盗撮などの性犯罪での逮捕やその前後に関する情報を配信してまいります。

盗撮で逮捕される日

ニュース考察

先週の盗撮事件ニュース(8月10日~8月16日)

更新日:

先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。

靴にスマホ、コンビニで女性のスカート内盗撮した疑い 男逮捕

靴の中にスマートフォンを仕込み、コンビニで女性のスカート内を盗撮したとして、兵庫県警網干署は11日、県迷惑防止条例違反の疑いで、加古川市の会社員の男(41)を逮捕した。

網干署によると、会計中や商品を選んでいる女性の後ろに男が立ち、脚の間に靴を伸ばす姿が防犯カメラに写っていたという。

逮捕容疑は6月17日朝、姫路市内のコンビニで、女性2人のスカート内にスマートフォンを差し入れた疑い。男は網干署の調べに動画を撮影したことを認め「画像は削除した」と説明しているという。
引用元 : 神戸新聞 2020年8月11日 20時9分配信

いわゆる靴カメ盗撮と思いきや仕込んでいたのは小型カメラ等ではなくスマホだったようです。小さめのスマホだとしても幅も長さもそれなりにありますし靴に仕込んでも歩きづらそうで変な動きになりそうにしか思えないのですが、スマホを靴やサンダルに仕込んで盗撮して捕まる事件は無くならないようです。

盗撮に及んだ日から逮捕までに約2か月経っている後日逮捕のケースですが、普通誰かが気付かないと事件になりませんので被害者本人かコンビニ店員が気付いたのでしょうか。被害者が気付いたものの問い詰める前に逃げられたとか、店員が不審に感じて防犯カメラをチェックしたら盗撮する姿が映っていたとか、そういう事かもしれません。

その後被疑者特定に約2か月程かかって今回の逮捕に至ったのかと思われますが、被疑者は盗撮行為そのものは認めているもののデータは削除していたとの事です。これもやはり、現場で本人か第三者にバレた事を本人が知っていて事件になる事を恐れて削除していたという事なのではないでしょうか。

そうなると逮捕するまでは実際に撮っていたのかどうか確認できませんので容疑としては盗撮準備行為の疑いという事になりますが、兵庫県の迷惑防止条例では盗撮準備行為を処罰の対象とする規定があり、記事の中でも逮捕容疑はスカート内にスマホを差し入れた疑いとされています。

兵庫県 迷惑防止条例 第3条の2

何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。
  1. 人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動
  2. 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置する行為
第2項
何人も、集会所、事業所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所(公共の場所を除く。)又は乗物(公共の乗物を除く。)において、次に掲げる行為をしてはならない。
  1. 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を写真機等を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向ける行為
  2. 前項第2号に掲げる行為
第3項
何人も、正当な理由がないのに、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を写真機等を用いて撮影し、撮影する目的で写真機等を向け、又は撮影する目的で写真機等を設置してはならない。

コンビニ店内は公共の場所ですのでこの事件では第1項第2号に該当していると考えられます。

被疑者が盗撮したとは認めているもののそれを裏付ける証拠になるはずだったデータが既に削除されており、被疑者の供述以外の証拠が無い状況と思われますので盗撮行為とするか、盗撮準備行為に留めておくかは微妙なところです。

余罪や前科が無ければ罰金は厳しくても30万円程度と思われますが、初犯で盗撮準備行為に留まり、謝罪や反省の態度、或いは被害者との示談ができれば不起訴という可能性も十分にあるのではないでしょうか。

盗撮目的で同級生宅侵入 容疑で高1男子生徒逮捕 奈良県警

盗撮目的で同級生宅の敷地に侵入したとして、奈良県警奈良署は12日、住居侵入の疑いで、県内の公立高校1年の男子生徒(16)=奈良市=を逮捕した。

「入浴中をのぞいたりスマホで動画撮影したりする目的で入った」と容疑を認めた上で、「去年から今年にかけ、同級生の女の子の家の敷地内に10回近く入った」と供述している。

逮捕容疑は6月26日午後8時半ごろ、浴室を盗撮する目的で、同市内のパート従業員の女性(43)方の敷地に侵入したとしている。女性の娘と男子生徒は中学時代の同級生という。

同署によると、他の2人の同級生から昨年5月と今年7月、男子生徒が自宅敷地内に侵入したとする被害届と被害相談があった。同署が先月、男子生徒の自宅を家宅捜索し、スマートフォンを調べたところ、今回の被害者宅の浴室を撮影した動画が見つかったという。

自宅からは他に女性用下着2枚も見つかっており、男子生徒は「ベランダに干してあったパンツを盗んだ」と話している。
引用元 : 産経新聞 2020年8月13日 0時5分配信

男子高校生による盗撮目的での侵入事件です。侵入と言っても建物の中ではなく敷地内のようですが、風呂盗撮する目的で立ち入り、スマホから風呂を盗撮した動画が見つかったとの事なので実際に盗撮にも及んでいたようです。

