先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。
トイレで盗撮した元教師が罰金40万円・次女の顔を殴りけがをさせた自衛官不起訴【佐賀県】
トイレに小型カメラを設置して盗撮したなどとして懲戒免職となっていた40代の元教師の男が、罰金40万円の略式命令を受けていたことがわかりました。
県迷惑行為防止条例違反などの罪で略式命令を受けたのは元高校教師の40代の男です。男は今年6月、県内の公共施設の女子トイレに侵入し、小型カメラを設置して盗撮したとして鳥栖区検が略式起訴し今月8日、鳥栖簡易裁判所から罰金40万円の略式命令を受けたということです。
男は、佐賀市内の飲食店の男女兼用トイレに小型カメラを設置し10人を盗撮したとして逮捕・送検されていましたが、これについて鳥栖区検は不起訴としました。
(以下略)
引用元 : サガテレビ 2019年11月26日 18時0分配信
以前の記事で取り上げていた教員によるトイレ盗撮事件の続報で、罰金の略式命令ということで決着していたようです。なお、先の記事の時点では肩書は教諭、県教委も事実関係を把握して厳正に対処するとコメントしていたので懲戒処分はまだだったようですが、この記事によれば既に懲戒免職になっているとのことです。
当初の逮捕容疑だった行為は飲食店トイレにカメラを設置して客を含む男女10人を盗撮したというものでしたが、それについては不起訴になったようで別件のトイレ盗撮で略式起訴されています。おそらく先の事件の捜査の中で余罪として発覚したのでしょう。
客を含む男女10人という表現だったので飲食店従業員も被害者に含まれていたのではないかと考えていましたが、結局いずれも飲食店利用客で特定が困難だったのかもしれません。代わりに、カメラの記録媒体や自宅のPC等に保存されていた盗撮データから公共施設女子トイレの盗撮行為を裏付けて立件したものと思われます。
罰金額については40万円とスカート内盗撮で定番の30万円より微妙に高くなっています。不起訴にはなっているものの被害者が10人いる盗撮事件を起こした上で余罪も出てきていることから窺われる常習性が加味されているのかもしれませんが、やはりトイレ盗撮は悪質ということで今後30万円では済まされなくなってくるのではないでしょうか。
執行猶予中の26歳元警察官を再逮捕…住宅の敷地に侵入し入浴中の女性を盗撮 携帯から多数の“動画”
執行猶予中に住居侵入の疑いで逮捕された愛知県警の元警察官。別の住宅の敷地内に侵入し入浴中の女性を携帯電話で盗撮したとして再逮捕です。
再逮捕されたのは、名古屋市西区に住む愛知県警の元巡査(26)で、10月20日夜、西区内の住宅の敷地に侵入し入浴中の女性(29)を携帯電話で盗撮した疑いが持たれています。
警察によりますと、容疑者は警察官だった3年前、知人女性(当時22)への強制わいせつ致傷などの罪で有罪判決を受け、執行猶予中の11月6日、西区内の別の住宅の敷地に侵入したとして逮捕されていました。
警察が押収した携帯電話からは女性を盗撮したとみられる動画などが多数見つかったということで、調べに対し容疑者は容疑を認めています。
引用元 : 東海テレビ 2019年11月26日 18時1分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
元警察官による住居侵入と風呂盗撮の事件です。先に別の住居侵入事件で逮捕されており、その際に押収した携帯電話から盗撮データが見つかったことで今回の風呂盗撮が発覚したようです。
また、被疑者には強制わいせつ致傷の前科があったようで、3年前に判決を受けていて執行猶予中だったとされています。強制わいせつ致傷となると初犯で実刑でも不思議ではない罪ですが、当時の報道によると被害者との示談が成立していたようでその点が汲まれて執行猶予が付いたのだろうと思われます。
検察側は論告で、「性欲を満たし、逃げおおせることで達成感を味わいたいという身勝手な動機で犯行に及んだ」と指摘。「2013年ごろから入浴中ののぞきや盗撮を繰り返しており、常習的犯行」と述べ、ニット帽や軍手などを用意しており「計画的で手口は巧妙だ」と訴えた。
