先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。
カメラ2台でトイレの女児盗撮、動画は646本 元早実教員に1年6月求刑
群馬県渋川市の農園トイレに侵入し女児を盗撮したとして、建造物侵入と児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)の罪に問われた元早稲田実業初等部(東京都国分寺市)教員(32)=東京都東大和市=の初公判が18日、前橋地裁(中野哲美裁判官)で開かれ、検察側は懲役1年6月を求刑。即日結審した。
検察側冒頭陳述などによると、起訴された4人の女児も含め、2月から5月にかけて192人を撮影、うち27人が18歳未満で動画は646本に上る。
カメラ2台を用意し1台を女子トイレ個室内の汚物入れに隠し、男子トイレで女性の入りを確認後、リモコンで録画を始め、残る1台でトイレの隙間から盗撮していた。他の場所でも盗撮していたという。
検察側は「悪質で酌量の余地はない」。教員であったことも「社会への影響は甚大」と指摘した。弁護側は最終弁論で農園側と示談が成立した点などを主張。社会的制裁を受け「真摯に反省している」として執行猶予付き判決を求めた。判決公判は20日。
被告は4月に採用され3年生の担任だった。逮捕後の5月31日に退職している。
引用元 : 産経新聞 2017年7月18日 22時23分配信
※被告人の氏名部分を修正しております。
逮捕時の報道では盗撮目的で女子トイレに侵入したという建造物侵入だけの事件でしたが、捜査を進めていく中で大量の余罪が発覚し、よりによって児童ポルノの製造にも該当していたというパターンのようです。
初期の報道から女児を狙っていたのではという疑いはあったようで冒頭陳述からもそのことは窺えるものの、盗撮被害を受けた192人の中で18歳未満の女性は27人なので全体の2割以下となると未成年、特に女児を狙っていたというほどの偏りは無いように感じられます。「男子トイレで女性の入りを確認後、リモコンで録画を始め」とあることからも、女児だけを狙い撃ちしていたわけではないようです。
また、群馬県の迷惑防止条例違反にも該当すると見られますが、迷惑防止条例違反では起訴されていません。より罰則の重い児童ポルノ禁止法違反が成立しているためということでしょうか。
群馬県 迷惑防止条例 第2条の3
- 人の身体に、衣服その他の身に付ける物(以下「衣服等」という。)の上から、又は直接、触れること。
- 衣服等で覆われている人の下着若しくは身体をのぞき見し、若しくは撮影し、又はこれらの行為をしようとして、鏡、写真機等を衣服等の下に差し出し、置くなどすること。
- 写真機等を使用して透視する方法により、衣服等で覆われている人の下着又は身体の映像を見、又は撮影すること。
- 前各号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
何人も、正当な理由がないのに、住居、浴場、更衣場、便所その他通常人が衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所において当該状態でいる人の姿態を、のぞき見し、又は撮影してはならない。
なお、この事件は同じ週に判決公判も行われており、以下のように判決についてもすでに報道されています。
渋川市内の農園のトイレに侵入し女児を盗撮したとして、建造物侵入と児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)の罪に問われた東京都東大和市の元早稲田実業初等部教員(32)の判決公判が20日、前橋地裁で開かれ、中野哲美裁判官は懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)を言い渡した。
判決理由で中野裁判官は、女子トイレ内の汚物入れに穴をあけ、隠したカメラで盗撮したのは「巧妙で手慣れている」とした。また、盗撮に4回成功し、他の場所でも犯行に及んでいることから「刑事責任は重い」と非難。解雇されるなど社会的制裁を受けているものの、犯行当時は教員の立場にあり、十分に罪を犯してはならないと認識していたとして「かえって深刻だ」とした。
引用元 : 産経新聞 2017年7月21日 7時55分配信
※被告人の氏名部分を修正しております。
手口が巧妙で悪質、犯行当時教員の立場にあったとしながらも、前科前歴が無い初犯の被告人と見られますので懲役1年6月、執行猶予3年というのは児童ポルノ禁止法違反事件としてはよく見られる普通の判決になっています。
行為だけ見れば単なるトイレ盗撮の事件で、罰金で済んでいる同種の事例も数多くありますが、女児が被写体になるトイレ盗撮では児童ポルノになりますので一気に罪が重くなってしまった事件となりました。
盗撮容疑者、高1男子が1キロ走って「逮捕」 同級生の叫び聞き
女子高生のスカートの中を盗撮しようとしたとして、守山署などは十八日、県迷惑行為等防止条例違反(写真機等を人に向ける行為)の疑いで、湖南市サイドタウン三、アルバイト(34)を現行犯逮捕した。女子高生の叫び声を聞いた同級生の男子生徒(15)が約一キロ追跡し、容疑者を取り押さえた。