パート従業員の女性方の敷地に侵入したとされているところ、その女性の娘さんと逮捕された男子高校生が中学時代の同級生だったとの事ですので娘さんを狙ったのでしょう。中学時代から想いを募らせていたのか、或いは知り合いの中にあって被害者宅が盗撮できる条件が揃っていて偶々狙われたのか…。

「ベランダに干してあったパンツを盗んだ」という事で男子高校生宅から女性用下着も見つかっており、これが娘さんの物なのかどうか断定できませんが、捜査のきっかけとなった被害届と被害相談が他の2人の同級生からとされていてこれがヒントになるかもしれません。

この被害届と被害相談は男子高校生が自宅敷地内に侵入したとする内容で、これは今回逮捕された住居侵入とは別の家と思われます。単にその時にバレたのか、男子高校生が気付かないまま誰かに見られていたのか、詳しいところはわかりませんが「他の2人の同級生」が知るところとなって警察へ相談したのでしょう。

それを受けて警察が家宅捜索したところ男子高校生のスマホから風呂盗撮の動画が見つかり今回の逮捕に至ったと思われますが、これらの事から少なくとも3人の同級生を狙っていたと推測されますので自宅から見つかった女性用下着が今回の事件で侵入された女性宅の娘さんの物とは限らないのではと思われます。

おそらく同級生の中でも可愛いと思っていた子などを複数狙っていて風呂盗撮や下着泥棒などを企てていたのではないでしょうか。同級生であれば自宅なども把握していたのでしょうが、それは相手からしても顔を見ればどこの誰なのか分かるという事にもなります。

少年事件ですので住居侵入だけなら不処分かせいぜい保護観察処分で済むと思われますが、焦点は他にも住居侵入を繰り返していたと見られる事や下着泥棒の件、そして風呂盗撮が児童ポルノの盗撮製造に当たるかどうか、といったところでしょうか。勿論それぞれ示談する事で寛大な処分となる事はあり得ますが、全て事件化されると被害者が複数出てくるので全てで示談するというのはなかなか難しい事です。

実際に示談の交渉等をするのは親御さん同士でしょうが、複数の家庭の中から1つでも強硬な姿勢が出ると皆が足並みを揃えるという事もありますので全て示談をまとめるというのはそれなりの困難が伴います。流石にこれらの内容で少年院送致や検察官送致は無いかなと感じますが、最終的に保護観察処分で済むとしてもその手前で少年鑑別所送致という事はあり得るかもしれません。

専用カメラ用意、女子トイレを13年頃から盗撮…元県職員に有罪判決

和歌山県庁の女子トイレで女性を盗撮したとして、建造物侵入罪と県迷惑防止条例違反に問われた元県秘書課主査の被告の男(38)(懲戒免職)の判決公判が13日、地裁であり、並河浩二裁判官は懲役1年、執行猶予3年(求刑・懲役1年)の判決を言い渡した。

判決によると、男は3月25、28両日、県庁の女子トイレの個室に小型カメラを設置して女性2人を撮影した。

並河裁判官は、男が2013年頃から常習的に盗撮を繰り返しており、犯行も盗撮用の小型カメラを用意するなど、「巧妙で悪質」と指摘。動機は、仕事のストレス発散にあったとして、「酌量すべきものはない」と説明した。一方、懲戒免職処分など社会的制裁を受けているなどとして、執行猶予とした。
引用元 : 読売新聞 2020年8月15日 9時27分配信

和歌山県の元職員によるトイレ盗撮事件の続報です。先月の記事で取り上げたのは初公判でしたが、判決が出たようでやはり懲役1年に執行猶予3年という事になりました。

これまでに前科の有無に触れられておらず、前科が無い初犯としたら公判請求された上で執行猶予付きの懲役刑というのは随分厳しいと感じるところですが、今回の記事でも2013年頃から盗撮を繰り返していたという点が強調され前回の記事では5万点を超える大量の盗撮データが見つかっているとの事からやはり常習盗撮として裁かれたのではと思われます。

7年前から常習的に繰り返していたのであれば盗撮用のカメラを用意していた事などは簡単に予想される事なので驚きはありませんが、初犯(と思われる)でも常習盗撮となると一気にここまで来る可能性があるというのは重要な点です。

同じように常習かどうかで罰条が変わる罪としては窃盗が挙げられ(常習累犯窃盗)、これは「盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律」という法律で規定されている罪ですが、過去10年間に窃盗で3回以上の懲役刑を受けているなどの基準があり、単に一度捕まった時に余罪多数というだけではこれに該当しません。

一方常習盗撮については、各都道府県の迷惑防止条例で常習として盗撮を行った場合などとして規定されているだけで前科の件数や期間等の数字の基準は無く、初めて捕まった場合でも常習と判断されればこれが適用され得るという事になります。

国の法律で定められている罪と各都道府県の条例で定められている罪という違いはありますが、これだけの余罪がある状況だと常習盗撮を適用する事は比較的ハードルが低いと言えますので最初は罰金などと高を括っていると痛い目に遭う場合もあるでしょう。

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