弁護側は「重大な強制わいせつ致傷事件より比較的軽微だ」と指摘。被害者と示談も成立し、「再犯の可能性はない」と訴えた。
起訴状によると、被告は今年1月31日未明、わいせつ目的で愛知県内の住宅に侵入し、寝ていた当時20代の知人女性の口をふさぎ胸を触るなどし、口に軽いけがを負わせたとされる。また、昨年3月に高校時代の別の知人宅から現金や下着を盗んだとされる。
引用元 : 朝日新聞 2016年7月20日配信
※被告人の氏名部分を修正しております。
強制わいせつと盗撮というのが繋がりにくいように感じましたが、覗きや盗撮については元々そうした性的嗜好があったことが窺われますので強制わいせつについては被害者が知人女性ということもあってややイレギュラーな行為だったのかもしれません。強制わいせつ致傷で執行猶予中という点のインパクトが大きいですが、今回の盗撮の方が本来の性的嗜好なのではないでしょうか。
なお、判決では懲役3年に保護観察付きの執行猶予5年だったようですので、今回の事件で公判請求されれば多少引き延ばしたとしても執行猶予が満了することは無く実刑判決で前回の執行猶予が取り消される見込みがあります。従って被疑者としては今回の事件はどうにか罰金で済ませたいところでしょう。
迷惑防止条例違反と住居侵入、それに加えて強制わいせつ致傷の前科があって執行猶予中、さらに前回の公判で覗きや盗撮に関する常習性や計画性に触れられてもいるので甘い見通しは持てない状況でしょう。前科が無いなら今回の一連の事件では罰金で終わっていたでしょうが、正直今回は刑務所へ行く覚悟をしておいた方が良いと思われます。
ただ、判決が確定している強制わいせつ致傷と今回の事件は性格的に異なるとも言えるので可能性がゼロではないとも思えます。もし罰金で済めば50万円程度、公判請求されたら再度執行猶予が付くことはまず無いでしょうから実刑で1年前後の懲役といったところではないかと思われ、後者の場合は前回の懲役3年も加わって服役することになります。
空自男女逮捕、2等空曹が空士長に命じ女子浴室盗撮
岐阜県各務原市の航空自衛隊岐阜基地内の、隊舎の女子浴室に盗撮目的で侵入したとして、岐阜県警中署は27日、建造物侵入の疑いで同基地所属の2等空曹(35)を再逮捕し、空士長(24)を逮捕した。同署は認否を明らかにしていない。
2人の逮捕容疑は、17年10月ころから18年3月26日ころまでの間に、共謀して女子浴室に盗撮目的で複数回、侵入した疑い。
岐阜・中署によると、2等空曹は10月23日深夜、岐阜市内の自宅とは別のアパートの共用廊下や外階段に侵入し、部屋のドアをたたくなどして、同24日に邸宅侵入の疑いで逮捕、起訴された。その取り調べの過程で、2等空曹のスマートフォンの中から、女子浴室の脱衣所で撮られたとみられる、服を脱いでいる女性などが写った画像が保存されていることが発覚。取り調べの中で空士長が浮上し、逮捕に至った。同署は、2人が共謀した上で、2等空曹が女子浴場に入ることができる空士長に盗撮させたと見て、犯行の経緯などを調べている。
航空自衛隊岐阜基地司令の上境賢己空将補は「隊員が、このような事件を起こし、逮捕されたこと、また逮捕にいたる事案が連続して発生したのはまことに遺憾。厳正に受け止め、隊員指導を徹底し再発防止に万全を期したい」とコメントした。両容疑者の関係について、関係者は「職場の同僚ということ以上は、プライベートに関する問題ですので差し控える」とした。
引用元 : 日刊スポーツ 2019年11月27日 19時44分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
自衛官による盗撮目的での建造物侵入事件です。基地内の隊舎浴室に侵入したという点や男性自衛官と女性自衛官が共謀して犯行に及んだと思われる点など普通の盗撮事件ではあまり見られない特殊な背景があるようです。
一昨年の10月頃から昨年の3月26日頃までという時期については男性自衛官のスマホに保存されていた盗撮データの作成日時等から割り出したものと思われますが、おそらくその盗撮データが男性では撮影でき得ないものだったので女子浴場に入れる女性自衛官も共犯者として逮捕されたものと見られます。
