先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。
トイレ盗撮疑い中学教諭を再逮捕
勤務先の神戸市の中学校の保健室に盗撮目的でビデオカメラを置いたとして逮捕された31歳の教諭が、校内の女子トイレにもカメラを設置して生徒を盗撮していた疑いがあるとして、21日、警察に再逮捕されました。
再逮捕されたのは、神戸市西区の市立中学校の教諭(31)で、警察によりますと、去年10月からことし3月までの間に、勤務先の学校の女子トイレにビデオカメラを設置し、生徒を盗撮したとして、児童ポルノ禁止法違反と建造物侵入の疑いがもたれています。
容疑者は、同じ学校の保健室に盗撮目的でカメラ2台を置いたとして、今月11日に県の迷惑防止条例違反の疑いで逮捕されており、警察が押収したカメラを調べたところ、トイレ内の様子が映った映像が見つかったということです。
調べに対し、「女子トイレに侵入してカメラを設置したことに間違いない」と、容疑を認めているということです。神戸市教育委員会は、「事実関係が確認でき次第、厳正に対処したい」と話しています。
引用元 : NHK 2018年5月21日 20時0分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
前々回の記事で取り上げた事件の続報で、児童ポルノ禁止法違反および建造物侵入の余罪が発覚して再逮捕されたようです。
学校での内科検診の様子を盗撮するために保健室にアダプター型のカモフラージュカメラを仕掛けたとして逮捕されていますが盗撮自体には至っていないと見られ、もし盗撮できていたら現場が中学校で狙っていたのが生徒なので児童ポルノの製造にもなり得ると考えていました。
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ところが最初の逮捕とは別件で、既に児童ポルノの製造に及んでいた余罪があったようです。
最初の事件でカメラを見つけてくれた教諭に対して児童ポルノ禁止法違反までに発展しなかったことを感謝すべきではと述べていましたが、こうした余罪があってはどうにもなりません。押収したカメラから発覚したようですので自業自得としか言えないでしょう。
最初の迷惑防止条例違反だけであれば少額の罰金で済むか、示談成立などの情状によっては不起訴も見込めたかもしれませんが、児童ポルノ禁止法違反と建造物侵入での再逮捕も出てくるとそう甘い見通しは持てません。
軽くても30万円から50万円程度の罰金刑、あるいは厳しければ公判請求されて懲役1年程度の求刑といったところでしょうか。
追記 (2018年6月1日)
神戸市立中学校の教諭が保健室や女子トイレをカメラで盗撮したなどとして逮捕された事件で、神戸区検は31日、児童買春・ポルノ禁止法違反などの罪で同市立中学校の男子教諭(31)を略式起訴した。神戸簡裁は同日、罰金80万円の略式命令を出した。
教諭は5月11日に盗撮目的で勤務先中学校の保健室にカメラを設置したとして県迷惑防止条例違反(盗撮)容疑で逮捕。その後、女子トイレにもカメラを設置していたとして児童買春・ポルノ禁止法違反などの疑いで再逮捕されていた。
引用元 : 産経新聞 2018年6月1日 10時10分配信
どうやら公判請求はされず罰金の処分で済んだようです。
上述の見通しの中間辺りでしょうか、初犯とすると80万円の罰金は決して軽いものではありませんが、児童ポルノ禁止法違反や建造物侵入、迷惑防止条例違反などがある中で公判請求され、執行猶予持ちにならなかっただけでも良かったとするところでしょう。
分校保健室で盗撮、高校教諭を免職 京都、校内3カ所にカメラ
勤務する高校にビデオカメラを設置して盗撮したとして、京都府教育委員会は22日、伊根町の宮津高伊根分校の20代の男性教諭を懲戒免職処分とした。
府教委によると、教諭は4月24日、女性の下着などを盗撮しようと分校の保健室に小型ビデオカメラ1台を設置した。同校の女性教員がカメラを見つけた。同校がデータを確認したところ、カメラを置こうとする教諭が写っていたという。
教諭は4月30日に建造物侵入容疑で宮津署に逮捕され、5月10日に同罪で宮津簡裁から罰金10万円の略式命令を受けた。
府教委の調査に対して教諭は昨年11月以降、月に2、3回程度、女性教職員の更衣用に使われていた部屋など校内3カ所に設置したと説明した。「自分の勝手な行動で生徒、保護者に多大な迷惑をかけた」と話しているという。
引用元 : 京都新聞 2018年5月22日 23時11分配信