逮捕容疑では、同日午前十一時四十五分ごろ、野洲市内の路上で、下校途中だった十六歳と十五歳の高校一年の女子生徒二人に背後から近づき、追い抜きざまにスカートの下にスマートフォンを差し入れたとされる。容疑を認めている。
署によると、女子生徒らの「盗撮された。捕まえて」との叫び声に、たまたま通りかかった男子生徒が気付き、逃走する容疑者を走って追跡。取り押さえた後、女子生徒の110番で急行した署員に引き渡したという。署幹部は「長い距離を追い掛けるのは大変なことで、大変素晴らしい」と感謝していた。
引用元 : 中日新聞 2017年7月19日配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
「背後から近づき、追い抜きざまにスカートの下にスマートフォンを差し入れた」とされており、どれくらいの速さで追い抜いたのかわかりませんが正直こんなやり方ではまともに撮れていないだろうと感じてしまいます。
おそらくブレブレで何も見えないでしょうし、ブレないようにゆっくりやればどこから見てもバレバレですし、もはや盗撮して下着等を見たいというよりもバレたときの被害者の反応などが目当てでやっていたのではと思ってしまうほどです。程度がお察しのスマホ直撮りといえどもまさかこれで満足のいく画像、映像を撮り続けられると考える人は普通いないでしょう。
この事件の現場は路上とのことなので、これまでも同様の手口で盗撮を行ってうまく逃げ去っていたのかもしれませんが、この日は被害者に叫ばれた上に運悪く通りかかった男子生徒に追いかけられて御用となりました。
男子生徒を正義君などと揶揄する向きもあるようですが、同級生を盗撮した犯人を捕まえたとなると場合によってはスクールカーストにおけるポジションを飛躍的に上げられるチャンスでもあります。
被害者も捕まえた人も社会人となると話は違ってきますが、まだ狭い世界で過ごしている高校生ともなると当分ヒーロー扱いされることも珍しくありません。そうした期待があったかどうかはともかく、追いかけてくるのが15歳の男子高校生では34歳の被疑者が逃げ切るのは難しかったようです。
スマホによる稚拙な盗撮で捕まってしまった被疑者とは対照的に、この男子生徒は勲章を得て幸多い夏休みを過ごすのかもしれません。
控訴審保釈中にまた盗撮の常習犯に実刑判決
盗撮事件で実刑判決を受けて控訴し、保釈中にまた盗撮の現行犯で逮捕された男に、裁判所が再び実刑を言い渡しました。
判決によりますと、京都市西京区の無職被告(51)は去年9月、大阪市北区の大型商業施設内の書店で、40代の女性ら2人のスカートの中にスマートフォンを差し入れ盗撮しました。被告は過去に4度、盗撮事件で検挙。去年2月の梅田地下街の犯行では懲役10ヵ月の実刑判決を受け、今回の事件は、その控訴審の保釈中の犯行でした。被告はこれまで、「過去に女性に裏切られ、盗撮に成功すると征服感が得られた」と話す一方、専門医からはアルコール依存症や性嗜好障害の診断を受けています。19日の判決で大阪地裁は「常習性の程度が著しい」と指摘し、懲役8ヵ月の実刑を言い渡しました。被告はすでに前回の刑で服役中です。
引用元 : 朝日放送 2017年7月20日 1時37分配信
※被告人の氏名部分を修正しております。
盗撮以外でも保釈中に再び犯行に及ぶ事例はたまに見られますが、この事件の被告人はこれまでに盗撮で4回捕まっているようなので常習的というよりはほとんどライフワークのようになっているのではないでしょうか。これまでも、そして今回も発覚した分以外に多数繰り返しているはずです。
こちらの記事でも触れているように盗撮で捕まるのが4回目、5回目ともなればもはや罰金では済まされず、公判請求されて実刑ということになります。この事件の被告人もその例に倣っていますが、実刑判決後に控訴して保釈を請求、シャバに戻ってすぐにまた盗撮で捕まるというほどになるとなかなか聞きません。
保釈中の事件は現行犯逮捕のようですし、正直盗撮に関する素質があるとは思えないのでキッパリ足を洗った方が良いように感じますが、性嗜好障害の診断を受けているということから自らの意思では止められない依存症といった主張のようです。
本当に依存の症状があるかどうかは別として、こうした診断を行う医療機関等が過去に4回も5回も盗撮で捕まっている人に対して性嗜好障害ではないと診断することはあまりありません。
全てがそうだとは言いませんが、性的な問題を取り扱えると謳う医療機関等はまだ数が多くないこともあり、毎日朝から晩まで行われるデイケア等に通うことを条件に支給される生活保護費を人質にして患者を貧困ビジネスのごとく囲い込むクリニックもあります。
そうしたクリニックにとっては生活保護受給者の医療費という打ち出の小槌が得られることになりますので、身体的なケガや障害等と違って見た目ではわからないこともあってとりあえず性嗜好障害だと診断する方がお得ということになります。
