盗撮などの性犯罪での逮捕やその前後に関する情報を配信してまいります。

盗撮で逮捕される日

ニュース考察

先週の盗撮事件ニュース(11月26日~12月2日)

更新日:

先週報道された盗撮に関するニュースに触れてまいります。

入浴中の少女を盗撮容疑、保育士逮捕 動画はネット販売

民家敷地に侵入して入浴中の少女を盗撮するなどしたとして、島根県警江津署は27日、愛知県知多市岡田、東海市職員(39)を住居侵入と児童買春・児童ポルノ禁止法違反(児童ポルノの製造・提供)の容疑で逮捕し、発表した。「間違いありません」と容疑を認めているという。東海市によると、容疑者は市の保育所に勤める保育士。

江津署によると、容疑者は5月から8月までに、知多市にある3軒の民家の敷地内に立ち入り、入浴していた18歳未満の少女3人を携帯電話で動画撮影した疑いがある。さらに8月21日、この3人とは別の少女の裸などが映った動画をインターネットを通じて電子マネーで販売した疑いがある。容疑者がネット上で1本6千円で動画を販売しているのを、島根県警が8月に見つけ、捜査していた。
引用元 : 朝日新聞 2018年11月28日 0時22分配信
※被疑者の氏名部分を修正しております。

民家敷地に侵入して風呂盗撮により児童ポルノを製造し、それらをネット上で販売していたという事件です。おそらくネット上での販売も目的の1つだったと思われ、風呂を盗撮したらたまたま18歳未満の少女だったというわけではなく最初から少女を狙っていたのでしょう。

記事を読んだ感じでは事前にカメラを仕掛けるスタイルの盗撮ではなく窓の隙間などにスマホ等を差し入れて盗撮するスタイルだったと見られます。防犯意識の高まりからこうした風呂盗撮は過去のもののようにも思えるところですが、まだまだ存在しているようです。

また、住居侵入からの風呂盗撮で捕まったというわけではなく、風呂盗撮で製造した児童ポルノの販売が警察の目に留まり、そこから足がついて盗撮製造の方も発覚したという風に読み取れます。

盗撮動画の販売に関して触れた記事でも一部取り上げていますが、こうした動画を売買しようと考えると、個人間で売買する、買取業者に買い取ってもらう、マーケットプレイスやコンテンツマーケットといったスタイルの販売サイトで委託販売する、といった方法が考えられます。

動画に限らず違法性の無いものであればどの方法でも売り手の好きにすれば良いでしょうが、この事件のように児童ポルノとなるとやはり選択肢は狭まってきます。
(いわゆるダークウェブ等において売買する方法もありますが、素人には手が出しづらい上に「客」の絶対数に影響を受ける実益という面で優れてはいないため一般的ではありません)

最近の傾向としては、ピンハネが大きいといった点や配信・販売業者から最初の売り手まで芋づる式に逮捕された事例が出ている点などから買取業者に売るという方法は減っているように見られ、海外にサーバーや運営拠点を置く販売サイトで委託販売するのが主流になっていると思われます。

一方、個人間で売買するというという方法もまだ残っており、この事件においてはこれに該当すると見られます。他の方法と違って手数料やマージンといったものが引かれないため売った額がそのまま手元に入るメリットはありますが、児童ポルノのような違法なものを売買にするにあたっては当然ながら銀行口座やクレジットカードなどのような決済手段は使えません。

そこで出てくるのがこの事件でも使われている電子マネーで、例えばAmazonギフト券のようなタイプならメールアドレスがあればやり取りできますので最近では詐欺事件などでも用いられるようになっています。

しかしながら、個人で販売を行うなら宣伝も個人でやらなければなりません。SNSや掲示板等で客を募るといった方法がありますが、当然ながら警察などの捜査機関の目に留まることもあるでしょう。

海外に拠点を置く動画販売サイトなどでは日本の警察からの問い合わせに応じない場合もありますが、SNSや掲示板の運営会社、あるいは電子マネーの発行会社などは容易に応じることでしょう。見つかればすぐ足がつくことになります。

民家敷地への侵入と児童ポルノの盗撮製造に加えて販売までしているこの事件では罰金で済む見込みは小さいと思われ、おそらく公判請求されて懲役1年執行猶予3年程度の判決になるのではないでしょうか。

子ども向け習い事教室のトイレに盗撮目的でカメラ設置、67歳住職を書類送検 佐賀

子ども向けの習い事教室が開かれていた佐賀県中部の寺で、トイレに盗撮目的でカメラを設置したとして、県警は28日までに、県迷惑防止条例違反の疑いで、住職の男(67)を佐賀地検に書類送検した。27日付。

書類送検容疑は今年3月ごろ、寺の洋式トイレの個室にカメラを設置した疑い。

関係者によると、習い事教室の運営会社が寺の部屋を借り、講師の女性が教えていた。当時は寺に小中学生が十数人おり、トイレに入った女子児童がカメラを見つけた。

盗撮行為の規制強化を巡っては、改正県迷惑防止条例が今年2月に施行。規制対象が、公共の場所に加え、学校や貸し切りバスなど「特定多数の人が利用する場所」にも広がったほか、機器の設置行為も対象となっている。
引用元 : 佐賀新聞 2018年11月29日 11時15分配信

以前似た内容の事件を見たような気がして確認したところ、住職による寺でのトイレ盗撮事件の続報のようでした。被疑者の住職を勾留していなかったので随分のんびりと捜査を進めていたようで、やっと書類送検に至ったようです。