こちらも学校の保健室に盗撮目的でカメラを仕掛けたという似た内容の事件で、約1か月前の逮捕から既に判決が出ており、それを受けて懲戒処分したという続報となっています。
仕掛けていた場所が「女性教職員の更衣用に使われていた部屋など」とのことなので、先の記事で触れていたように保健室なども着替えに使っていた部屋というのがわかっていて狙っていたと思われます。
ただ、女子生徒ではなく女性教職員の着替えを狙っていたことが窺われますので、女子生徒が入ってくることが無かったのであれば本記事1件目の事件とは違って児童ポルノ禁止法違反に発展する可能性は無いでしょう。
また、京都府の迷惑防止条例では盗撮目的でのカメラ設置自体に規制が及ぶのが公共の場所に限定されているので、公共の場所とは言えない保健室等が現場となっているこの事件では迷惑防止条例違反が適用できなかったと見られ、判決としても建造物侵入への罰金だけになっている点が本記事1件目の事件とは異なっています。
懲戒処分としては免職という厳しいものですが刑事罰は10万円の罰金という比較的軽いもので、本記事1件目の事件とは条例によって処罰される行為に違いがあったことと、女子生徒を狙ったのか女性教職員を狙ったのかという違いで大きな差が出てしまったように思えます。
盗撮スマホを新品とすり替え提出 トイレ侵入容疑で中学教諭逮捕
勤務先の中学校の女子トイレに侵入したとして、埼玉県警は建造物侵入の疑いで同県所沢市立中央中の臨時教諭(27)=同県富士見市ふじみ野西=を逮捕した。トイレの個室内に録画状態のスマートフォンが置かれており、盗撮目的とみて調べている。
逮捕容疑は14日午後2時50分~15日午後0時50分ごろ、校舎3階の女子トイレに侵入したとしている。
県警によると、15日の昼休みに女子生徒がスマホを見つけ、近くにいた容疑者に届け出た。容疑者はその後、同型機を新たに購入し、同日夜、トイレで見つかったスマホとして校長に提出。このスマホに録画の形跡がなかったことから、県警が捜査し、購入者の容疑者を割り出した。
所沢市教委によると、容疑者は4月に採用され家庭科を担当していた。市教委は「指導を徹底し、信頼回復のため努力する」とのコメントを出した。
引用元 : 産経新聞 2018年5月25日 18時41分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。
教員が学校内に盗撮目的でカメラなどを仕掛けて捕まる事件が相次いでいます。報道機関が意図的に狙って取り上げているのか、あるいはここしばらくで特に立て続けに起きているのか…。
前者ならば教員による学校内での盗撮がよくあることでこれまでは他の盗撮事件に埋もれていたことになり、後者ならば謎の急増として原因を探らなければならないほどのものだと思いますが、いずれにしても問題ではあります。
この事件でも教員が盗撮目的で学校のトイレの個室内にスマホを仕掛けたとされています。
まさかスマホをトイレ内に裸のまま置いていたわけではないでしょうが、それを発見した女子生徒が被疑者に届け出た後、購入してきた新品とすり替えて校長に提出したところ、すり替えがバレて自身の逮捕に至っています。
スマホを発見した女子生徒が「近くにいた容疑者に届け出た」とされていますが、これはたまたま近くにいたわけではなく、おそらく自分のスマホが心配でソワソワしながら女子トイレ付近にいたのでしょう。
新品とすり替えて提出したというのも一見知恵が回っているように見えますが、スマホはGoogleアカウントやApple IDなどで所有者と密接に繋がっているのが普通なのでそれらが無い新品を持ってきたところですぐに見破られます。画像や動画を撮影しているどうかも確認すればすぐにわかりますので無駄な小細工だったと言えます。
なお、逮捕容疑が建造物侵入のみとなっていますが、これは埼玉県の迷惑防止条例で盗撮や痴漢へ規制の及ぶ範囲が公共の場所に限定されており、盗撮目的でのカメラ等を差し向けたり設置したりする行為への規制も明文化されていないためと思われます。
埼玉県 迷惑行為防止条例 第2条 第4項
中学校の女子トイレは条例に示される「公共の場所又は公共の乗物」ではありませんので、盗撮に関してこれしか規定が無い埼玉県の迷惑防止条例違反は適用できず、建造物侵入のみに留まっているのでしょう。
今後の捜査で既に女子生徒のトイレ盗撮を行っていたことが裏付けられる証拠などが押収されれば本記事1件目の事件と同様に児童ポルノ禁止法違反ということにもなりますが、そうしたものがなければ本記事2件目の事件と同じように建造物侵入のみで少額の罰金刑というところで収まるのではないでしょうか。