2人が交際関係にあったのかどうか、どういった関係性で男性が女性に盗撮させたのかなどは明らかにされていませんが、2人が共謀した上で女性自衛官が隊舎の脱衣所で盗撮したという証拠となるやり取りの記録などもあったのだろうと思われます。
女性の着替えなどを盗撮しようというのは男性側の意向でしょうが、彼氏からの依頼、又は上官からの命令だったとしても女性がこうした違法行為に手を貸すだろうかという疑問もあり、盗撮させた経緯については気になるところです。女性自衛官の加担が積極的なものだったのか消極的なものだったのかによっても違ってきますが、同僚女性間の人間関係に起因する理由も考えられるでしょうか。
なお、男性自衛官の方についてはこれより前に邸宅侵入の疑いで逮捕されており、この事件はその捜査の過程で発覚したもののようです。邸宅侵入という罪はあまり見られませんが、集合住宅の共用部分などへの立ち入りに対して適用されるもので、住居侵入や建造物侵入と同じく罰条は刑法第130条、要は正当な理由無く立ち入った場所がどこなのかによって呼び名が変わるだけでいずれも同じ罪です。
刑法 第130条
男性自衛官はこれにより既に起訴されていますが、前科前歴でも無ければこれだけで起訴されることはあまり考えられない罪です。曲がりなりにも自衛官ですので邸宅侵入のみで起訴され得る程の前科があったとも考えにくく、今回新たに発覚した盗撮目的での女子浴室侵入の共犯としての事件が先の事件の起訴前にわかっていて2つを合わせるつもりだとしても公判請求する程のものだろうかという疑問もあります。
一方、記事によると認否を明らかにしていないとされており、もしかすると否認していて略式起訴からの罰金という落としどころが選択できずに公判請求に至ったという可能性もあるかもしれません。他に考えられるのは上官命令による盗撮指示だったという場合で、そうした命令を特に悪質と判断したことによる公判請求、といったところでしょうか。
盗撮を実行した女性自衛官については今のところ迷惑防止条例違反での逮捕は無いようですが、岐阜県の迷惑防止条例ではトイレや風呂も含めて盗撮行為や盗撮準備行為への規制が公共の場所に限られており、この事件では迷惑防止条例違反に当たらない可能性があります。
岐阜県 迷惑防止条例 第3条
- 衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から、又は直接人の身体に触れること。
- 衣服等で覆われている人の下着又は身体(以下「下着等」という。)を見ること。
- 衣服等で覆われている人の下着等の映像を見、又は記録する目的で、写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置し、又は衣服等で覆われている人の下着等に向けること。
- 前3号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
何人も、正当な理由がないのに、公共の場所又は公共の乗物において、衣服等を透かして見る方法により衣服等で覆われている人の下着等の映像を見、又は記録する目的で、衣服等を透かして見ることができる写真機等を設置し、又は人に向けてはならない。
何人も、正当な理由がないのに、公衆浴場、公衆便所、公衆が利用することができる更衣室その他の公衆が通常衣服等の全部又は一部を着けない状態でいる場所において、当該状態でいる人の姿態の映像を見、又は記録する目的で、写真機等を設置し、又は当該状態でいる人に向けてはならない。
自衛隊基地内の隊舎浴室と脱衣所は「公共の場所又は公共の乗物」「公衆浴場、公衆便所、公衆が利用することができる更衣室その他の公衆が通常衣服等の全部又は一部を着けない状態でいる場所」のいずれでもないと考えられますので迷惑防止条例違反には当たらず建造物侵入で逮捕したということなのかもしれません。
女性自衛官の方については認めれば罰金で済む程度の内容と思われますが、男性自衛官の方は今後追起訴され、もし否認しているようだと罰金では済まされずに執行猶予付きの懲役刑となる可能性もあるのではないでしょうか。