被疑者の氏名が発表されていないなど先の記事で取り上げていた事件と同じだと断定できる情報は無いのですが、佐賀県中部の寺、60代の男性住職、習い事教室、トイレへのカメラ設置等々の各要素が一致しているので同じ事件の続報と見て良いでしょう。

書類送検の容疑は寺のトイレへカメラを設置した疑いとされており、寺の施設を借りて行われていた習い事教室が小中学生向けでその児童生徒らもトイレを利用していたことから児童ポルノ禁止法違反の可能性も考えていましたがそれは無かったようです。

また、容疑が「カメラを設置した疑い」に留まっていることから、少なくとも現に盗撮被害があったことを裏付ける証拠が得られなかったものと思われます。

佐賀県 迷惑行為防止条例 第3条

何人も、公共の場所等において、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
  1. 衣服その他身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から又は直接人の身体に触れること。
  2. 衣服等で覆われている人の下着又は人の身体をのぞき見すること。
  3. 前2号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
第2項
何人も、公共の場所等又は特定多数の者が使用する場所等(事業所、学校その他の特定かつ多数の者が使用する場所又は貸切バスその他の特定かつ多数の者が使用する乗物をいう。次項において同じ。)において、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
  1. 衣服等で覆われている人の下着又は人の身体を写真機、ビデオカメラ、携帯電話その他の機器(以下「写真機等」という。)を使用して撮影すること。
  2. 衣服等で覆われている人の下着又は人の身体を撮影する目的で写真機等を向け、又は設置すること。
第3項
何人も、正当な理由がないのに、浴場、便所、更衣室その他人が通常衣服等の全部又は一部を着けない状態でいる場所であって、次に掲げる要件のいずれかに該当するものにおいて、当該状態でいる人の姿態を写真機等を使用して撮影し、又は当該姿態を撮影する目的で写真機等を向け、若しくは設置してはならない。
  1. 公衆が利用することができること。
  2. 特定多数の者が使用する場所等にあること。

この事件においては上記に示す佐賀県の迷惑防止条例第3条の第2項または第3項に該当すると考えられるところ、現に盗撮した証拠が出ていれば容疑としても「~を盗撮した疑い」などということになるはずです。

盗撮に至る前にカメラが見つかって被害が発生しなかったのか、カメラは回っていても盗撮被害が確認できるほどの動画ではなかったのか、あるいは被害を裏付ける盗撮動画などの証拠を被疑者の住職が隠滅したのか。

いずれにしても盗撮に及んだ証拠が無かったことで、盗撮目的でのカメラ設置の容疑に留まっているのではないでしょうか。そうした証拠が無ければ児童ポルノの盗撮製造を裏付けることも不可能でしょう。

曲がりなりにも住職を務める被疑者であり、身柄を拘束していない在宅事件という事情もありますので処分は比較的軽いものになるように思われます。おそらくは不起訴、厳しく見ても30万円までの罰金で収まるのではないでしょうか。

同僚女性の洗濯機内の下着盗もうとした疑いも 盗撮容疑で逮捕の男、スマホに画像

女性宅に侵入して洗濯機内の下着を盗もうとしたとして、兵庫県警生田署は29日、住居侵入と窃盗未遂の疑いで、高知市の会社員の男(39)を再逮捕した。同署が別の女性に対する盗撮容疑で逮捕した男のスマートフォンを調べた際、洗濯機の上に広げられた下着の画像が見つかったという。

再逮捕容疑は7~8月、カラオケ店の同僚だった女性(23)の家に侵入し、洗濯機内の下着を盗もうとした疑い。「家の中を物色したが、下着を盗むつもりは無かった」と容疑を一部否認しているという。

男は今月17日、神戸市中央区の複合施設内で、女性のスカート内にスマホを差し入れたとして、県迷惑防止条例違反の疑いで逮捕されていた。
引用元 : 神戸新聞 2018年11月29日 19時43分配信

先に逮捕されていた盗撮と同僚女性宅に侵入した住居侵入は間違い無さそうですが、同僚女性宅の洗濯機の上に下着を広げて撮影していたということをもって窃盗未遂というのはちょっと無理があるのではないでしょうか。

「下着を盗むつもりは無かった」として容疑を一部否認しているとのことで、個人的にはその通りなのではないかと感じます。同僚女性の自宅へ侵入、家の中を物色して下着を洗濯機の上に広げて撮影までする余裕があったなら、盗むつもりであればそのまま持ち帰っていたでしょう。

仮にこの下着が無くなっていたとしたら被疑者が盗んだ疑いが強いということで窃盗未遂ではなく窃盗ということになるはずですが、窃盗未遂で逮捕しているので盗まれていないことは被害者に確認していると見られます。

重なりますが客観的に見て、盗もうとしたなら余裕で盗んで帰れる状況だったと思われますので、盗まれていないなら本当に盗むつもりが無かったのではないでしょうか。

実際には盗まれていない、洗濯機内の下着の画像がスマホに記録されていたという証拠だけで窃盗未遂を認定するのは厳しいと思われますので、おそらくは先の盗撮と今回の住居侵入だけになるように思えます。

窃盗未遂も付けば罰がもう一声重くなるところなので、もしそれが無くなるとすると警察としては面白くないのでもう1つの住居侵入の方を厳しめに評価してくるかもしれません。盗撮以外の余罪があったということも被疑者には不利に判断されるでしょう。

先に逮捕された盗撮だけなら状況によっては不起訴の目もあったかもしれませんが、余罪発覚から再逮捕されたということで公判請求までは無くても50万円程度までの罰金は覚悟しておいた方がいいかもしれません。

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