撮されたという確信を持っていたわけではないようで現場で騒ぎになったのではないような印象を受けます。

得物のスマホに自分が盗撮した証拠を保存したままにしていたのは何とも間抜けな話で、スマホ君らしい末路とも言えます。

兵庫県の迷惑防止条例ではトイレでの盗撮行為や盗撮準備行為への規制が明記されていますので、盗撮目的でスマホを向けるだけでもアウトになるのは勿論、実際に盗撮するのは紛う方なきアウトです。

兵庫県 迷惑防止条例 第3条の2

何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。
  1. 人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動
  2. 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置する行為
第2項
何人も、集会所、事業所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所(公共の場所を除く。)又は乗物(公共の乗物を除く。)において、次に掲げる行為をしてはならない。
  1. 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を写真機等を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向ける行為
  2. 前項第2号に掲げる行為
第3項
何人も、正当な理由がないのに、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を写真機等を用いて撮影し、撮影する目的で写真機等を向け、又は撮影する目的で写真機等を設置してはならない。

兵庫県では丁度先月にも市職員による職場の女子トイレにおける盗撮事件があり、スマホで盗撮するという手口も共通していて量刑の参考になりそうです。この事件も先の記事と類似のケースと思われますので同様に30万円程度の罰金が科されるのではないでしょうか。

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