こうした実態を裁判所が把握しているわけではないでしょうが、性嗜好障害等の診断が量刑に影響することは皆無に等しいとされている一方で、こうした性嗜好障害等の診断に言及する例が増えていることからとりあえず言っておかないと損という状況も見え始めており、このままでは性嗜好障害等が鬱などと同じように理解が進みにくいものになりかねないと考えています。
女子中生スカート内盗撮容疑 小林徳島市議 略式起訴
徳島区検は19日、徳島駅で女子中学生2人の下半身を盗撮したとして県迷惑行為防止条例違反の疑いで書類送検されていた徳島市議(39)=同市昭和町3=を同罪で徳島簡裁に略式起訴した。
起訴状などによると、5月18、19両日の午後5時34分ごろ、徳島駅のコンコースに座っていた県内の女子中学生のスカート内の太ももをスマートフォンで撮影したとしている。
市議は盗撮の疑いが浮上したことを受けて6月26日に記者会見し「故意ではなかった」などと釈明していた。区検は認否について「コメントしない」とし、市議の弁護士の事務所は「担当者が不在でコメントできない」とした。
市議会の宮内春雄議長は「本人から議員辞職願は出ていない。(進退は)本人が考えて決めることなので(本人の決断を)待つしかない」と話した。
引用元 : 徳島新聞 2017年7月20日 9時58分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
これまでに何度か取り上げている社民党所属の徳島市議による盗撮事件の記事です。故意ではないと主張したまま前回の記事までに書類送検されていましたが、検察官もクロと判断したのか、あえなく略式起訴ということになったようです。
肝心の認否については明らかにされなかったので未必的なものも含めて故意だったのかそうでないのかは藪の中になりそうですが、当初の報道では「未成年の女性の下着が写った写真が2枚含まれていた」とされていたものが「スカートの中を盗撮」「下半身を盗撮」「スカート内の太ももをスマートフォンで撮影」と変わってきているのが気になる点です。
おそらくですが、スカート内の下着の盗撮に限定すると故意かどうかも含めて立証が困難になると見て、その手前の太ももの撮影に焦点を当てて未必的な意図を認めさせた、といったところでしょうか。
徳島県の迷惑防止条例では「衣服等で覆われている下着又は身体」となっているので、本来スカートで覆われている(はずが被害者の女子中学生らが座っていたことで見えていた)太ももを撮影しても成立することになります。
徳島県 迷惑行為防止条例 第4条
- 公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗つている人に対し、その性的しゆう恥心を著しく害し、又はその人に不安を覚えさせるような方法で、衣服等の上から又は直接身体に触れること。
- 公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗つている人に対し、その性的しゆう恥心を著しく害し、又はその人に不安を覚えさせるような方法で、衣服等で覆われている下着又は身体をのぞき見し、又は撮影すること。
- 公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗つている人に対し、写真機等を使用して衣服等を透かして見る方法により、その人の下着又は身体を見、又は撮影すること。
- 公衆が利用することができる浴場、便所、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所にいる人を、正当な理由がないのに、撮影すること。
- 前各号に掲げるもののほか、公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗つている人に対し、その性的しゆう恥心を著しく害し、又はその人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をすること。
この事件についてはすでに罰金の略式命令が出ており、被疑者の市議は異議申し立てせずに罰金を納付する予定のようです。また、辞職する予定も無いとしていましたが、これを受けてか「一身上の都合」ということで議員を辞職しています。
女子中学生のスカート内をスマートフォンで撮影したとして、徳島県迷惑行為防止条例違反の罪で徳島簡裁に略式起訴されていた、徳島市の市議(39)が21日、罰金40万円の略式命令を受け、議員を辞職した。
弁護士によると、異議は申し立てず、来週罰金を納付する予定。
市議会事務局によると、市議は21日午前、所属する会派の会長を通じて議長宛てに辞職願を提出し許可された。理由は「一身上の都合」だという。
起訴状などによると、5月18日と19日の夕方、JR徳島駅の改札近くで、それぞれ別の女子中学生のスカート内をスマートフォンで撮影したとしている。6月の記者会見では盗撮目的を否定していた。
引用元 : 京都新聞 2017年7月21日 19時6分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
今後は何をやっても「女子中学生のスカート内盗撮」というレッテルが付いて回ることになりますので、少なくとも政治の表舞台での再起は難しそうに感じます。